指名:=Dr. NK=子どもの心の相談室 先生

落ち着きがなく、話して伝えたことが行動に結びつかない。ADHDを疑ったほうがいいか。

10歳未満女性

いつも参考にさせていただいています。5歳の娘について相談させいただきます。

娘は言葉の発達が早く、難しい言葉を使ったり大人の難しい話を理解したりすることができます。

話は理解できるのに、行動に結びつかないことが多々見られ、ADHDを疑ったほうがいいのかなと不安に思っております。

例えば、下の子が寝ているから静かにしようね、といっても1分後には歌を歌い出したり大声で親を呼んだりします。

また、何度注意をしても、他の人(私と夫、私と保育園の先生、先生とお友達など。)の会話に割り込もうとします。

習い事で先生にしゃべらない、並んで待つ、などの注意を受けても、5分後にはおしゃべりをしたり、その場でフラフラしてしまうことがあります。先生の指示を聞かずに、よそ見していることも。

1歳半から通う保育園の先生に指摘を受けたことはありません。こちらから相談したところ、確かにちょっと注意が他にそれてしまう事はあるけれど特別目立つわけではないし、気になるほどではないですと言われました。

なお、ひどい癇癪を起こしたり、皆が座っている中で歩きまわってしまうようなことはないようです。(落ち着きなく周りをキョロキョロすることはありそうです。)食事はきちんと座って食べれます。

これらの情報だけで判断することは難しいかと思いますが、一度然るべき機関に相談した方が良いのか迷っております。

とりとめもない相談で恐れ入りますが、受診の目安や、このくらいの年齢でどこまでがあり得る行動なのかどうか等、何かアドバイスがあればいただければ幸いです。

回答済み

小児科

【ADHDが心配な5歳の娘さんについて のご質問】

指名をいただきありがとうございます。


文章を読んでいて、<言葉の理解やコミュニケーションについては心配がなく、むしろ能力が高いお子さん>なのだろうと思いました。

その上で、お母さんが心配な内容について、考えていきたいと思います。


まず、この2点について。

・下の子が寝ていて静かにしようと伝えても歌ったり大声で歌って親を呼ぶ。

・お母さんとお父さん、お母さんと先生、先生とお友達の会話

に割り込む。


下のお子さんがいま、おいくつかはわかりませんが、僕感じたことがあります。

【お子さんはこれまでの慣れていた二者関係から三者関係に移行している途中なんだろうな】と思いました。


おそらく、お子さんが今まで生きてきた世界は、お母さんと2人で過ごす時間をたっぷりとれた世界だったのだと思います。

言い換えると、お母さんを独り占めできた世界・“自分だけのお母さん“だけだった世界です。


そこに下のお子さんが生まれて、お子さんの認知(物事に対する理解力)が進んで、お母さんや自分が独占したい相手が自分だけのものではないことを感じ取っているのではないでしょうか?


つまり、自分が最も大好きな人(お母さんだったり場面によっては保育園の先生)が、自分だけではなく自分以外の人を大事にして、自分が除外されている感覚を味わって要るのかもしれません。



これはとても辛いことですが、人間が生きていく上で避けることのできない必要な体験です。


もちろん、お母さんの感覚として、下のお子さんが生まれからといって、娘さんに対する愛情は変わらないでしょう。

ただ、お母さんの愛情は変わらなくても、目にみえる関わり方は変わっているのだとも思います。“きょうだいが生まれる“ということは家族・その関係に大きな変化を与えるからです。


そこにはこれまで感じたことのない寂しさがあるはずです。

子どもはにとっては“1人の人が同時に2人を愛する“という感覚がないからです。


僕にはその寂しさが、お子さんの行動に表れているように思います。

お子さんは寂しさをなんとか埋めようとしていますし、自分だけを見てもらえない世界に必死に耐えようとしているのかもしれません。(下のお子さんがまだそんなにおしゃべりができないからこそ、下のお子さんに邪魔されない会話をお母さんともっと楽しみたいのかもしれません。)


少し違う言い方をしますと、

いま、お母さんは<誰かと何かをするにも、お子さんに邪魔される>と感じているかもしれませんが、その体験こそ、下のお子さんが生まれた時のお子さんの体験、<何をしようとしても、赤ちゃんに邪魔される>という体験と重なっているのかもしれません。


お母さんが何かを変える必要もないと思います。

ただ、お子さんの行動は、十分理解できるものだと思いますので、お子さんを見るときに、その行動の裏には“おねちゃんになった“・“お母さんが自分だけのものではなくなった”不安があることを理解してもらえたらと思います。


お母さんが他の人と話している時に、お子さんが入ってくると当然イヤな気持ちになったり、発達の心配をなさると思います。

お子さんはそれを感じ、お母さんからネガティブな感情を向けられていることを感じ、不安になり、むしろ余計にお母さんに近づこうとすると思います。

お子さんが会話に入ってきた時、むしろ自由に入れてあげるほうが、お子さんが無理にお母さんと他の方の会話に入る必要がなくなっていくかもしれません。



続いて習い事について、小児科医の感覚からしますと、5歳なら

・話してしまう

・並べない

ということはあってもしょうがないんじゃないかな、と思ってしまいます。

小学校に入ってから慣れていくので、いいんじゃないかとも思ってしまいます。

5歳はまだ、ルールを覚えていく段階で、ルールを守れなければいけない段階ではないように思います


小さいうちから大人が決めたルールを守ってきた子が思春期や青年期に入って、前に進めなくなってしまうことも少なくないことを臨床の現場で感じているからこその意見かもしれませんが。



もちろん、文章の情報からでは全てのことは分かりません。

ただ、文章の情報からで想像する中で、お子さんが今受診する必要があるか?という質問に対する答えは、「必要ないと思いますよ」です。


保育園の先生から発達について懸念を伝えられた時が、受診のタイミングだと思います。


お子さんは言語能力が高いだからこそ、大人扱いされやすいという面もあるかもしれません。


僕の回答は見当はずれかもしれませんが、それでも、少しでも何か参考になって、お母さんが安心してお子さんを見守ることに繋がったらな、そう思います。


気になることや質問があれば、遠慮なくそうおっしゃってくださいね。

ではでは🍀

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あたたかいお返事ありがとうございます。


赤ちゃんは8か月なのですね、まさに目も手も離せない頃だと思いますし、お母さんにとっては体力的にも精神的にも大変だと思います。

今回の回答がお姉ちゃん、お母さんだけでなく、ご家族皆さんが笑顔で過ごせることにつながったら嬉しいです🍀

心から応援しています💫

❤️もありがとうございました🌟

限られた情報にも関わらず、とても分かりやすく、丁寧な回答をありがとうございます。下の子は今8ヶ月でして、読んでいてまさにその通りかも…と思いました。先生のご指摘どおり、意思の疎通には困らない子なのでまだまだ幼いということを忘れがちでした。もっと広い心で接して行こうと思います。

9

2023年09月24日 11時19分


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【公認心理師】の資格も保有してます.

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