指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

日帰りの副鼻腔炎手術

30代女性

慢性の副鼻腔炎、鼻茸、鼻中隔湾曲症です。
以前大学病院で手術を予定していたのですが、妊娠出産が重なり有耶無耶になってしまいました。
妊娠中に酷い副鼻腔炎になったこともあり授乳が終わったら手術したいと思っています。
引っ越しをしたことや子育てのことを考えて可能なら日帰りで手術したく、現在の耳鼻科のかかりつけにも可能だと言われているのですが、以前別の病院では私の現状だと日帰りでは不可能と言われたことが気になっています。大学病院では1週間ほどの入院と言われていました。
予定している病院は内視鏡鼻下中隔手術I型、内視鏡下鼻副鼻腔手術などを行っているそうです(HPで確認しました)。

しっかり治したい場合はやはり大学病院で入院するべきでしょうか?それとも日帰りでも内容はあまり変わりませんか?
教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。

回答済み

耳鼻咽喉科

指名相談いただきありがとうございます。慢性副鼻腔炎の手術を検討しており、日帰りで行うべきか、大学病院で入院するべきか迷っているということですね。スッパリどっちがいいと明言するのは難しいのですが、副鼻腔炎の手術にはリスクや術後合併症もありますので、そのあたりもよく担当の先生とお話し、納得できる方で手術を受けていただくのが良いかな、と思いました。


まず、慢性副鼻腔炎の手術では基本的に全身麻酔が必要です。副鼻腔という空間は仕切る骨がたくさんあり、副鼻腔炎の手術ではこの骨をバリバリ除去していくことになります。当然麻酔がないと強い痛みを感じます。さらに鼻中隔弯曲症の手術も検討されているということで、こちらも全身麻酔での手術でないとしっかり治しきれないことがあります。ということで、どちらの病院で手術を受けるとしても、全身麻酔を行っていただくことは前提条件となります。日帰りの病院で、もし局所麻酔での手術を進められているなら、そちらは選択されないほうがよいでしょう。


手術をしっかりやってくれるかについてですが、大学病院での手術であれば基本的にまず間違いなくしっかりやってくれると言えます。一方、日帰り病院での施術では、術者の経験数に大きく左右されると言えるでしょう。日帰り手術でも元大学病院や総合病院でバリバリ手術されていた先生が施術してくれるところがあるのは事実です。こういった先生が担当であれば、まず心配ないでしょう。逆に経験数の少ない先生や、大学病院・総合病院でのトレーニングをきちんと受けられていない先生ですと、施術内容にはやや不安があると言わざるを得ません。担当医師の経歴をよく確認されたほうがよろしいでしょう。


ちなみに最近では日帰り全身麻酔手術で副鼻腔炎の治療を行う施設が増えています。麻酔用の薬剤が進歩したから、全身麻酔前後の管理は簡略化しても問題ないことが徐々にわかってきたから、というのが理由です。ですので、手術を受ける施設を選ぶためには、手術自体の合併症にしっかり対応してくれるかどうか、がポイントになります


副鼻腔手術の合併症は様々なのですが、術後起こり得る合併症で、帰宅後に問題になることがあるのは術後出血です。手術中にしっかり止血処置をしますし、止血剤やガーゼを鼻に詰めた状態で手術が終わりますので、術後出血が問題になる可能性は高くは有りません。ただ、稀ですが術後出血が起こった場合は、すぐに処置や緊急手術が必要になることがあります。この合併症を懸念する場合、やはり入院での経過観察を受けたほうが安心であると言えるでしょう。日帰り病院でこういった合併症が例えば夜中に起こってしまったときにどうしたらよいかについて、担当の先生によく質問・相談されておく必要があります。日帰り病院でもすぐに対応してくれる確約があるのであれば、その施設で手術をうけるのも一つの選択肢だろうと思います。逆に、夜間は提携していない他の病院の救急を受診してください、というような無責任な案内をされるような施設ならばやめておいたほうがよいかもしれません。


副鼻腔炎の手術は全身麻酔・入院というのが過去の鉄則でしたが、近年流行ってきた日帰り全身麻酔により、日帰りでの施術が徐々に増えています。ただ、最終的には施術をしてくださる先生が信頼できるかどうかで決めていただくのが良いかも知れません。以上回答させていただきます。また何か有りましたらお気軽に質問ください。

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2024年05月02日 20時18分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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