保険採卵済の受精卵移送について
30代女性
現在体外受精を行っており、年末頃に初めての移植を予定しています。
来年3月末に夫の仕事の都合で現在住んでいる県から新幹線・電車を乗り継ぎ5時間かかる他県へ引越しすることが決まっています。
現在の病院で妊娠が叶わなかった場合、凍結できている胚盤胞が14個あるため、引越し先で新しい治療先を見つけ次第、現在の病院から卵を移送したいと考えていますが、ネットで保険診療で採卵した場合は移送できないと記載しているクリニックを見かけました。
以下4点、お伺いできますでしょうか。
①保険診療で採卵した受精卵の移送可否
②移送する場合のデメリット
③移送できない場合、元の病院に受精卵を残したまま次の病院で保険診療での採卵可否
④保険診療での採卵した受精卵の凍結管理更新期限の有無(医学的にこの年数以上凍結したものは出生率が落ちる、国の決まりで何年以上凍結不可、など、医学的な面と規則面で教えていただきたいです。)
お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。
回答済み
ご質問、ご指名、ありがとうございます。
結論ですが、保険診療中の胚移送は可能ですが、それ以外の点は施設毎の判断になります。
①保険診療になってからも胚移送は今まで通り行っています。発送元と移送先がきちんと情報交換できて、患者さんともコミュニケーションが取れれば、全く問題ないと思います。保険で胚移植しています。
②検索すれば国内で移送実績のある業者がすぐに出てくると思います。自分で移動する場合には液体窒素の取り扱いに危険が伴いますので、多少お金を払っても業者にお願いする方をお勧めしています。
問題になりやすいのは、生殖補助医療の初回計画日と既往保険胚移植回数です。初回の日にち(その時の女性の年齢)によって保険の胚移植可能回数が決まりますので、前医からきちんと紹介状に記載してもらうことが必要です。それを解決すれば、移送は制度上可能です。あとはそれぞれの施設の方針次第です。納得できる説明をしてくれる施設をぜひ選んでください。
③施設の判断によると思います。保険採卵の凍結胚が残っている状態では、制度上は採卵は推奨されていません。医学的に必要と主治医が判断すれば可能ですが、社会的な理由ですのと難しいかもしれません。私なら移送を勧めます。
④凍結期間が半年を超えると少しずつ妊娠率が低下する可能性があるというような報告があります。ただ、新たに採卵する場合には年齢も上がりますし、身体的経済的負担がかかります。したがって、良好胚があるのに採卵をするというのはあまりお勧めしていません。
制度としては不妊治療を継続している場合は3年間保険診療で保存可能です。ただし不妊治療を中断した場合は自費に変わります。その後も保険で胚移植は可能です。このあたりについても施設毎に理解は違うと思いますので、よく説明を受けてください。
少しでもお役に立てれば幸いです。
元気なお子さんを授かれることを祈っております。
2023年11月29日 17時17分