指名:Tatsu Ogawa*生殖医 先生

精索静脈瘤について

20代女性

こんにちは!いつも拝見しています。

私たちは20代後半夫婦で、夫に精索静脈瘤(中等度)があり、精液所見で顕微鏡一択とリプロ外来で言われたため顕微鏡受精を行いました。(夫の希望で精索静脈瘤の手術はしてません)

1回目は陰性、2回目はhcg 2の陰性、3回目は2個移植しhcg 219で陽性でした。(胎嚢は1個だけ確認されました)

2回目移植後に慢性子宮内膜炎の検査しましたが陰性でした。

3回目の移植では5w6dと7w1dで心拍確認され、8wで問題なかったらリプロ外来卒業でしたが、今回8wのエコーで心拍停止しており流産と診断されました。

9wとなる日にまた最終で確認しますが、素人目から見ても赤ちゃんは成長しておらず、心拍は見えなかったのでダメなんだと思っています。自然排出まちです。

またやるとしたら凍結卵はないので採卵からになるんですが、精索静脈瘤の手術をした方がいいのではないかと思っています。(夫は手術が怖いので消極的ですが…)

精索静脈瘤術後は自然妊娠可能まで回復すればそれはもちろんいいですが、精索静脈瘤術後また顕微鏡だとしてもDNA損傷率は下がって妊娠継続率などは上がりますか?そうなると夫の術後に採卵をした方がいいのか悩んでいますのでお手隙の時にお返事くださると助かります。

長文すみません。

回答済み

産婦人科

ご質問、ご指名ありがとうございます。

精索静脈瘤の手術をご検討とのことですが、結論からお伝えしますと手術を受けると不妊治療の成績を改善する「可能性がある」といったところです。

精索静脈瘤が精子へ悪影響を及ぼす理由は、精巣温度の上昇、低酸素状態、酸化ストレスなどが考えられ、その結果、数や運動率の低下、DNAの断片化などにつながりうるとのことです。そして、「中等度」というのが「grade2」に相当し、実際に精液所見が良くないのであれば手術を勧められることが少なくないと思います。

これまでには、手術をしたことで術後3-6ヶ月時点での精液所見が改善したとか、DNAの断片化や酸化ストレスが改善したという報告や、結果として体外受精や顕微授精の成績が改善したという報告もあります。ただ、臨床研究はまだ不十分で、明らかに不妊治療成績が改善する、とまでは言えないようです。

精子に不安要素があるのであれば、主治医とよく相談して手術を受けてみるのも良いと思います。その結果、あまり変わらないということもあるかもしれませんし、もしかしたら(自然妊娠は他の要素も多すぎるのでわかりませんが)顕微授精まではせずとも媒精法で十分となるかもしれません。胚盤胞形成率や着床率が上がれば、採卵あたりや移植あたりの生児獲得率の上昇も考えられなくないとは思います(まだはっきりとしたエビデンスではありません)。そういったベネフィットと手術のリスクをご夫婦でどう考えるかだと思います。手術をした場合は精子の回復を待つため、採卵は手術の3-6ヶ月以降になると思います。

まずは今回の妊娠がこのまま継続できることを祈りますが、残念な結果になるようであれば、よくご検討ください。

少しでもお役に立てれば幸いです。

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2023年04月03日 19時01分


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産婦人科、専門は生殖医療です。日常の診療では主に、一般不妊治療、生殖補助医療、不育症、がん生殖医療、PGTを含めた遺伝カウンセリングを取り扱っています。1人でも多くの方のサポートができれば幸いです。

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