相談詳細

指名:Noboru Hagino(Rheumatology) 先生

長引く倦怠感

40代女性

倦怠感や易疲労感が半年近く続き、不整脈などの既往があるので、膠原病科でサルコイドーシス疑いで検査を受けた結果、抗核抗体陽性ですがACEは高くなかったので否定されました。他の疾患特異的抗体も陰性です。体重減少はありません。3ヶ月前に結節性甲状腺腫が見つかり経過観察中ですが、甲状腺機能に問題はありません。
しかし、Ca軽度高値、250HVD低値での経過観察以外にも、Hb正常値の鉄欠乏性貧血、亜鉛低値、ビタミンB12下限値と、栄養の不足が指摘され、鉄、亜鉛、ビタミンB補充のための薬物療法が始まりました。まずは栄養補充で症状改善できるか試すという治療方針なので、それ自体についての相談ではないです。

お尋ねしたいのは、
健康な場合、普通の食生活でこんなふうに色々な栄養が同時に不足することはよくあるのでしょうか?
食事以外の原因でこのように低栄養になる可能性がもしあるとしたら、次にどの診療科を受診すると良いでしょうか?

きっかけが膠原病の検査でしたので萩野先生を指名させて頂きました。よろしくお願い致します。

回答済み

一般内科

ご質問有難うございます。 若い女性の場合、貧血に至らない(ヘモグロビンが12g/dL未満にならない)「鉄欠乏症」になることはしばしばあり、摂取量の不足に加えて月経による血液の喪失(血液は多くの鉄分を含んでいますので)によるものと考えられます。また、ビタミンD欠乏症(25-OH Vitamin Dが20ng/mL未満)も、日本人が「通常の食事」を接種していても生じることはあります。 一方で、血液中の亜鉛濃度は「亜鉛不足」を反映しないこともあり、正常下限であってもなんとも言い難いことはあり、ご高齢の方の味覚障害では「試しに」補充していただくこともあります。ビタミンB12についても同様です。 全身倦怠感は数多くの疾患で起きる症状ですが、同時に診断が難しい症状でもあります。ACEが上昇しておらずサルコイドーシスは否定されたとのことですが、サルコイドーシスでACEが上がらないこともしばしばあり、高カルシウム血症と併せてまだ(サルコイドーシスの)可能性は残ります。 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会のウェブサイトには 「サルコイドーシスにおける感度は 30%から 60%と報告されている」 https://www.jssog.com/wp/wp-content/themes/jssog/images/system/guidance/2-2-5.pdf と記載されています。 その他、抗核抗体陽性とのことですのでシェーグレン症候群、全身性エリテマトーデスなどは全身倦怠感の原因になり得ると思われます。 長々と書いてきましたが、現代日本人の「普通の」食生活で、幾つかの栄養素が十分に摂取できていない、ということは起こり得ます。これが更に偏った結果、「脚気(ビタミンB1欠乏症)」「壊血症(ビタミンC欠乏症)」の患者さんは未だに拝診することがあります。貧血に至らない程度の鉄欠乏症による全身倦怠感はしばしば経験されますので、補充によって改善するかどうかを試す方針に(ひとまずは)賛成です。 全身倦怠感の原因について診断がつき、症状が緩和されますことを祈念しております。

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2021年11月19日 18時59分


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リウマチ・膠原病は、近年病態生理の解明が急速に進み、診断・治療の進歩が著しい分野ですが、本邦では専門医が少ない分野でもあります。お悩みのことがございましたら、お気軽にご相談下さい。

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