指名:Noboru Hagino(Rheumatology) 先生

膠原病、体重が増えません

30代女性

昔から、人並みに食べているのに痩せ型で身長161cmに対し体重は44Kg以上になったことがありません。
2年前に好酸球性筋膜炎と診断され服薬治療をしています。症状はコントロールできていますが、治療中に体重が43kgから少しずつ減り、40kg前後をうろうろしていました。今年に入って妊娠し、切迫早産による2ヶ月の入院後に出産、現在38Kgにまで落ちてしまいました。ちなみに母乳はほとんど出ておらず子供はほぼミルク栄養で育てています。
低体重は骨粗鬆症のリスクにもなると聞きますし、今後の体力のためにもどうにか体重を持ち直したいのですが、
この体重の低下は、膠原病や治療薬の影響なのでしょうか?病気がわかって以降、腕や脚の筋肉がかなり痩せました。
もともと太りにくい体質だったところに、膠原病が拍車をかけてしまったと自分では思っていますが…
体重(体力)の維持のために、すぐに効果は出なくても取り組めるようなことがあれば、アドバイスをいただければ幸いです。

ご相談有難うございます。返信に時間がかかって申し訳ございません。 好酸球性筋膜炎に対してプレドニン、イムラン内服中とのこと、加えて妊娠・出産をご経験で、大変な日々であったことと拝察致します。 一般論としましては、プレドニン内服中の方は過剰な食欲のコントロールに難渋する傾向がありますが、食事の量は十分でしょうか。例えば併用しておられるイムラン(古典的な免疫抑制剤ですが、妊娠経過中も比較的安全に使用できるため、まだまだ膠原病治療では出番のある薬です)による胃腸症状が強いため、食欲が低下していることはございませんでしょうか。 体重低下の原因としましては 1. もともとの病気によるもの 1-1.もともとの病気の合併症によるもの 2. 治療薬(の副作用)によるもの 3. その他 などが考えられます 1. 好酸球性筋膜炎が非常に稀に好酸球性胃腸炎を合併することがあり、その症状として食欲不振がありますが、あまり胃腸の症状について書いておられないことから、可能性は低いと推測します。 1-1. 自己免疫疾患はしばしば甲状腺機能の異常を伴うことがあり、甲状腺機能亢進症は体重減少の理由にもなります。橋本病をすでに指摘されておられますので、甲状腺機能は定期的にチェックされていると想像します。糖尿病による体重減少も妊娠経過中に検査されていると思いますので可能性は低いでしょう。蛋白漏出性胃腸症という、食べたタンパク質が適切に吸収されない病気があり、下痢が目立たないこともありますが、好酸球性筋膜炎との合併は非常に稀です。 2. 上述の通り、イムランによる胃腸症状の可能性を考えました 3. 食欲は適切、発熱や寝汗・痛み・息切れなどの症状がなく、腹痛や下痢などの消化器症状もないにも関わらず体重が増加しづらい方々はいらっしゃいます。「食べているのに体重が増えない(むしろ低下する)」方で、原因がはっきりしない方は、約25%ほどと見積もられています。 そのような方には、栄養バランスを見直し(相対的にタンパク質を多く含んだ食事にする)、場合によっては食事を4回以上にする、などの方法(栄養指導)が適切なこともあります。 痩せたい悩みと同様かそれ以上に「健康的に太りたい(体重を増やしたい)」という悩みも深刻と思います。一度、好酸球性筋膜炎について受診しておられる外来医の先生にご相談の上、可能なら栄養指導(低栄養状態)を受けてみられるのはいかがでしょうか。 付記:インターネット上で「健康的 太る 食事」など検索すると、複数のサイトが引っかかり、内容については医学的に妥当なものから、自社製品のPRにすぎないものまで玉石混淆でしたので、今回の回答では特定のサイトのお薦めには至りませんでした。現在通院中であられることもあり、まずは外来主治医の先生にご相談なさるのが適切と思います。

詳しいご回答、誠にありがとうございました!周りに同じ病気や悩みを持つ人がおらず困っていましたので、とても心強く、勉強になりました。食欲や胃腸症状、甲状腺機能、糖代謝等に異常はないので、3の体質的な部分もあるのかもしれません。栄養指導のことも含め主治医に相談してみようと思います。

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2023年01月04日 07時11分


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リウマチ・膠原病は、近年病態生理の解明が急速に進み、診断・治療の進歩が著しい分野ですが、本邦では専門医が少ない分野でもあります。お悩みのことがございましたら、お気軽にご相談下さい。

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