相談回答詳細

小児の全身麻酔について

10歳未満 女性

5歳の娘なのですが寝ている時にいつも鼻が詰まっており、眠りがいつも浅いです。本人もそれが気になるようで、よく夜中に起きてしまいます(5歳で夜泣きは大人も辛いです…)。 受診してみるとアデノイド肥大を指摘され、手術の選択肢もあるとお聞きしました。ただそこで全身麻酔と聞き、「こんな小さいのに大丈夫かな」と不安です。主治医に色々聞けば良かったのですが、耳にした直後はボーッとしてしまい頭の整理が追いつきませんでした。 小児の全身麻酔はどのようなリスクがあるのでしょうか?よろしくお願いします。

その他

ご質問いただきありがとうございます。 小さい子供なのに、全身麻酔で手術を受ける、となると驚きますよね。 『小児の全身麻酔のリスク』についてですが、三点に分けて説明いたします。 ①一般的な全身麻酔の合併症 こちらについては日本麻酔科学会のサイトにも載っているので、ご参照ください。→ https://anesth.or.jp/users/common/receive_anesthesia?page=11 ・歯が抜ける:もしグラグラと揺れている歯があると、人工呼吸のチューブを入れる(気管挿管)時に抜けてしまうことがあります。特に、前歯は特に欠けやすいので注意が必要です。不安な歯がある場合は担当の麻酔科医にご相談ください。 ・かすれ声:声を出す声帯にチューブが当たるため、術後に声がかすれることがあります。ほとんどは数日以内に良くなりますが、まれに長く続くことがあります。その際は耳鼻咽喉科の先生にご相談ください。 ・誤嚥性肺炎:全身麻酔中や麻酔直後は咳が弱くなり、気管内に入ってくる異物が出せなくなります。麻酔中に胃の中に内容物があると、嘔吐して吐物が気管内に入ってしまい、肺炎や窒息になってしまうことがあります。手術前には絶食・絶飲を指示されますが、必ず守るようにしてください。 ・悪性高熱症:麻酔薬によって筋肉が硬直したり、高熱が生じる病気です。重篤な病気ですが、きわめて稀です。遺伝性があるため、血縁者に同様の症状を起こした方がいる場合は注意が必要です。もしそのような場合は担当麻酔科医にご相談ください。 ・アレルギー:今までアレルギーを起こしたことがなくても、全身麻酔で使用する薬でアレルギー(じんましん、血圧低下、呼吸困難など)を起こすことがあります。重症なアレルギーである“アナフィラキシー”は病院外で起こせば危険ですが、手術室ではアナフィラキシーに対処する準備があるためまず安全です。 ②扁桃やアデノイドの手術に特有の合併症 扁桃やアデノイドが大きくなると、のどのスペースが狭くなります。全身麻酔で深い眠りになると、のどの筋肉が緩み、のどが詰まってしまう(気道閉塞)ことがあります。気道閉塞も病院外で起こすと致死的ですが、手術室は気道確保(気動を通すこと)のプロである麻酔科医と専用の器具がそろっている環境ですのでご安心ください。 手術で扁桃・アデノイドを取った後でも油断はできません。のどの出血・浮腫や喉頭痙攣(声帯周囲の筋肉の痙攣)で気道閉塞になる危険があります。もし手術の直後に起こった場合は麻酔科医が再度気道確保を行います。術後しばらく気道閉塞になる危険性が高いと耳鼻咽喉科医が判断した場合は、集中治療室(ICU)などで経過観察をすることもあります。 ③麻酔による長期的な脳神経への影響 「子供に全身麻酔を行うと脳になにか悪い影響があるのではないか」と心配になるかもしれません。 全身麻酔は子供の発達に影響がある可能性がある、という報告はありますが、確たるものではありません。また、影響はなかった、とする報告もあります。 つまり、「影響が全くないとは言い切れない」というのが現状です。ただ、全身麻酔による(あるかどうかも分からない)微々たる影響を恐れて、手術せずに病気を放置する、というのは本末転倒でしょう。 個人的な見解ではありますが、「全身麻酔で手術を行うかどうかの判断に、麻酔の長期的な影響を考える必要はない」と思っております。 小児の扁桃摘出・アデノイド切除はとてもメジャーな手術であり、ほとんどのお子さんが無事に手術を終えられております。 麻酔に関する重篤な合併症は非常に稀であり、手術を行うメリットの方が大きいことがほとんどです。(手術を行うメリットについては、主治医の先生とよくご相談をされてください。) 手術の安全を守ることが麻酔科医の仕事ですので、どうぞご安心して手術室にいらしてくださいませ。 (※相談文には書かれていないお子様に特有のリスクがある可能性があるため、麻酔科医の術前診察時によく相談をするようにしてください。)

2021年10月06日 21時14分

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