指名:こどアレ@小児科&アレルギー 先生

子どもの長引く咳と小児喘息の心配

10歳未満男性

風邪関連の質問ですが至急ではないため失礼いたします。

0歳11ヶ月です。先月入園した保育園でさっそく風邪をひき、2週間前から鼻水と痰混じりの咳が出てます。

小児科で処方された薬で鼻症状は完治しましたが、咳のひどさが当初からあまり改善が見られません。

内服薬はムコダイン、アンブロキソール、オノンです。

明け方に夜泣きで目を覚ますタイミングで咳が止まらない症状が気になり追加で受診し、ホクナリンテープを処方されました。(以前から明け方は毎日夜泣きで起きます)

テープで多少明け方の咳は減少したものの完全に止んだ状況ではなく、昼間は症状が出始めた頃からほとんど咳が減りません。

食欲や活気は十分ありしんどそうな様子はないです。夜間睡眠中もまれに咳き込みますが明け方までは熟睡してます。また喘鳴も無しです。

ただネット上で「子どもの咳は長引きがちだが大半は10日で治まる」と見掛けたのに2週間も続いてて気になります。

とくに親の私が慢性喘息(成人で発症)でアレルギー体質は遺伝するそうなので小児喘息が心配です。子どもにアトピーや食物アレルギーはありません。

①2週間以上咳が続く場合、どんな病気・どんな状態が考えられますか?また一般的に長引く咳にはどのような治療を行いますか?

②小児喘息の診断基準や、小児科の先生が喘息を疑う所見をお伺いしたいです。

③咳が出るとき家庭で出来るホームケアはありますか?

今処方されてる薬はGWの連休中に飲み終わります。咳が治まらなければ連休明けに受診します。よろしくお願いいたします。

回答済み

小児科

子どもの長引く咳と小児喘息について、ご指名でのご相談ありがとうございます。0歳11ヶ月のお子さん、「先月入園、2週間前から鼻水と痰混じりの咳、鼻水は改善するも咳のひどさがあまり改善しない、内服薬はムコダイン・アンブロキソール・オノン、朝方の夜泣きの頃に咳が止まらなくなり受診しホクナリンテープが追加になった、ホクナリンテープで多少明け方の咳は減少したが昼間の咳は当初から殆ど変わらない、夜間まれに咳き込みあるも寝れている、喘鳴は無い、ネットで「子どもの咳は長引きがちだが大半は10日で治まる」と見たが2週間続いていて心配、母が成人発症の喘息、子どもにアトピー性皮膚炎や食物アレルギーは無い、小児喘息が心配、咳が長引く場合どんな病気が考えられるか?小児喘息の診断基準や小児科の先生が喘息を疑う所見が知りたい、咳が出るとき家庭で出来るホームケアはあるか?」というご質問でした。

お子さんの強めの咳が続いておりご心配かと思います。ただ、2週間続く咳自体はそれほど長いという訳でもなく、入園後に頻繁に風邪をひいて結果的に咳が長引くこともよくあります。ご心配されている喘息については、確かに親御さんのアレルギー素因が強い場合やお子さんの皮ふの状態が良くない場合に、よりお子さんが喘息になることがありますし、アレルギー体質がそれほど強くないお子さんでも、そもそも風邪を繰り返すことで気道過敏気味になってしまい結果的に咳が持続することもあります。その気道過敏気味の症状としては、特に「夜間の咳が強い・長引く」「ゼロゼロ・ゼーゼーする」「大泣きや暴れると咳き込む」というようなものがあります。

