相談回答詳細

指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

慢性副鼻腔炎が治らない

40代女性

20代から副鼻腔炎に悩んでいましたが、ここ6年位症状が悪化しています。
耳鼻科のクリニックや二次救急病院に受診しましたが、「アレルギーによる慢性副鼻腔炎で完治は無理」「(CTで)副鼻腔のつまりはそんなにひどくないので副鼻腔炎の手術は適応外」と言われていますが、夜間何度も痰が詰まり起きたり、幼児の子供の風邪がうつるとひどいと気管支炎になりかなりつらいです。

特に辛い事
1痰の垂れ込みが常時あり5分毎に痰をだしたり、1時間ごとに鼻を掃除しないと余計にたれ込みがひどくなる。
2黄色い痰が垂れ込むのでのどが常時痛くて、ここ2週間くらい固いものが食べられない
3 抗生物質を毎月飲んでいる

今やっていること
1 夜起きた時ハチミツ湯で潤す
2 加湿、マスク
3 入浴時鼻をシャワーで5分くらい洗う(市販の鼻うがいは金銭的に辛い)

治療した事
1 低用量マクロライド療法(薬を内服している間はよかった。)

相談したい事
抗生剤をできたら季節ごとくらいに減らしたいし夜間寝れるようになりたいし、冬の間喉が痛くないようになりたいけどどうしたらいいのか。
他の病院に受診したらいいのか。
ダニアレルギーを改善(舌下免疫)したら少しよくなるのか。

よろしくお願いします。

回答済み

耳鼻咽喉科

質問いただきありがとうございます。20年程度副鼻腔炎の症状でずっと悩んでいるということですね。症状を伺うと、ほぼ日常的に痰の垂れ込みがあったり、気管支炎を起こしやすかったりとかなりつらそうな印象です。結論から申し上げますと、診断からしっかりつけ直す必要があるように感じます。一度大学病院の耳鼻咽喉科を受診していただくことをおすすめいたします。


まず、慢性副鼻腔炎についてです。症状とCTで診断をつけ、特にCTの所見によって手術の必要性があるかを判断します。「手術は適応外」と言われたということは、治療が必要なほど副鼻腔に炎症が溜まっていなかったことを示しています。しかし、現実的には慢性副鼻腔炎を疑う症状が続いている。これは、診断が一般的な慢性副鼻腔炎ではないことを示唆しています。


第一に疑うのはアレルギーによる症状や、慢性上咽頭炎と言われる慢性疾患です。ダニアレルギーがあるようですので、抗ヒスタミン薬の内服で効果があるかどうかは見る必要があるでしょう。しかし、すでに抗ヒスタミン薬(ルパフィンのことです)の内服は継続されているのに症状が全く良くならないのであれば、アレルギーのみでは説明できないということになります。であるとすれば、舌下免疫療法も必ずしも期待はできないでしょう。次に慢性上咽頭炎ですが、これは慢性的に鼻・喉の違和感が継続するような疾患です。この疾患を持つ方では、違和感をなんとか取ろうとして、気管〜咽頭で自然に分泌された分泌液を無理やり吐き出すことで痰として出すようになる場合があります。この疾患の診断は少し難しく、その他の疾患が存在しないことで診断する、除外診断となります。


その他に考えられる疾患として、稀な原発性線毛機能不全症という疾患があります。この疾患は先天性に粘膜が粘液を排出できないことで、慢性副鼻腔炎と気管支拡張症を来す疾患です。通常出生時から発症し、成人で症状がでることは珍しいですが、実際はそういう方もいるようです。遺伝性疾患ですので、相談者様のご両親や兄弟、お子様で同様の症状を持つ方がいらっしゃるようであれば疑いは強くなります。そのようなことはありますでしょうか?

この疾患を診断するためには大学病院での検査が必要となりますので、一度大学病院耳鼻咽喉科・呼吸器内科への受診をおすすめいたします。現状、この疾患を根治的に治療する方法は残念ながらなく、去痰薬や低用量マクロライド療法を継続しながら経過観察することになります。


1点気になるのは、入浴時シャワーで鼻を洗う、と書かれているのですが、これはあまり推奨できません。市販の鼻うがいでは、温度と濃度を体液と同等にすることで起こる副作用を防いでいます。食塩を加えないお湯は、鼻の粘膜に炎症を起こす原因となりかねません。この行為自体が症状を悪化させている可能性もありえます。金銭的に厳しい部分があるとすれば、ご自身で生理食塩水を用意するのはいかがでしょう?1Lのお湯に9gの食塩(食卓塩でよいです)を溶かし、40度程度のお湯でうがいするようにしてくだされば、炎症は生じにくくなります。

その他気をつけてくださっていることは、継続していただいて良いように思います。


以上回答させていただきます。この回答がお役に立てば光栄です。またわからない事があればいつでもご相談下さい。

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2023年03月01日 10時07分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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