指名:Tatsu Ogawa*生殖医 先生

ラクトバチルスについて

40代女性

不妊治療中で、移植前のEMAALICE再検査で、ラクトバチルス80%でした。
この状態はいつまで保たれるものなのでしょうか。
今後妊娠したとして、妊婦中は、ラクトバチルスは減ったり増えたりするものですか?
ガードネレラ菌も検出されており、抗生剤使用予定ですが、この菌は、一回消えても、また増えたりするのでしょうか?

回答済み

産婦人科

ご質問、ご指名ありがとうございます。

ラクトバチルスの割合がいつまで保たれるかと言うのは、抗菌薬の使用や子宮内感染が起きたかどうかに大きく左右されます。例えば、EMMA/ALICEの依頼書には3か月以内の抗菌薬の使用状況の記載欄があります。それによって結果が左右されると言うことです。広範囲(多くの種類)の菌に感受性のある抗菌薬を使用していた場合には、「ラクトバチルスを含めてほとんど菌を検出しませんでした」というような結果になることもあります。ラクトバチルスはいわゆる「善玉菌」と考えて良いですが、それも殺してしまうんですね。したがって、「不要な菌」を殺したらラクトバチルスやビフィドバクテリウムが増えるよう、ラクトフェリンやプロバイオティクスの内服や腟剤の使用がお勧めされます。これによって増やすことができるかもしれません。

ガードネレラに最もよく使用されるのはメトロニダゾールという抗原虫薬という種類の薬です。こちらは通常ラクトバチルスに悪影響を及ぼさないので、使用しやすいです。もちろんラクトフェリン他を併用していただくことも多いです。

妊娠中については、子宮内の検査は不可能です。それでも絨毛膜羊膜炎という感染が起きてしまった時には、ラクトバチルスではなく(厳密にはラクトバチルス属にも炎症の原因となる菌はいますが話が難しくなるしIgenomix社もVarinos社もそこまで細かくレアなパターンを調べられませんので今回は省略します)、炎症の原因となる菌が増加しています。その場合は胎児の生死に関わります。妊娠前からラクトバチルスの割合を増やしておくのは、その絨毛膜羊膜炎のリスクを下げる可能性があると考えられます。

ガードネレラをしっかり退治して(当然また増えることもありますが、頻回の検査は不要でしょう)、ラクトフェリンやプロバイオティクスでラクトバチルスの割合を増やしてください。80%なら再検査までしない施設も少なくないのではないかと予想します。

少しでもお役に立てれば幸いです。

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2023年04月08日 21時43分


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産婦人科、専門は生殖医療です。日常の診療では主に、一般不妊治療、生殖補助医療、不育症、がん生殖医療、PGTを含めた遺伝カウンセリングを取り扱っています。1人でも多くの方のサポートができれば幸いです。

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