2ヶ月からの4種混合接種について

10歳未満女性

もうすぐ2ヶ月の予防接種を控えています。
4種混合ワクチンが今年4月から2ヶ月でも打てるようになったと聞きました。
まだ始まったばかりなので、今打つか3ヶ月になってからにするか悩んでいます。
100日咳の対策のため時期が早まったということは分かったのですが、今までより1ヶ月早く打つことで何か問題が起こらないか?と心配もあります。
早く摂取することのデメリットは特にないでしょうか?

こんにちは。ご相談いただき、誠にありがとうございます。

4種混合ワクチンの接種開始が今年の4月から生後2か月に変更されていますが、1か月早く打つことによるデメリットはありませんかというご相談ですね。

確かに今までと変わるということに違和感を覚えるのは当然だと思いますし、しっかり情報を確認されていて素晴らしいなと思います。


4種混合ワクチンを1か月早く接種するようになった理由は、ご指摘の通り乳児期早期の百日咳を減らすためです。試算では、年間100人程度の百日咳の患者さんを減らすことに繋がるだろうとされています。

百日咳は乳児期には非常にリスクの高い感染症です。有効な抗菌薬はあり、早期に服用すれば効果が得られますが、実際には早期診断は困難で重症化してしまうこともあります。

そのため、「感染の予防」が非常に重要です。

きょうだいが学校で感染してご家族に広がってしまうことも多いため、2019年から日本小児科学会は就学前と11歳〜12歳での3種混合ワクチンの追加接種も推奨しています(任意接種です)http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=310。

しかし、それだけで防ぐことは難しく、また3種混合の追加を定期接種化することはコストなどの面でも困難であり、海外でも行われているように4種混合ワクチンを生後2か月から接種するようにしていくことが検討されました。


ちょうど5種混合ワクチン(4種混合+ヒブワクチン)が現在開発中であり、その臨床試験における対照群(効果を比べる相手)として、生後2か月から4種混合ワクチンを接種した場合について評価されていたため、そのデータも活用して、今回の結果になりました。

結果としては、生後2か月から4種混合ワクチンを接種しても、有効性に問題はなく、安全性においても特別な問題はないことが確認されています。米国や英国、WHOの推奨なども生後2か月ころからの接種が推奨されていることもあり、今年の4月1日から日本でも2か月からの接種を勧めるという形に改定となりました。


先々としては、5種混合ワクチンを生後2か月から接種する形にさらに変更になる可能性もありますが、十分な評価・検討がなされた上で2か月からの接種に変わっているため、安心して接種していただければと思います。

もちろん変更の直後ではありますので、ご心配でしたら、かかりつけの先生とも相談しつつ、ご対応いただければと思います。


上記となります。ご参考になりましたら幸いです。


参考:厚生労働省 沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP 2021年4月)1日 を含む混合ワクチン等の 接種スケジュールの前倒しについて 2022年11月18日

https://oyama-pediatrics.jp/admin/wp-content/uploads/2023/01/001014099.pdf


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2023年06月06日 10時42分


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