子どもの目が悪くならないようにする2つの対策方法とは
「息子の目が悪くなり、学校の検診でD判定だった」「娘が目を細めてテレビを見ている」などといった相談を受けることがあります。
遠くが見えづらくなっている状態を、専門用語では「近視」といいます。近視は親から遺伝することもありますが、パソコンやスマホを見ているなど、近くを見ている時間が長いほど近視が強くなるともいわれています[1]。
また、コロナウイルス感染症の流行に伴い、子どもが家にいる時間が増えました。子どもが家にいる時間が増えると、スマホやパソコンを見る時間が増える子どももいるでしょう。こうして近くの物を見ている時間が長くなったことから、近視がますます増えると我々眼科医は懸念しています。
近視は、遠くが見えづらい状態です。あなたも自分のお子さんの目が悪くなるのを防ぎたいと思いませんか?そこで、今回は眼科医が近視とその対策方法について解説します。
この記事を読めば、今日から子どもの目が悪くならなくする方法を知ることができるようになります。
近視がもたらす目の病気
近視のため子どもの視力が下がるだけであれば、眼鏡やコンタクトレンズを変えればよいと思う方もいるでしょう。しかし、近視が進行すると「強度近視」という状態になる方がいます。強度近視は、白内障や網膜はく離などの病気になる確率が特に高くなるとされています[2]。白内障や網膜はく離などの病気になると視力が下がったり、視野が欠けたりします。最悪の場合は失明することもあります。
こういった病気になると考えると、近視にならないための努力が大切だと思います。しかし、子どもたちは病気のことを重く受け止められないことも少なくありません。親など周囲の人間によって、近視が進行しないよう指導が必要です。
とはいえ、具体的に何をすると近視を防げるのかがわからないと思います。そこで、ここからは今日からおこなえる近視進行対策を2つ紹介します。
近視対策①「スマホやパソコンを見たら、20-20-20ルールを守ろう!」
皆さんは20-20-20ルールをご存じでしょうか?
この20-20-20ルールは、アメリカ眼科学会がパソコンやスマホなどの画面を見た際の眼精疲労に対して推奨した方法です。最近になって、近視対策としても用いられるようになりました。
20-20-20ルールを具体的に説明します。20-20-20ルールとは「20分ごとに20秒の休憩をとり、少なくとも20フィート(6m)離れた物を見る」という方法です。
例えば、20分間ゲームをしたら、20秒間は窓の外にある木を見る。これが20-20-20ルールです。この20分間はあっという間に過ぎてしまうので、タイマー機能のある時計などで設定しましょう。
近視対策②「できるだけ外で遊ぼう!」
20-20-20ルールは、近くの物を見る時の休憩方法でした。それ以外に簡単にできる近視対策は、外で遊ぶことです。実は、外で遊ぶと近視が予防できるとされています。
2020年の報告によると、屋外で遊ぶ時間を1日120分確保することで近視の割合が減ったとされています[3]。
これは太陽光を浴びる時間が増えることが影響しています。また、外で遊んでいる時間が長いほど、スマホやパソコンなど近くを見る時間が少なくなることも影響していると思われます。
とはいえ、1日に120分間も外で遊ぶのは難しいかもしれません。1日30分でもいいので、外で遊ぶ時間を増やすようにしてみましょう。
まとめ
近視は目が悪くなり、眼鏡やコンタクトレンズが必要になるだけではありません。さまざまな病気の原因になり、視力が下がったり、視野が欠けたりします。最悪の場合は失明することもあります。
しかし、子どもの頃にそのような病気を発症することはほとんどなく、大人になってから発症します。そのため、子どもたちは自分事のように思いにくいでしょう。
近視を予防するためには、親御さんの協力が必要です。この記事で紹介した「スマホやパソコンを見たら、20-20-20ルールを守ろう!」と「できるだけ外で遊ぼう!」という2つの対策は今日からできる対策です。お子さんの目を守るために少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献
[1]子供が近視といわれたら.
[2]Refractive Error and Eye Health: An Umbrella Review of Meta-Analyses.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8599990/,(参照2022-04-22)
[3]Increased Time Outdoors Is Followed by Reversal of the Long-Term Trend to Reduced Visual Acuity in Taiwan Primary School Students.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32197911/,(参照2022-04-22)
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