指名:Tatsu Ogawa*生殖医 先生

経口中絶薬は流産に適用できるのか。

30代女性

今話題になっている飲む中絶薬は流産にも適用となるのでしょうか。
今現在13wまでの初期流産・稽留流産の場合、掻爬か吸引手術となると思うのですが、飲み薬が適用であれば身体的負担がすごく減るのではと考えております。
手術が怖くて移植が怖くなるループから抜けたいです。

回答済み

産婦人科

ご質問、ご指名ありがとうございます。

流産は本当に辛いですし、可能であれば手術もしないで済めば良いと思います。

さて、ご存知の経口中絶薬「メフィーゴパック」は昨日4月21日の厚生労働省薬事分科会で了承されたため、近いうちに承認に至るとされています。

このメフィーゴパックは①ミフェプリストンと②ミソプロストールのセットです。どのように作用するかと言うと、妊娠9週までにおいて、プロゲステロン受容体拮抗薬である①により黄体ホルモンを遮断して妊娠の継続を困難とさせ、プロスタグランジン作動薬である②により子宮を収縮させて排出する、という流れで中絶に至ります。

既に稽留流産の診断がなされている場合には①の作用は不要ですので、②の作用のみで十分であり、実際に海外では②はその用途で使用されています。国内では②は「サイトテック」という商品名で胃潰瘍などの治療薬として使用されてはいますが、今でも流産には保険適応されていません。今回メフィーゴパックの一部として②が承認されれば、近い将来、国内でも②単独で流産に適応される可能性は高くなると考えます。

ただし、メフィーゴパックにしてもサイトテックにしても、出血が多かったり排出が不十分だったりした場合には、これまで同様の手術が必要になる可能性があることもご承知ください。

少しでもお役に立てれば幸いです。

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2023年04月22日 13時12分


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