相談詳細
指名:こどアレ@小児科医|アレルギー専門医 先生
ナッツアレルギーについて
10歳未満女性
回答済み
ご指名でのご相談ありがとうございます。ナッツ類アレルギーについて、「保育園で勤務、ナッツアレルギーの診断の児が居る、園の給食でナッツ類は出ないがココアやチョコレートを使用したおやつの提供がある、検査結果にカカオの記載は無かった、除去すべき?」というご質問でした。
食物アレルギーや園での管理について、少しご説明が必要かなと思われる点がございましたので、それぞれ説明させて頂きます。
まず1点目、「ナッツ類アレルギー」とひとくくりで診断することは一般的にはありません(少なくとも小児アレルギー専門医ではしないかと思います)。ナッツ類はそれぞれ異なるものですので、まとめて除去することはありません。「くるみ」アレルギーがあっても、「カシューナッツ」「アーモンド」「ブラジルナッツ」「カカオ」などは食べられる可能性があり、それぞれ食べられるかどうか確認していく必要があります。「くるみ」にも「カシューナッツ」にもアレルギーがあるお子さんも居ますが、似ているから反応する訳ではなくて、別々にアレルギーがあるということになります。例外として「くるみ」と「ペカンナッツ」、「カシューナッツ」と「ピスタチオ」はそれぞれ一緒に除去します。ただ、「くるみ」アレルギーがあって怖くて他のナッツ類を試せていないために、ナッツ類全般をやむなく除去しているというお子さんは少なくないかも知れません。そのお子さんに関しては、具体的に「どのナッツが除去対象なのか」「除去となった理由はなんなのか」などは親御さんにお聞きになると良いかと思います。
2点目、そもそも、厚生労働省の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019 年改訂版)」にも規定されている通り、「保育所における食事の提供に当たっての原則」として、「原因食品の除去は完全除去を行うことが基本」ですし、「家庭で安全に食べられることを確認してから、保育所での提供を行うことが重要」となります。つまり、「ココア」「チョコレート」「カカオ」などが自宅で食べられていないようであれば、園で提供することは出来ません。
3点目、これはおまけですが、血液検査で食物アレルギーの診断は出来ません。例え、カカオの特異的IgE検査が陽性だとしてもアレルギーがあるかどうかは実際に食べてみないとわかりません。ここでも、例外があって、「くるみ」「カシューナッツ」のタンパク質の中で特にアレルギーを起こしやすい成分(コンポーネント、AnaO3やJugr1など)を検査することが出来ていて、それが高い値であれば、まず食物アレルギーと診断出来ます。ただし、コンポーネントの結果にて食べられる量や食べた時の症状の強さはわかりません。
まずは、お子さんのナッツ類アレルギーの根拠、ココアやチョコが充分量食べれているか、などをご確認頂き、実際どうするかをご検討頂くと良いかと思います。よろしくお願いいたします。
2023年03月15日 12時13分