相談詳細
指名:相川晴(HAL) 先生
乳幼児のコロナワクチン接種について
10歳未満男性
回答済み
ご質問ありがとうございます。 まずは、お子さんの接種お疲れ様でした! その後調子はいかがでしょうか。確率としては低いですが数日の間発熱することがありますので、様子をみてあげてくださいね。 たくさん調べて接種を決められたこと、特にMIS-Cまで調べておられるのは本当にすごいです。 接種後にマイナスの情報が目に入り不安になるとのこと、大変お悩みのことと思います。今Twitterをはじめとして、「不安にさせて接種を躊躇わせる」ための不確かな情報、誤った情報が蔓延しております。海外のニュースや論文を元にした(ように見せかけている)ものもあり、私もどうしたものかと悩ましく思っております。 「現段階での接種することのメリット」について、乳幼児についてはまだデータが出揃っておりません。ですので、もうすでに接種がスタートして時間が経っている&乳幼児に年齢も近い5-11歳のワクチンの情報が参考にになると思います。年齢が違う&量の差はありますが、基本的に同じ薬で、同じ「人間の子ども」の話ですので、大体同じ傾向が出てくると考えられますので論文を一つ紹介したいと思います。 つい最近でた論文になりますが、5-11歳のワクチンについてのシステマティックレビュー(たくさん質の高い論文を集めて解析したもの)で、ワクチン接種者約1100万人とワクチン非接種者約260万人を比較して有効性と安全性を調べたものになります。 ワクチンの効果は 感染予防効果(症状の有無問わない新型コロナウイルス感染症) 53% 発症予防効果(症状のある新型コロナウイルス感染症) 47% 入院予防効果 68% MIS-C予防効果 95% という結果でした。また安全性については 日常生活に支障をきたすほどの副反応 1回接種4.9% 2回接種8.8% 心筋炎 1回接種1/100万 2回接種1.8/100万 接種後の死亡例は4/1660万回(複雑な基礎疾患やインフルエンザ感染症なども含んでおり、ワクチン接種との因果関係が示されたものはない) https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2800743 となっており、思った以上の効果を感じます(特にMIS-Cの予防効果はかなり高いです) 上記の効果を「大したことない」と思うか、「もし感染した時の安心材料になる」と思うかは人によって違うと思いますが、私個人としては十分ワクチン接種を勧める理由になると考えています。 その上で、ほんの少し不安に思われているところに、私の感想を書かせていただきます。 「第8波はもう下火になってきており感染者数が減っていること」 →私ももし今後このウイルスが流行らない確証があれば、ワクチンは接種しませんし勧めることは一切ありません。ただウイルスの性質を考えますと、また変異して新たな波がくると考えられます…… それがいつになるかはわかりませんが、基本的には同じ「新型コロナウイルス」であり、おそらくまた「現行のワクチンが効きにくいタイプ」が流行る(というか「現行のワクチンが効きにくいタイプ」だから流行る……)ことが予想されますが、そうは言っても基本は同じウイルスなので、限定的でも効果はあるだろうし、その時に必要な追加接種を行うことでカバーしていくことになるんだろうと思います。 小児はもともと95%がかかっても軽症なこと →データの取り方によるのでなんともいえませんが、その95%が本当として、例えば交通事故にあっても95%は大したことないとして、残り5%になるような事故になった時に、チャイルドシートをつけなかったことを悔やまずに済むかなあ……と思うところです。 私なら、チャイルドシートつけて運転したいですが、どうでしょうか。 息子がまだ保育園や幼稚園に通っていないこと →これは感染リスクが低いという意味で考えてよいことと思います。が、例えば質問者さまをはじめとした家族が感染した時に、ワクチン接種してた場合としていない場合、安心感が随分違うのではないかと思いますが、いかがでしょう。 開発されて間もないワクチンを乳幼児に打つことのデメリット →とはいえ、製造されてもう2年ほど経つワクチンになります。先行接種した医療者は実験台等々言われましたが、特に問題なく過ごしているように思います。 まあ実験台はともかく、これまでたくさんの成人、それからもう少し大きいお兄ちゃんお姉ちゃんが接種してきた積み重ねがあり、その安全性や効果のデータがあったため、それを元に小さいお子さんの接種がやっと今になりスタートした、というところです。開発されて間もない、とは思わなくていいのではないかと思います。 未知のデメリットに関しては、新型コロナウイルスに感染した場合にも言えますし、やはり直接感染した場合の方が体の中を荒らされまくりますので、大きくなるだろうことが予想されます。 病原体の性質上、何回も感染することも考えられますので、MIS-Cも含め、ワクチン接種してから感染した方がマシだろうと私は考えています。 過去の感染症の歴史から考えましても、ワクチンによる未知のデメリットがないとは思っておりませんが、直接感染した場合の未知のデメリットの方が多大だろう、と思います。 最初に書きましたが、今、ワクチンを接種させたくない人たちが、大量のデマ、誤情報、不確かな情報を流しております。私もそれらの情報をいろいろ確認したのですが、 ・論文を誤って読んでいる ・そもそも論文じゃない ・海外のニュースと言っているが個人ブログ(英語) ・貼り付けられた動画・画像がコロナ以前のもの ・名誉教授の個人の見解 等々で、もう……諦めたところです。 twitterで情報を集めないことをおすすめしますが、集める時は信頼できるアカウントからにしようと思っててください。ワクチンにもデメリットがないとは全く思っていませんので、私も情報を集めますし、今後マイナスの情報があればツイートもしくは信頼できるアカウントのものをRTしたりしていくつもりです。 私もいろいろ悩んで接種を決め、そして接種してからも、ワクチンを接種したことを虐待したかのようにののしるアカウントをたくさん見て、不安になったりしながらも、一つ一つその不安を潰してきた親の一人です。 また悩むこともあると思いますが、また困った時はご相談ください。 今日の回答がなにか少しでも参考になれば、不安の解消につながれば幸いです(ものすごく長文になりました、ごめんなさい!)
いつもあたたかいことばでの回答、励まされています。ありがとうございます!
2023年01月27日 17時31分
編集済み
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