指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

慢性鼻炎に対するレーザー治療について

30代女性

来月、レーザー治療を受けます。今更ですが、受ける意味があるのかどうかお聞きしたいです。
昔から慢性鼻炎、花粉症が酷いです。
2014年に経鼻腔翼突管神経切除術
、鼻中隔矯正術を受け、数年は快適な生活を送ってきましたが、最近はシーズンになれば薬が手放せなくなってきました。
今更ですが、レーザー手術を受けて症状は改善するのでしょうか。主治医は、「レーザーで改善する症状は鼻詰まりなので、めちゃくちゃ効果がでるとは限らない」とのことで、私自身もそこまで期待はせず経験としてやってみようかや、と思った次第です。
症状のなかで一番つらいのはむずむずです。最も酷い時は、むずむずしつつ、鼻が完全に詰まり、水鼻がでます。
このむずむずが、最近薬も効かなくなってきたので、少しでも改善されるなら…と考えています。
ご意見いただきたいです。よろしくお願いします。

回答済み

耳鼻咽喉科

質問いただきありがとうございます。 慢性鼻炎・花粉症でかなり長期間悩んでおり、きちんと手術も受けていらっしゃる上で、まだ症状が続くということなのですね。レーザー手術の有効性についてですが、正直受けてみないとわからないという印象です。手術を受けるとしても、ムズムズ感への対応として、他の簡単手段を試してみても良いかもしれません。 レーザー手術(レーザー下鼻甲介焼灼術)について簡単にお話します。アレルギー症状の中心部位である下鼻甲介の粘膜表面を焼灼することで、アレルギーによる鼻汁分泌をへらすことと、粘膜表面が収縮するため鼻閉にも効果が期待できます。従来、1年程度で効果が切れると考えられていましたが、少なくとも7年程度効果が持続したという研究結果もありますので、効果は長続きすることもあるようです。繰り返しの施術は必ずしも推奨されていません。 注意すべき点として、手術を受ける時期があります。花粉飛散期になってしまうと、下鼻甲介粘膜が常にむくんでしまい、効果が不十分になってしまう可能性があります。手術を来月に受けるとすると、本格花粉飛散期に突入してしまっており、レーザー焼灼に最適な時期とは言えないかもしれません。 また、レーザーで焼灼できるのはあくまで下鼻甲介の部分だけです。ムズムズ感は下鼻甲介だけではなく、鼻腔入口部の皮膚・粘膜からも生じます。期待したほどはムズムズ感は取れないかもしれません。 ムズムズ感への対応として、第一選択はやはり抗ヒスタミン薬の内服になります。ザイザル・アレロックはこれに相当しますので、継続をおすすめします。 また、点鼻ステロイド薬も有効な可能性がありますので、ご検討ください。 その他、今シーズン今すぐできる対応として、鼻の入り口に軟膏を塗るという方法があります。最初はワセリン、症状がひどいときはステロイドの軟膏が良いです。皮膚・粘膜へのアレルゲン付着を防ぎ、ムズムズ感には特に有効ですのでお試しください。 また、症状がひどいようですので、長期的には舌下免疫療法も検討されると良いでしょう。舌下免疫療法は、舌の下側にアレルゲンを毎日留置することで体質を変える治療法です。1年以上継続する必要はありますが、うまく行けば花粉症の症状を全体的に緩和し、人によっては薬が要らなくなることもあります。1日の薬剤負担は3割の方で60〜70円程度です。花粉飛散期には治療開始できませんので、6月以降を目安に治療開始することをおすすめいたします。 以上回答させていただきます。レーザー焼灼について少し否定的な論調になってしまいましたが、アレルギー性鼻炎に対する最も負担が少ない手術ではありますので、施術へのハードルが低いのは事実です。主治医の先生とよく相談し、決定してください。 この回答がお役に立てば光栄です。またわからない事があればいつでもご相談下さい。

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2023年02月15日 19時57分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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