指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

妊娠15週 ひどい副鼻腔炎

30代女性

妊娠15週です。2週間ほど前に子供のヒトメタニューモウイルスがうつり、そこから酷い副鼻腔炎に悩まされています。もともと鼻茸があり、鼻の骨の曲がっていることから手術予定でしたが、第一子妊娠がわかりそこからうやむやになって4年ほど経っています。
初めは黄色い鼻水、咳、後鼻漏程度でしたが、3日ほど前から左顔面痛がひどくカロナールを飲まなければ動けない、眠れないほどです。飲んだ後も痛みが和らぐ程度で4時間ほどで切れてまた唸るほど痛みます。また、特に塩味において味がわからなくなっています。
同じ耳鼻科を4回受診し、出されたメイアクトを10日ほど1日3回1錠ずつ飲んでいましたが良くならず、この度ジェネリックのセフジトレンピボキシルを1日3回2錠ずつに変更になりました。
妊娠中であることを伝えた上での処方ですが、こんなに長くたくさんの量の薬を飲んでいいのか不安です。あまりに辛いため今は全ての薬を規定通り服用していますが…。
ひとまず1日6錠を5日分処方されましたので、このまま薬を飲んで様子見の方がいいのでしょうか?それとも一度他の病院にかかるべきでしょうか?
おそらく病院に鼻カメラ等はないため、一度も副鼻腔の中を見たりはしていません。病院に勧められ、毎晩鼻うがいを行なっています。

回答済み

耳鼻咽喉科

指名質問いただきありがとうございます。妊娠中に急性副鼻腔炎にかかってしまい、抗生剤で治療しているにも関わらず現在も顔面痛や味覚障害など症状が続いているということで、とても悩まれていることかと思います。また、投薬が長くなって不安に思われる気持ちもよくわかります。結論から申し上げますと、一度しっかり精査・治療方針を検討するのが良いように思います


もともと鼻茸と鼻中隔弯曲があるということですので、慢性副鼻腔炎を疑う状態であったということだと思います。慢性副鼻腔炎・鼻中隔湾曲症であると、副鼻腔に貯留した炎症を出しづらくなってしまうため、感染がおきて症状が治りにくくなることがあります。現在のなかなか長引く状態の原因となっていてもおかしくないと思います。


抗生剤を10日間のんで良くならないということですが、なぜ効かないのかについて考えていきます。まず、細菌性感染ではない可能性があります。お子様がヒトメタニューモウイルス感染症であったということですので、相談者様も細菌感染ではなく、ウイルス感染による副鼻腔炎を発症している可能性があります。この場合は残念ながら抗生剤は無効であるということになります。次に、抗生剤に抵抗性の細菌である可能性があります。倍量に増量したようですので、これで効いてくれれば良いのですが、薬剤感受性(どういった抗生剤が効くか)の検査を含め、細菌培養検査の施行は検討されるべきであろうと考えます。また、採血検査でも細菌感染・ウイルス感染のある程度の見分けは可能です。


今後の大まかな方針についてですが、妊娠中でいらっしゃるということであまり薬は使いたくないという気持ちはよくわかります。しかし、今の体調が悪い状態のままで妊娠期間をそのまま過ごしていくのは難しいと思いますので、しっかり診断・治療していくべきでしょう。現状で可能な検査は1. 細菌培養検査、2. 採血検査、さらに必要があればMRI検査が挙げられます。どのような検査が適正であるかについては診察が必要ですので、ここで明確に申し上げるのは難しいです。

次に治療法ですが、1.抗生剤を変更する、2.上顎洞穿刺による洗浄を行うといった方法があります。抗生剤は妊娠中ですと選択肢が限られますが、現在のメイアクト(セフジトレンピボキシル)通常量では効果不十分であったことがわかっています。細菌性急性副鼻腔炎としては肺炎球菌・インフルエンザ桿菌という菌が多いことがわかっています。そして近年では薬剤耐性菌といって、一般的な抗生剤が効きにくい細菌が増えていますので、投与法には工夫が必要です。メイアクト倍量投与は一つの方法ではありますが、その他の薬剤に切り替える、点滴での投与を行うなどの方法も選択肢として検討されることがあるでしょう。上顎洞穿刺は膿の溜まった副鼻腔に針を刺して洗浄する方法で、抗生剤が効かなければ検討されるかもしれません。


これらの検査法・治療法についてはこれまで治療してきた主治医の先生とまずは相談することをおすすめします。相談者様の気持ちのまま、薬を長く飲むことが不安であること、症状が辛いこと、現在の治療で良いのか不安があること等お話してみてはいかがでしょうか。主治医の先生の判断にもよりますが、症状が強いこと、妊娠中であること、検査・治療の選択肢が増えることを考えますと、一度大きい病院へ紹介・受診していただくのも方法の一つのように思います。


なお、抗生剤の内服が長期に及ぶことについてです。当然最低限の内服で済ませられることがベストではありますが、感染・炎症状態が体の中にくすぶり続け、辛い症状に悩み続けるほうが問題ではないかと思います。投薬内容自体は妊婦の方でも、小児でもよく内服するお薬ですので、現時点で大きく問題となる可能性は低いと考えます。治療方針としてもご自身の体調を最優先で考えていただきたいと思います。


まとめますと、一度細菌検査・採血、必要に応じてMRIなどの施行を検討し、抗生剤などの治療内容・方法については検討の余地があるため、まずは主治医の先生と相談し、場合によっては大きな病院への受診も選択肢となるかもしれません


以上、回答させていただきます。この回答がお役に立てば嬉しいです。

ご回答ありがとうございました。なかなか良くならず不安に思っていた中でしたので、丁寧にご回答いただきありがたかったです。再度受診して相談してみようと思います。

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2023年07月06日 19時54分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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