指名:Tatsu Ogawa*生殖医 先生

ガードネレラについて

40代女性

先程は、ラクトバチルスとガードネレラについて、大変分かりやすい回答、ありがとうございました。
何度も申し訳ありませんが、そもそも、子宮内にガードネレラ菌が検出される原因は、何なのでしょうか?

回答済み

産婦人科

複数回ご質問いただき恐縮ですが、追加で回答させていただきます。

ガードネレラにしてもラクトバチルスにしても、おそらくは腟から子宮内に入っていると考えられます。

昔は菌の検査というと細菌培養をして増殖した菌を同定していたのである程度たくさんの菌量がないと存在すらわからなかったのですが、今は16s-rDNAというDNAの配列を調べることでわずかな菌量でもどんな菌がどれだけの割合で存在するのか判定することができるようになりました。

なので、通常の細菌検査ではラクトバチルスしか検出されない自然妊娠している方であっても、おそらくガードネレラも腟や子宮内に少しはいます。ガードネレラが検出されること自体はおかしくも珍しくもありません。そして、良い状態はラクトバチルスが優位な状態なので少しいても問題ありませんが、何らかの理由でそれが「揺らぐ」と、ガードネレラなどの増えて欲しくない菌が蔓延ってしまい、腟内に多くなれば隣接した子宮内にも多くなる、といったイメージです。その「揺ら」いだ腟内細菌叢の状態を「細菌性腟症」と言います。これ自体は性感染症ではありません。

「揺らぎ」がどうして起きるかははっきりとはわかりませんが、例えば、体調不良による免疫力の低下、ラクトバチルスを殺す抗菌薬の使用、何らかの理由による腟内pHの変化、パートナーに何らかの感染がある/あった、などなど考えられます。これらは必ずしもガードネレラを多く検出した方に当てはまるとは限りませんが、不安要素があればひとつずつクリアしていただけたら良いと思います。もしパートナーのことがご心配であれば、泌尿器科で性感染症の検査も含めて細菌検査をするか相談してもらうのもアリかもしれません(結果何もないことは多いです)。

繰り返しになりますが、ガードネレラが検出されること自体はおかしくも珍しくもありません。良い状態はラクトバチルスが優位な状態ですので、ガードネレラの存在に捉われすぎるよりも、ラクトバチルスを増やそうとすることの方が重要だと考えています。

少しでもお役に立てれば幸いです。

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2023年04月09日 11時30分


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産婦人科、専門は生殖医療です。日常の診療では主に、一般不妊治療、生殖補助医療、不育症、がん生殖医療、PGTを含めた遺伝カウンセリングを取り扱っています。1人でも多くの方のサポートができれば幸いです。

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