指名:どっと@小児科医 先生

鼠径ヘルニアと診断されましたが手術をするか悩んでいます

10歳未満男性

昨夜、9ヶ月の息子(8.7kg)の右手側の陰のうが大きく腫れ、機嫌もとても悪かったため小児科の救急外来を受診したところ、超音波エコーで鼠径ヘルニアと診断されました。
指で押しても戻らなかったのでその日はそのまま帰宅して寝かせ、朝起きたところ腫れはひいていました。
本日、あらためて小児外科を受診したところヘルニアは元に戻っているとのことでしたが、またいつ再発するか分からないため全身麻酔の腹腔鏡手術による根治治療をすすめられました。
1. この月齢だと手術せず自然に治る可能性は低いと考えて良いでしょうか?
2. この月齢での手術で問題ないでしょうか?もう少し大きくなってから手術をした方が良い点などありますでしょうか?

回答済み

小児科

おはようございます。ご指名でのご相談をいただき、ありがとうございます。

生後9か月のお子さんが鼠径ヘルニアと診断され、手術を勧められているが、自然治癒傾向や手術の時期についてどう考えればよいかというご相談ですね。


鼠径ヘルニアは小児期の外科手術の中でも最も多いといわれるほど、比較的一般的な疾患です。日本小児外科学会の解説がわかりやすいのでよろしければご参照ください(http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/sokei-helnia)。


・1歳未満の鼠径ヘルニアは自然と治ることもあるとされていますが、自然に治ることを期待して手術の時期を遅らせることはすすめられない

・原則として生後4〜12か月ころに手術を計画しますが、戻りにくい場合はより早期に手術することもある

・入院期間は1-5日で日帰りの施設もある


私の地域では、生後6か月ころを目安に手術の計画をたてていることが多いですが、もっと早い段階でも戻りにくい場合には手術されていることもあります。


鼠径ヘルニアの診療ガイドラインでは1歳未満のお子さんに対する手術時期については、早期に行うか、待機的に行うか明確な提示はありませんが、小児外科専門医としっかり相談していくことが大切だとされています。


上記のことから

① 自然治癒がないとはいえませんが、月齢から考えると自然治癒を待つよりも、手術を検討していただくことがやはり無難だと感じます。救急外来で戻すことができなかったことから、今後嵌頓(かんとん)といって緊急での手術が必要になってしまう可能性も否定できません。例えば出先などで手術が必要となった場合には、いろんな面で負担が大きくなることも予想されます。


② 生後9か月は確かに未熟なことは事実ですが、鼠径ヘルニアの手術など小児外科疾患の中では未熟過ぎると考える月齢ではないかと思います。小児外科医、麻酔科医ともに、小児外科手術を定期的に行っている医療機関であれば、十分許容はされると思います。ただ、麻酔や手術には一定のリスクがあることは事実です。手術や麻酔に関わるリスクやその対策についてしっかりご理解いただいた上で、ご判断いただくことが大切だと思います。


上記のため、現在通院されている小児外科の先生や麻酔科の先生と改めて方針についてご相談いただければ幸いです。


ご回答としては上記となります。

ご参考になりましたら幸いです。


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2023年04月25日 09時57分


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小児科専門医です。専門はアレルギーですが、小児に関することは幅広く診療しています。何かしらお力になれれば幸いです。

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