おしゃぶりについて
10歳未満男性
回答済み
ご質問ありがとうございます。0歳2か月のお子さん、おしゃぶりの歯並びへの影響についてのご相談ですね。
まずはご出産おめでとうございます!お子さんの年齢だと可愛いらしい仕草などもみられる一方、バタバタする日々が続いていると思います。その中でご自身の経験から将来のお子さんの歯並びに関心を持たれるのはとても素晴らしいことだと思います。
結論から申し上げると
・歯並びに関しては使わない方が良いが、保護者の方の生活にプラスに働くのであれば、短期間の使用で1歳ごろから減らしていく
・使うとすれば選択肢の一つではあるが、必ずしも歯並びが悪くならないとは言い切れない。上記のことを心がける。
・おしゃぶりの影響
おしゃぶりによる歯並びの影響としてあげられるのは上顎前突(出っ歯)、開咬(前から見た時に上の歯と下の歯が噛まずに当たっていない)、乳臼歯交叉咬合(乳歯の奥歯を見た時に、上の奥歯が下の奥歯より内側に入って噛んでいる)です。
日本での調査では、2歳6か月のお子さんでおしゃぶりの使用経験がないグループと継続的に使用しているグループでは、後者の方が開咬の割合が高いこと、使用経験のあるグループの中で長期(12か月以上)使用していたものは開始する時期に関わらず、開咬の割合が高いことが報告されています。1)
海外の文献でも2、3歳以降のおしゃぶりの使用が上記のような歯並びに大きな影響を及ぼすと結論づけられています。2.3)
日本の小児歯科と小児科の保健検討委員会では、おしゃぶりはできる限り使用しない方が良いが、1歳過ぎからは常用を避け、遅くとも2歳6か月までにはやめるように提言されています4)
以上より、2.3歳頃まで長期に継続した使用は歯並びへの影響が懸念され、メリットがデメリットを上回るのは2ヶ月から1歳ごろまでといえます。
・歯並びに影響が出にくいおしゃぶり
歯並びへの影響に考慮したおしゃぶりと通常のおしゃぶりを比較した研究もありますが、どれも歯並びへの影響に関して、統計的な差はわずかであるとされています。5.6)
小児歯科専門医としてお話しするとできる限り使用を避けることが良いですが、保護者の方の身体的、精神的な面もお子さんにとってとても大切な側面です。その辺りを考えていただきご検討頂ければと思います。
参考になりましたでしょうか?遠くからお子さんのお口の健康を応援しております。
1) 石川朋穂 他. おしゃぶりについての実態調査,-第4報2歳6か月児のおしゃぶりの使用状況 と咬合関係について-.小児歯誌.44(3):434-438 2006
2) Poyak J. Effects of pacifiers on early oral development. Int J Orthod
Milwaukee. 2006;17(4):13-16.
3)Góis EG, Ribeiro-Júnior HC, Vale MP, et al. Influence of nonnutritive
sucking habits, breathing pattern and adenoid size on the development
of malocclusion. Angle Orthod. 2008;78(4):647-654.
4)小児科と小児歯科の保健検討委員会. https://www.jspd.or.jp/common/pdf/06_03.pdf
(2023.05.23アクセス)
5)Adair SM, Milano M, Dushku JC. Evaluation of the effects of orthodon-
tic pacifiers on the primary dentitions of 24- to 59-month-old children:
preliminary study. Pediatr Dent. 1992;14(1):13-18.
6)Zardetto CG, Rodrigues CR, Stefani FM. Effects of different pacifiers on
the primary dentition and oral myofunctional structures of preschool
children. Pediatr Dent. 2002;24(6):552-560.
2023年05月23日 19時32分