まず5歳以下の乳幼児の喘息の診断についてですが、「ゼーゼー(喘鳴)を繰り返す」ことにより喘息という診断となります。もう少し詳しく書くと、小児喘息ガイドラインには「明らかな24時間以上続く呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返しβ2刺激薬(気管支拡張剤)吸入で改善」する場合に喘息という診断になります。ただ、逆に、ゼーゼーを繰り返さなければ喘息ではないかというと、そうとは言えず、「ロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入ステロイド薬などの喘息治療薬で改善する、中止すると悪化」というような事態を繰り返す場合や「普段から頻繁に夜間の咳や運動した時の咳がある」場合にも総合的に判断して喘息だと診断することがあります。子どもでは成人のように呼吸機能検査も出来ませんし、現実的には受診時での診察で解ることはまさにその時に喘鳴があるかどうかくらいですので、これまでの咳が出る状況やゼーゼーの繰り返し具合などにて喘息かどうか診断している、あるいは喘息っぽいと判断している場合が多いかと思います。

現在お子さんが飲まれているオノンはロイコトリエン受容体拮抗薬で、ホクナリンテープが気管支拡張薬となります。お薬を飲まれているから夜間の咳がより減っているのか、実は飲んでも飲んでなくても夜間の咳は今とそう変わらないのかどうかはわかりませんが、現状で夜間・朝方の咳でそれほどお困りではないようですので、このままお薬を続けられてゼーゼーなど悪化したら早めに受診される、今後風邪ひいた際にまた夜間の咳が悪化しないか・長引かないかをご観察頂くことで、お子さんが咳が出やすい体質かどうかはわかってくるかと思います。

気道過敏や喘息以外で咳が長引いた場合に考えられる疾患についてですが、そもそも、日本では3週間以上続く咳を遷延性咳嗽と、8週間以上続く咳を慢性咳嗽ということが多いです。低年齢のお子さんの場合、単なる風邪の繰り返しによって結果的にずるずる咳が長引いているということが多いのですが、そのような場合だと、咳や鼻水の出方として、良くなりかけてまた悪化するみたいな症状に波があることが多いです。風邪の繰り返しのせいであれば、残念ながら時間薬で症状が落ち着くのを待つことになります。風邪の繰り返し以外であれば、遷延性咳嗽の場合には感染性の原因が多く、慢性咳嗽になると感染性以外の咳の可能性が高くなります。感染症であれば、RSウイルスなどによる急性細気管支炎、マイコプラズマ、クラミジア、百日咳など、鼻水の影響による咳として、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻水が喉の奥に垂れること(後鼻漏)による咳の持続があります。感染症以外であれば、気道異物、胃食道逆流症、喉や気道の先天な構造異常などがあります。お子さんの場合、鼻水は改善してきているようですので鼻炎や副鼻腔炎の可能性は低そう、そもそも異常はなかったかと思いますので胃食道逆流や先天的な構造異常の可能性は低い、おそらく4種混合ワクチンは接種されているでしょうから百日咳の可能性も低い、年齢的にあるいは鼻水があったことからマイコプラズマやクラミジアの可能性も低い、多分気道異物の可能性も低そうですので、RSウイルスなどの咳風邪後でまだ咳が残っているという可能性が高そうかと思われます。風邪の繰り返しによる影響や喘息の素質については今後ご検討頂くと良いかと思います。ぜひこのまま咳が無くなるまでかかりつけの先生に受診されてご相談頂くと良いかと思います。

最後に、咳が出るとき家庭で出来るホームケアについてですが、実際のところ、効果の高いものはあまり無く、咳き込む際には状態を起こす・背中をさすったり軽くトントンして痰を出しやすくする・落ち着かせる、水分は多めに摂る、部屋の加湿をする、鼻水が多そうで機械があれば吸引する、などになります(大きいお子さんなら、のど飴やハチミツなども効果がある場合があります)。咳き込みが強くて横になれない・ゼーゼーする・苦しそうなどの場合は緊急での受診も検討になります。

長くなりましたが、現状ではあまり心配する状況にはなさそうですが、今後咳が長引かないか、どういう状況で咳が増えるかなどをご観察頂き、ぜひぜひこのままかかりつけの先生に通院されながらご相談していかれると良いかと思います。

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2024年05月02日 18時25分


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