指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生

細胞診ではHSIL.組織診では異常なし〜軽度異形成

20代女性

2年前から毎年子宮頚がんの検査を受けていて、去年の9月ごろにうけた細胞診ではじめてHSILがでました。その後、コルポで組織診をしたら軽度異形成でした。
8時、13時、5時の3カ所の組織をとって
13時のみ軽度異形成でした。

その3ヶ月後、細胞診でHSIL.13時の方向の組織をとって組織診で異常なし
そのまた3ヶ月後の先月の5月細胞診をしましたがまたHSILがでました。

先生には、見た目は前よりも白い部分が少しだけ薄くなっているといわれました。
結果はまだ出ておりません。
白いが薄くなっていることに対しては嬉しいですが、なぜHSILがでるのか不安でたまりません。組織診は11時の方向の組織をとってまた異常なし。

もうあと少しで、HSILと診断されて一年経ちます。
取りきれていない病変があって、どんどんガンが進んでいたらどうしようとそればかり考えてしまいます。
また、奥の方に病変があるとそこがコルポでは見えないというのも聞きました。
先生に相談しましたが、円柱上皮?がなんたらかんたらで周りは綺麗と言われましたが
理解できませんでしたm(._.)m

キュレット?という道具で奥を掻爬する検査をしてもらえれば病変が出てくるでしょうか。

またHSILなのに炎症〜軽度という結果が続く場合は隠れてる病変が高いということでしょうか。

回答済み

産婦人科

ご質問ありがとうございます。

子宮頸癌の細胞診でHSILがでているけれども、組織診をするとCIN1しかでなかった。

その後も2回細胞診でHSILがでたが組織診では異常なし。実はがんがあって進行するんじゃないかと心配というご相談ですね。


実はとてもよくあるご質問です。

単刀直入にいうと、このようなことはしばしば起こります。


子宮頸がん検診では細胞診を行い、そこで異常があり基準を満たせばコルポスコピー、組織診を行います。


細胞診は子宮膣部、頸部から満遍なく採取するので、結果が異常であっても、どこに病変があるかは分かりません。

組織診はコルポで子宮膣部を観察し、病変がありそうなところを狙って生検します。


組織診では病変のありそうなところを生検しているのですが、一部しか採取しないので、病変部が採取できていない事もありますし、採取はきちんとできていて、結果が本当に軽度異形成のみで高度以上の病変が見られなかった、という事、両方あります。

細胞診と組織診の乖離は結構あるのです。


そのため、組織診で異常がなかったからといっても、それが確定診断になるわけではなく、見逃しがないように細胞診で経過を見ていきましょうという事になります。


ご質問者様の診察をしていないのでわかりませんが、閉経の近い方、閉経後の方などは病変部分が子宮頸管の奥に入り込んでいる事もあるので、おっしゃるように、子宮頸管内のキュレッテージといって、中の組織を採取する事もあります。

必要時には円錐切除をする事もあります。


ご質問者様はまだ20代というのもありますし、HSILがあって組織診で軽度異形成、コルポスコピーでの所見にもよりますが、円錐切除で診断するとか、治療をするという適応ではないと思われます。

担当医がキュレッテージをしないということは病変部が子宮膣部にせり出しているように見えて、奥の方にはなさそうという事なのだと思います。

医師に聞いてみないとわかりませんが。


細胞診と組織診の乖離はたびたびみられます。そのために定期的な細胞診が必要になります。定期的にみているうちに病変がなくなってしまう事もあります。


一つ何か追加でするとしたら、CIN1と診断されているので、HPV型別検査の適応ではあります。HPVのどの型に感染しているかを知る事で、検査間隔を少し伸ばしたり、やはり3ヶ月ごとなど慎重にみていきましょうとか、検査間隔をきめる方針を決めるのに役立ちます。


ただ、HPVハイリスクが陽性だからといってCIN1がすぐに治療の適応になるわけではないのと、保険適応でも6500円程度と高価な検査になるので、そのような事情も含めて検査をしない事もあります。


主治医の先生のコルポの見立てや、いままでの経過にもよると思いますので、よく医師と相談されることをおすすめします。


複数回組織診を行っていてもCIN1が最高病変であることを考えると、3ヶ月に一回細胞診のフォローをしている間に、いきなり癌になって子宮摘出が必要になるような状態になることはまずないと考えていいと思います。


必ず注意していただきたいのは、タバコを吸わないことと、指示された検診時期に受診することです。


心配だと思いますが、よく主治医とお話しして、気になる疑問は解決して少しでも安心して過ごせるといいなと思います。


以上ご参考になれば幸いです。

また何かご不安なことがありましたらいつでもご相談くださいね。

2

2023年06月14日 11時55分


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