矯正治療が長期化することの影響や弊害
30代 女性
自身の歯科矯正についてご相談させてください。
出っ歯や叢生があり、複数の一般歯科で矯正を勧められたことから、矯正認定医の先生も在籍してる専門クリニックで歯科矯正を始めてもうすぐ5年になります。
上下ともに裏側(舌側)矯正です。
当初は3年程が目安と言われていたものの、治療が長期化していることに最近少し不安を覚えてます。
「この隙間が閉じれば終わりなのであと半年で装置を外せますよ」と言われても、隙間が閉じるのに時間が掛かり、そこがようやく閉じても今度は反対側の隙間が少し開いてしまうなどして、結果的に治療が長期化してます。
一時期コロナ対策で予約人数がそれまでより制限されたため治療間隔が開いたり、歯とは別の体調の問題で半年間通えてなかった事情も治療長期化の一因ではあります。
幸い矯正の仕上がり具合にはまだ治療完了しておりませんが満足してます。
ただ裏側矯正のため自分で歯ブラシが当てづらく、フロスやタフトブラシも使用してますが、どうしても歯磨きが不十分になります。
腔内環境の健診目的で定期的に受診してる一般歯科では、歯ブラシが届きにくい場所の歯肉炎や歯周ポケットの深さを指摘されることが時々あります。
矯正を開始してから虫歯になったことはありません。
歯科矯正が長引くことによるデメリットはあるのでしょうか?またその他矯正が長引いてる現状についてご助言等あれはお伺いできると幸いです。
よろしくお願いいたします。
回答済み
ご質問ありがとうございます。
当初3年と言われていた治療期間が5年目にさしかかってくると、少し不安に感じられますよね。
お話を読んで、「良かった」と思う点は、
治療が長期化している原因をご自身でしっかりと把握されている点です。単に3年の予定が5年になっていると聞くと、私も不安に感じざるを得ませんが、そのような理由であれば、長期化するのも納得出来るものだと感じました。
また、一般の歯科にも定期的に通院されて、むし歯や歯肉炎のチェックをされているので、歯科矯正が長期化することによる一番のリスクはコントロールされているように思います。
ご質問内容にお答えする前に、前提として不安感を与えることが主旨ではなく、むしろ”見る”ポイントをお伝えすることで、目に見えない漠然とした不安が軽減されることを願ってのことです。
さて、ご質問内容の歯科矯正が長期化するリスクについてですが、基本的に歯科矯正のリスクに含まれており、治療計画のときに説明されている内容になります。ですのでリスクを列挙し、その中でも長期化と関連するであろうリスクを強調しようと思います。
歯肉の問題
通院中の一般歯科さんで指摘されている通り、歯ブラシが届きにくい部分はどうしても歯肉炎等のリスクになります。これは長期化の影響を受けるものと考えられますが、通院中の歯科医院で診てもらうことと、指導された内容を実践することでリスクを減らせるものと考えられます。
痛み
痛みに関しては、歯科矯正のリスクですが、これは長期化したからと言って、痛みが強くなるような報告はありません。長期化の影響は無視できると思います。
歯根吸収
今回”見る”ポイントは、これだと思います。歯科矯正では歯に力をかけることから、歯の根が短くなる、つまり歯根吸収のリスクがあります。断定は出来ませんが、歯根吸収のリスクは治療期間と正の相関関係があると言われており、治療期間の長期化でリスクが増加する可能性があります。ですので、X線写真などを見せてもらいながら説明を受けることで安心出来るかもしれません。
また、リスクとして説明は致しましたが、歯根吸収の長期予後に関するデータは殆どありませんので、歯根吸収したから何が困るのか?については”仮説的”になるとも言われており、歯根吸収したからすぐになにか悪影響がある!と断定出来ることはなさそうです。
歯の失活
いわゆる歯の神経が死んでしまうリスクです。結論から言えば、長期化によるリスクが高くなる可能性は低いと考えられます。じつは歯科矯正が歯髄(歯の神経)に及ぼす影響の研究は不十分で、まだ十分に理解されていません。しかしながら、外傷したことがある歯は失活するリスクが高くなる事や、歯の根の先が骨から出てしまった場合にはリスクが高くなるであろうと考えられる事、歯の移動速度が遅いほど失活しにくいであろうと考えれている事などを考慮に入れると、長期化したからリスクが高くなる可能性は低いと考えられます。
顎関節症
これはリスクとして説明はされると思いますが、歯科矯正治療と顎関節症の因果関係ははっきりしておらず、長期化の話以前の段階のトピックになりますので、分からないが答えになると思いますが、現状長期化のリスクとは考えられていないとも言えると思います。
むし歯
これは長期化するとどうしてもリスクがあがると考えられますが、定期的な通院で、現状問題ないことが分かっていますし、定期的に通院されていれば、むし歯の初期症状に気がつくことも出来ると思いますので、これについては現状の対策で問題ないと思います。
発話障害
舌側矯正であれば、装置をつけた当初、”しゃべりにくさ”を感じたと思いますが、それも歯科矯正治療のリスクではあります。矯正装置を外すことで、”しゃべりにくさ”も改善すると考えられます。長期化することで、装置の影響を長く受けていたことにより、装置を外してからの回復までにも時間がかかる可能性もあとも考えることも出来ますが、比較的短期間で回復するでしょうから、長期化による影響はほとんど無視できると考えられます。そのあたりの研究もほとんどありません。
エナメル質の損傷
これは装置を外すときに起こりうるリスクですが、長期化による影響はほぼないと考えることが出来ます。
まとめ
まとめると、気をつけないといけないポイントで、欠けているかもしれない視点は「歯根吸収」くらいだと思われます。すでにその点も気をつけている場合であれば問題ないですし、あまり気にしたことがなければ、矯正の先生に「長期化により、歯根吸収の心配を少ししている」点を相談してみると良いと思います。
以上になりますが、
相談者さんにとって、なにか参考になる情報があったなら、嬉しいです。
※参考文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27868202/
2024年08月05日 12時27分
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