指名:相川晴(HAL) 先生

小児のコロナワクチンの件

10歳未満男性

はじめまして。Twitterで先生の発信を読んでいます。

コロナワクチンですが、息子1歳半に打たせる予定なのですが、起こりうるリスクとして先生が考えられるものはどうあったのもがありますか?

保育園に行っているのでどこかで罹るだろう、罹った時にはワクチンの副反応より大変&後遺症もありうる、と考えており、打たせることを決めたのですが、
シンガポールの報告ではワクチンの場合は生殖器に云々、みたいな話もみかけ、少しもやっともしています。

打つ前に出来る限り事実ベースのリスクを知りたいと思い相談させていただいています。

コロナワクチンの接種はもう少し後になりそう(1歳半健診では接種不可、22日に健診でインフルと水ぼうそうのワクチン接種予定のため)なので、お手すきの時で構いませんので宜しくお願いいたします。

回答済み

小児科

ご質問ありがとうございます。 新型コロナワクチンで起こりうるリスクとしてどのようなものがあるか、ということですね。 まずは今回乳幼児が使うのはファイザー製の、すでに大人や5歳以上のお子さんもすでに接種してきたワクチンになります。ですので、起こりうるリスクとしては、これまでに知られている副反応、それからおそらくもやっとした不安としての長期的な副反応ではないかと思います。 副反応として、大人でも問題視されたアナフィラキシー、心筋炎が特に心配になるところです。 アメリカのCDC出しているデータを見ますと、昨年6〜8月のファイザー製ワクチンを接種した5歳未満のお子さん約60万人の体調の変化を見たもの(ワクチンと関係ないものも含む、いわゆる有害事象)があります。 約8500人が体調の変化があり、その多くが接種部位の反応(痛み、腫れなど)、発熱、倦怠感、頭痛、眠気、不機嫌などで、保育園や学校を休む必要があるほどの子は約5%でした。 アナフィラキシーは1名ですがこちらはモデルナ製で、ファイザー製は0です。(接種トラブルで接種量が多い可能性がありそうです) 心筋炎の報告はありません。 それから、重大なものとしてはけいれん(熱性けいれん以外)が4件報告されています(元々脳に基礎疾患のある子や、熱のデータがなかったもの等も含んでいます)。熱性けいれんの既往のある子が発熱はなかったけれどけいれんを起こした、という例もありましたので、けいれんの既往がある子は少し注意する必要があるかもしれません。 (ざっくりとまとめていますので、詳しくはこちらをご覧ください) https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7135a3.htm?s_cid=mm7135a3_w ということで、副反応としては重篤なものもありますが、頻度としては全体に低く、質問者さまのおっしゃる通り、感染した時のリスクの方がかなり高いと私も思います。 さて、長期的な副反応があるかないかと言われると、ないとは思っておりません。可能性としては、現在新型コロナウイルス感染症後の後遺症として知られていることは、ワクチンでも起こり得ると思います。 しかし実際には、どうもワクチンをうっていると、新型コロナウイルス感染症後の後遺症を減らすことが示唆されています。それに対し、ワクチン接種後の長期的な副反応については、十分な客観的なデータを見つけることができませんでした。 ご質問の中にあった生殖器への影響ですが、現在または将来の妊娠に問題をもたらす証拠はありません。ワクチン接種後・感染後の抗体をもっていた女性ともっていない女性を比較して、妊娠の成功率に差はないという研究、パートナーのワクチン接種も妊娠の可能性に影響を与えないという研究はあります。 https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/planning-for-pregnancy.html 成長に伴ってなにか起こるかと言われますと、わからないです。わからないけれど、さまざまな情報を合わせて考えると、やっぱり感染してその後成長に伴ってなにか起こる可能性の方が大きそうだなあという感想になります。(逆に現段階で「◯◯が起こる」と断言している場合は、地震の予言と同じくらいの精度なんじゃないかと思われます。あまりに証拠が足りなさすぎます……) これまでにいろいろな感染症と人間(というか生物)は戦ってきました。最初になんの情報もない状態で病原体に侵入されると、体の中は細胞たちの大戦争状態になり、体はボロボロになりつつ病原体の情報を仕入れ、次の戦いに臨むことになります。多くの感染症ではノーガードで臨むこの最初の戦いが一番しんどいです。体のダメージも大きいので、当然後遺症と呼ばれる症状も出やすいことが予想されます。 2回目以降は病原体の情報を仕入れているので、細胞たちはうまく立ち回ることができ、軽く済んだり、全く症状が出ないということが起こります。 ですので、先に病原体の情報をできるだけ安全に仕入れるワクチンは接種していた方がいいし、新型コロナウイルスに関しては、どうも直接感染してもあまり長く情報をキープできなかったり、不十分だったり、場合によってはマイナスに働くことも示唆されているので、やっぱりワクチンは打っていた方がいいよなあ、と感じています。 乳幼児の新型コロナワクチンに関しては、ちょっと期間が短く(延長されるといいのですが)、それを優先してしまうと他の重要なワクチン接種が遅れていまう、という可能性があって、そこが一番懸念事項だったりします。 もし接種しようかなとお考えでしたら、インフルエンザ以外は2週間あける必要がありますので、みずぼうそうワクチンの後にうまく予約がとれるようお祈りしております。地域によっては予約がなかなか取れないようですので、早めに予約だけしておくとよいかもしれません。 いくつか参考になりそうな資料をご紹介します 新潟医師会 http://www.niigata.med.or.jp/file/covid_child.pdf?_=20221114 厚労省のQ&A https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/infant/ 日本小児科学会 http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=466 回答が遅くなり申し訳ありません。 なにかの参考になりましたら幸いです。 参考文献 https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/71/wr/mm7135a3.htm?s_cid=mm7135a3_w https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/planning-for-pregnancy.html https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)00941-2/fulltext https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0028.html

ありがとうございます!!
不安が軽くなりました。ありがとうございました。

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2022年11月22日 11時57分


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