指名:こどアレ@小児科&アレルギー 先生

離乳食期の果物の調理方法について

10歳未満女性

・果物は加熱することでアレルゲン性が低下するのでしょうか?
・低下する場合はどの程度低下するのでしょうか?
・加熱が必要な場合、どのように加熱すればいいのでしょうか?

普段、管理栄養士が監修している離乳食アプリを利用しています。
そこには、バナナ、りんごについては、「基本的には加熱不要だが、アレルギーが心配な場合は加熱してからだと安心」と記載がありました。
キウイ、もも、みかん、オレンジについては、「初めてあげる時は加熱するように」と記載がありました。
詳細が知りたいです。

回答済み

小児科

ご指名でのご相談ありがとうございます。離乳食の果物の調理方法について、「果物は加熱することでアレルゲン性が低下するか?どのように加熱すれば良いか?」というご質問でした。

お恥ずかしながら、離乳食において「アレルギーの対策のために」「果物を加熱して食べないといけない」という情報があることすら知りませんでした。僕自身、そのようにお話したこともありませんし、実際の加熱の方法も知りません。厚生労働省のガイドラインや信頼出来るネット情報などを確認してみましたが、果物を「加熱すべき」とも「加熱しなくても良い」とも書かれているものが見つかりませんでした。

そもそも、乳児期に「果物アレルギー」を発症するお子さんはそれほど多くはありません。バナナアレルギーのお子さんがたまに居ますが、あとはキウイ、もも、りんごなどのアレルギーのお子さんが稀に居るというくらいではないかと思います。つまり、それほどアレルギーのリスクが高い食材ではないかとは考えられます(リスクが低いから大丈夫という意味ではありません)

一方で、小学生以上・成人に多い果物アレルギーは、「口腔アレルギー症候群」=「花粉-食物アレルギー症候群」という別のタイプのアレルギーです。もともとは果物アレルギーではなかったのに、花粉症になってしまった後に、「花粉と一部の構造が似ている果物」に対して、「間違って免疫反応を起こす」というアレルギーです。それであれば、加熱したり加工したりして果物の構造を変化させることでアレルギー症状が出なくなります。 「花粉-食物アレルギー症候群」については、僕のnote、「口腔アレルギー症候群:最近果物食べると口が変!」が参考になるかも知れません。

ただ、乳幼児の普通の果物アレルギー=即時型アレルギーでは、通常、加熱しても変化しにくい部分に反応してアレルギーを起こしますので、果物を加熱することによりアレルギー反応が無くなることはあまり無いと考えられます。 つまり、加熱する理由があるとすると、「ばい菌などの衛生面で生で食べるのが心配」あるいは、特に「リンゴ」や「ナシ」などは「誤嚥予防のために加熱して柔らかくして食べた方が良い」ということになろうかと思いますが、「アレルギー対策のために果物を加熱するという必要はないのではないか」と考えます。

個人的には、アレルギーの対策とすれば、「加熱して食べる」より「少しずつ食べる」ことの方が重要ではないかと考えます。 こちらの記事、「アレルギーに配慮した離乳食の進め方」も参考になるかも知れません。

*僕の知識が乏しいだけで仮に僕の考えの間違いが判明しましたら速やかに訂正いたします。

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2023年01月27日 21時34分
編集済み


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