相談詳細

早期トイレトレーニングによる排尿機能異常について

10歳未満男性

1歳4ヶ月男児を育てています。 保育園で、昼寝起きなどタイミングを見てオマルに座る練習をしていますと言われたので、自宅でもオマルに座る時間を設けていました。オマルやトイレの空間に慣れるために座らせているので、そこでの排尿が目的ではありません。 本日Twitterにて都立小児総合医療センター@TMCMC_prさんが 「#トイレトレーニング を1歳半から2歳頃を開始目安とするものもありますが、2歳までは力んで排尿しており、成人の排尿の仕方と大きく異なります。排尿は本来力を抜いてするものです。排尿の強制はその後の排尿機能異常の原因になりえますので2歳半以降に焦らずに行うことをお勧めします。#泌尿器科」とのツイートをされています。 https://twitter.com/tmcmc_pr/status/1630855405445214209?s=46&t=nLdjjm0YauW8TXSngGXewA 排尿の強制とは一体どういったことを指すのか(オシッコしなさい!と怒ることなのか、優しく声掛けすらダメなのか)、オマルやトイレに座る体勢そのものがダメなのか、排尿機能異常とはどのようなことが起こるのか、疑問に思う点が多いのですが、都立小児総合医療センターさんはリプライDM等の反応はしておらず詳細を知るすべがありません。 保育園や我が家で行っていることもトイレトレーニングの一環だと思うのですが、排尿機能異常に繋がってしまうのでしょうか。 SNSの情報を信じる信じないは個人の責任であると思いますが、今回は医療機関の公式アカウントからの情報のため、判断が難しくツイキュアにて相談させていただきました。 早期からオマルやトイレという空間に慣れることは今後子供の排尿機能に問題が出ることなのか、教えていただけますと幸いです。 お忙しいところ大変申し訳ございません。 ご回答、よろしくお願いいたします。

回答済み

小児科


早期(2歳より前)のトイレトレーニングはどのような悪影響があるのか?

何がトイレトレーニング・排尿の強制を指すのか?

についてのご質問ですね.


私自身が都立小児総合医療センター@TMCMC_prさんにリプを送り,

すでに他の方が少なからず回答をしてくださっていますが, 

心身症を専門とする小児科医の立場から説明できればと思います.


まずトイレトレーニングの悪影響について回答したいと思います.

悪影響を理解するためには, おしっこを出す, つまり排尿のメカニズムを理解することが必要です.


以下の回答は日本小児泌尿器学会のホームページ

https://jspu.jp/ippan_013.htmlに記載されている内容を中心に解説しています.


排尿のメカニズムの年齢による変化について

排尿のメカニズム

腎臓で作られた尿を体の外に出す前に貯めて置く場所が膀胱です.

膀胱は筋肉でできていると同時に, 神経が張り巡らされている臓器です.


1.膀胱の中に尿が貯まると,

2.そのことが膀胱から脳に【尿意】として伝わります.

3.そして膀胱の筋肉が収縮する(縮む)ことで, 中に溜まっている尿が体の外に排出される仕組みになっています.


新生児期の排尿

赤ちゃんの時期は膀胱の筋肉を収縮させる力がまだ未熟です.

そして,膀胱の中に尿が溜まったとしても尿意を感じることはありません.

ではどのような原理でおしっこを出しているかというと,

1.尿が貯まって膀胱の容積が大きくなって膀胱の筋肉が伸びる.

2.そしてその伸びた筋肉が縮もうとする力を使って尿を出している

のです.

伸びた筋肉が元に戻るだけなので,膀胱は縮み切らず,

赤ちゃんは全ての尿を出し切ることが できませんし, 

膀胱の中にはおしっこが残ります.


1歳〜3歳くらいまで

1歳くらいになると尿が貯まった感覚が分かるようになっていきます.

ただ1歳の時にはその感覚が尿意であることを理解することはまだできません.

ただ月齢が進むことに膀胱の筋肉を収縮させる力がついてくるので, おしっこをした後に膀胱の中に残るおしっこの量は減っていきます.


2歳頃になると, 徐々に尿意を感じられるようになっていきます.

ただ, この時点では尿意を感じた瞬間に反射的に膀胱の筋肉が縮んでしまい, 自分の意思とは関係なくおしっこが出てしまい,おしっこを我慢できないのです.


つまり, 一般的に2歳の時点

【自らの意思でおしっこを出すこと】

【おしっこを我慢すること】

その両方ができないのです.


2歳半を過ぎる頃から

尿意を感じて自分の意思でおしっこを出せるようになったり, 

尿意を感じても我慢することができるようになります.



どのようなトレーニングが悪影響なのか

過活動膀胱(尿を膀胱に貯められない,何度もトイレに行く)

ここまでお話ししたように, 2歳半までは自らの意思でおしっこをすることも, 我慢することもできません.


しかし,それよりも早い時期,つまり自分で尿意を感じることができない年齢からトイレトレーニングの一環として排尿することを強制されると,

【膀胱に少ししか尿が貯まっていないのに, 膀胱を無理やり収縮させることを繰り返すことになります.】


そうすると膀胱に尿が満タンまで貯まることも少なくなるため, 

膀胱の容量が大きくならないままになってしまいます

つまり大人になって体が大きくなっても, 膀胱が小さいままなので,

尿を貯められず, 1日の中で何回もトイレに行かなくてはならなくなるのです.


病名としては【過活動膀胱】ということになります.


小学校に進むと授業中にトイレを我慢しなくてはいけなくなりますが,

その場面でトイレを失敗してしまったり(お漏らししてしまったり),失敗しないために何度もトイレに行かなくては行けなくなってしまうのです. 


心理的な問題

そして早過ぎる=尿意を感じる前から行うトイレトレーニングは, もう一つの問題を引き起こします.

それは子どもが【自分の感覚よりも親の指示を優先するようになる】ということです.

1歳前後の子どもは尿意を感じることができないため, トイレトレーニングを成功させるためには(親御さんに褒められるor怒られないためには)親の指示に従ったり, 親が「トイレに行ってきなさい」というタイミングを予測する必要があるのです.


そのような子ども時代を過ごした方が, その状態のまま思春期や大人になっていくと,

  • 自分がしたいことが分からない
  • 自分の体の感覚, 心の感覚の変化に鈍くなるので休むタイミングがわからない
  • 親の指示がないと何もできない.


このようになってしまうのです.

心身症や心の病気で受診されるお子さんに,一定の割合で見られるパターンだと感じます.


悪影響を出さないトイレトレーニングとは?

最後に何がトイレトレーニングにあたるのか,

オマルやトイレに慣れることはトイレトレーニングなのか,

についてお答えしたいと思います.


今回, ご相談いただいた, オマルに座る練習, トイレに慣れる練習は

トイレトレーニングの一環だとは思いますが, 

【将来に悪影響を与える可能性が低い】ものだと思います.


ポイントは【排尿(おしっこ)を強制しているか】だと思います.


先ほどお話しした通り, 尿意を感じられるようになる2歳半より前に,

トイレでおしっこをすることを強制したり,

おしっこの失敗を責めることは避けた方が無難です.


今はおしっこできなくてOK,

オマルに座るだけでOK

そう思って見守ってあげることが, 今のお子さんの年齢では大事なことだと思います.


まとめ

最後にまとめです.

トイレトレーニングで子どもに悪影響が起きないようにするためには

  • 尿意を自覚できる2歳半までは排尿を強制しない.
  • 失敗しても怒らない.
  • オマルやトイレに慣れるだけにしておきましょう.


長くなりましたが, お読みいただきありがとうございました.

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2023年03月02日 20時01分
編集済み


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