指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生

生理不順による体への影響について

30代女性

元々ずっと生理不順で、27歳の頃に不妊治療をした際、先生に多嚢胞気味だと言われ、クロミッドを飲んで38-45日位で生理が来ていました。

その後29歳で出産、産後は比較的生理周期も整い38日位で来るようになっていました。
33歳の今はちょっとずつ周期が不順になってきて、45〜68日位に変わってきています。
子供は一人っ子と決めているので、生理不順で逆にめんどくさくなくていいや程度にしか思っていないのですが、生理不順は妊娠以外でも体に良くないのでしょうか。 

回答済み

産婦人科

ご質問ありがとうございます。 現在45〜68日周期の月経不順があり、体に影響はあるのかというご相談ですね。 まず正常な月経周期は25から38日周期ですので、ご質問者様はそれより長い周期であり、稀発月経といえます。 ご質問者様は20代の時に産婦人科で、多嚢胞気味(多嚢胞性卵巣症候群)だと言われていたとの事で、排卵しにくい状態はあったのだと思います。 そして今もおそらくそれは変わっていないのだと想定されます。 ご質問者様に関して、生理不順であることの問題は、3つあります。 1つ目は、家族計画の問題です。今後妊娠のご希望はないとの事ですが、生理の間隔があいているとはいえ、いつ排卵が起きているかわかりません。正常な生理周期の方であれば、生理が遅れたら妊娠を疑う事ができますが、生理不順の方だと、いつもの不順だと思っていたら妊娠だった、という事もあります。生理不順の方が妊娠しないわけでは全くないですので、避妊に気をつける必要があります。 2つ目は、排卵しない事によって悪性疾患のリスクがあがります。本来排卵すると、排卵後に卵巣にできる黄体という所から、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。それは子宮内膜を分厚くする卵胞ホルモン(エストロゲン)と拮抗して、内膜を薄くする性質があります。排卵していない状態が長く続いていると、プロゲステロンが分泌されず、子宮内膜が長期間エストロゲンに暴露される事になり、内膜が分厚い状態が続いてしまう可能性があります。 そうすると子宮体癌のリスクになってしまいます。 妊娠希望の方には排卵誘発剤を使用しますが、妊娠希望のない方にはピルや子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ®︎)を使用して、内膜を薄く保つ必要があります。これは生理不順を治す目的だけではなく、子宮体癌予防の目的でもあります。 ですので、生理を毎回来させることが大事なのではなく、内膜を薄く保つ事が大事なのです。 3つ目は、不正出血なのか生理なのかわからないということです。 生理不順だと、その出血が生理かはわかりません。なんとなく3日とか5日出血があると生理と考える人も多いですが、出血イコール生理ではないので、きちんと検診を受けたり、検査をしてもらう必要があります。 子宮頸癌の検診は出血の有無に関わらず、2年に一回は必ずうけるようにしましょう。 このように、たかが生理不順といっても問題点もありますので、ぜひ産婦人科でご相談されることをお勧めします。そしてもし検診を最近されていないようであればそちらもされると安心です。 長くなりましたがご参考になれば幸いです。 また何かご不安なことがありましたら、いつでもご相談くださいね。 ちなみに、私のYouTubeでもPCOSとその対処法について動画を上げています。上記の内容をもっと噛み砕いて説明しています。『高橋怜奈 PCOS 多嚢胞性卵巣症候群』とかで検索すると出ると思いますので、よかったらご参考にしてみてください。
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2023年02月27日 10時49分


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YouTuber、産婦人科専門医、指導医、がん治療認定医、性教育認定講師です。生理、更年期、癌、セックス、婦人科形成手術、なんでもご相談ください。
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