指名:相川晴(HAL) 先生

子どもに納豆を食べさせることついて

10歳未満女性

2歳の娘がいます。

Instagramで、小さな子どもに納豆を食べさせるのは良くないという投稿を複数見かけました。

ポリフェノール(イソフラボン?)が遺伝子にどうとか…。

離乳食の頃から、納豆を与えていたこともあり、
不安になって調べたのですが、
医療情報のwebサイトなどでも特に記載がなく、
根拠がはっきりとわかりませんでした。
研究や論文など科学的な根拠があるのでしょうか。

どの食材も過剰な摂取は良くないとは思いますが、
1日に1パック程度であっても、小さな子どもに納豆は控えた方がいいのでしょうか。

また、本当にポリフェノール・イソフラボンが原因であれば、
豆腐・豆乳などの大豆製品全般や、
その他の食材も気をつけなければいけないのでしょうか。

根拠のないデマだとしたら、不安を煽るだけなので、そういった投稿は禁止してもらいたいところです。

ご質問ありがとうございます。 これは、いわゆるフードファディズムに関する投稿の問題ですね。 食べ物の栄養や健康に関して、「これを食べると体にいい」「これは体に悪いから食べてはいけない」ということを過大に評価してしまうことをフードファディズムと言います。 ネットだけでなく、テレビなどでも「○○を食べるだけで痩せる!」といった内容が流行することがありますが、大抵の場合、科学的な知見に基づいていない、もしくは科学的な知見を極端な解釈をしています。 今回の納豆とポリフェノール(イソフラボン)に関して、「ほぼデマです」の一言で断じてしまえるのですが、せっかく少し調べたので解説いたします。 大豆にはさまざまなものが含まれていますが、大豆イソフラボンというものも含まれます。イソフラボンは化学構造がエストロゲンに似ているので、エストロゲンに似た作用を起こします。 そのため、研究もされていますし、国によって指標を出しているところもあります。 例えばフランスでは、1日体重1kgあたり1mgの大豆イソフラボンアグリコンであれば健康被害が起きない量としています。 とはいえ、経験的に大豆食品をたくさん食べてきた日本人が特にこれまで健康被害がおきていないことを考えますと、日常に食べる量であれば問題ない、と考えるのがそもそも妥当です。 日本では、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値を70〜75mgとしていますが、これは成人の値で、乳幼児等は十分な研究がないので対象ではありません。 しかもこの値は、「日常的に摂取してきたけど健康被害ないよね」ということで、日本人が平均して食べている大豆イソフラボンの量などを基準にしてまして、これをちょっとでも過ぎたら害がある、という値ではありません。 一応参考値として体重あたりで計算しますと、体重1kgあたり1.5mgくらいの量が上限とすると、体重が10kgのお子さんであれば1日15mg。納豆の場合、100gあたり73.5mgのイソフラボン(大豆イソフラボンアグリコン)を含みますので、20gくらい、大人用の大きいサイズの納豆1/2パックくらいになります。1日半パックの納豆なら問題ない量ということになります。 まあこれまで健康被害が問題になる程起きていないことを考えますと、通常の食事ではそんなにオーバーしないと思われますので、そこまで厳密に考える必要はありません。よほどの偏食で納豆しか食べないとか、気になる症状が出てきたとかがなければ、通常通りの食事をしてもらって大丈夫と私は考えます。 毎日食事毎に納豆1パック食べさせると、さすがに食事のバランスを欠くのでおすすめできませんが、時々1パック食べるくらいは全く問題ないと思いますよ。 (乳幼児に関しては、エストロゲン様の作用を有することを考えると、日常の食事に追加してサプリメントなどで大豆イソフラボンを上乗せすることは推奨されませんので、そちらはご承知おきください。) フードファディズムに関するSNSの投稿は、おそらくなくなりません。というのも、商売のために、人目を引くために、目立つために投稿する人がたくさんいるからです。 ですので、自衛の必要があります。 ・具体的な量が書かれていない(量の概念は大切です) ・根拠は?(動物実験や「食べたら痩せました!」という個人の経験は、参考にはなりますが根拠としてはレベルが低いです) ・根拠となる文献は?(個人サイトや海外の謎サイトでは根拠はないのと同じことです) ・最終的に商品に誘導されないか?(商売のためにデマを流す人がいます) ・「〜〜といわれています」「〜〜だそうです!」などの引用元がはっきりしない伝聞情報はあてにならない ・「食べさせてはダメ!」「危険!」など、断定し、不安にさせる内容 あたりでおおよそ見分けがつきますので、参考にされてください。 以上になります。 なにか参考になれば幸いです。 参考 https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html http://www.nihs.go.jp/edc/houkoku10/10-7/10-7-sotoumi.pdf https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-singi-isoflavone_kihon.pdf

ご回答いただきありがとうございました。
フードファディズムに関する投稿の見分け方も、とても参考になりました。

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2022年12月19日 10時42分


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