相談回答詳細

新生児MRSA保菌が判明

10歳未満男性

妊娠後期のおりもの検査でMRSAが検出されていましたが、先日出産したばかりの新生児もMRSA保菌が判明しました。

今は低体重で産まれたためGCUにいます。
順調に体重も増加中ですが、私のせいで保菌させてしまったとショックを受けると同時に不安です。

1.新生児のMRSA保菌はどの程度危惧すべき状況でしょうか?

2.日常生活で注意すべき点はありますか?

3.今後成長するにつれて現在保菌してるMRSAが消滅する可能性はありますか?

4.今後子どもが感染症の疑い等で医療機関を受診する際、MRSAを保菌していたことがあると申告すべきでしょうか?

よろしくお願いいたします。

回答済み

小児科

おはようございます。ご相談いただき、ありがとうございます。

お生まれになったお子さんからMRSAが検出された場合のお子さんへのリスクや今後どうしたら良いかというご相談ですね。

まずは、ご出産おめでとうございます。低出生体重児ということでGCUに入られた際に培養の検査(体にいる細菌の検査)をされたということでしょうか?

確かにMRSAは抗菌薬が効きにくい、いわゆる耐性菌の代表格であり、赤ちゃんから検出されてご心配される気持ちもよくわかります。


現在のお子さんの状況が十分には把握できないため、必要に応じて主治医の先生や担当の看護師にもご確認いただければと思いますが、ここでは一般的な回答をさせていただきます。


MRSAは正確にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌といい、耐性菌ではありますが、ごく普通にいる細菌の一種です。お母さんから検出されていたように、一般的に誰から検出されてもおかしくないくらい珍しいものではなく、免疫力がある程度あれば、ほとんどの場合はとくに問題は起こしません。また、毒性そのものは通常のブドウ球菌とあまり違いはないとされています。症状はないけど、検出された状況を「保菌者」といいます。

ただ、一部の免疫の弱い方、とくにNICUなどではとても小さく生まれたお子さんたちに広がってしまうと、ときに重篤な感染症を起こすことがあるため、拡大しないように対策が必要です。


現在お子さんが体重のこと以外にとくに問題ないようでしたら、基本的には周りへの感染のみ注意して、他に特別な対応はありません。


① MRSAの保菌はどのくらい注意が必要か

→ 保菌のみであれば、広がらないように注意するのみで、多くの場合は問題ありません。ごく一部で感染症を起こすことがあり得るので、哺乳力や体温などを入院中は念のためチェックしていきますが、退院後はそれほど注意する必要はないと思います。


② 日常生活での注意点

→ 入院中にはMRSAが検出されていないお子さんと少し距離をとって、感染対策を行っていく必要はあります。退院後は特別な配慮は不要です。元気なお子さんでも保菌されている方はたくさんおります。


③ 成長に伴ってMRSAが消滅することはあるのか。

→ 成長とともに体の常在菌の変化が出ることはよくあり、体の調子や抗菌薬の使用、アトピー性皮膚炎などさまざまな理由により、菌が変化します。必ず全員が消えるとは言えませんが、消えてしまうこともよくあります。


④ 今後感染症などで医療機関を受診する場合にMRSA保菌を伝える必要があるか。

→ 風邪などの診療にMRSA保菌を意識する必要はありませんが、皮膚炎やリンパ節炎などではMRSAが関与することはよくありますので、場合によっては伝えていただいた方がありがたいという場面もあります。

予防接種や乳児健診などで通院されるかかりつけの医療機関に一度お伝えいただけば、その後は特に必要ないかもしれません。


上記となります。また、お子さんの状況によって対応が変わる部分もありますので、こちらの内容をもとに適宜主治医の先生にもご相談いただければと思います。

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2023年05月28日 09時33分


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小児科専門医です。専門はアレルギーですが、小児に関することは幅広く診療しています。何かしらお力になれれば幸いです。

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