指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生

HPVワクチンの再度接種について

20代女性

つい先日、キャッチアップでのHPVワクチン4価の3回の接種を終えました。
自治体からキャッチアップ接種のお知らせが来て学生で時間に余裕のあるうちに接種してしまおう!と4価の接種をしたのですが、今年4月から9価ワクチンも公費適用されるとのことで、(パートナーもできる予定がないため)少しでも待って9価を受ければよかったと少し後悔しています。
もうすでに公費対象のキャッチアップ接種は終えましたが、自費でもいいのでカバーできる型の幅が多い9価を受けたいなと考えています。
4価を3回受けたあと、(期間を空けて)9価を接種すること(HPVワクチンを再び接種する形)は可能なのでしょうか?不可能でしょうか?
4価だけでも十分な効果はありますか?

回答済み

産婦人科

ご質問ありがとうございます。

先日HPV4価ワクチンのキャッチアップ接種を完了したけれども、4月から9価も無料と分かっていたら、4月まで待ってそちらにしておけばよかった、追加で接種した方がいいかというご相談ですね。


同じご質問やご相談は、これからもっと増えてくると思います。

まず最初にお話しておくと、4月まで待たずに4価ワクチンを接種していただいた選択は全く間違っておらず、また早く接種していただいた事こそがよかった事と思います。誇りに思って頂きたいです。


4価でも十分な効果があります。

4価でカバーできるハイリスクHPVである16型と18型は、HPVの中でも最もがんになりやすい型なのです。(それ以外の6型と11型はローリスクのものでコンジローマの原因になるものです)

9価の方がたしかに防げるHPVの型は多いのですが、検診を定期的に受けられるのであれば、高い金額を払って追加接種するメリットは少ないと考えます。つまり追加接種のコスパはよくありません。

もちろんメリットが全くないわけでなく、希望されるのであればお財布と相談して接種検討頂けるのはいいかと思います。


4価と9価のワクチンの違いは、簡単に言うと


4価の場合は検診を受けていれば癌に罹患する前の前がん状態で発見して治療をする事ができる、しかも前がん状態になるリスクはワクチン未接種者よりもずっと低い

9価の場合は検診を受けなくても癌を予防できる確率が高い、前がん状態になるリスクが4価よりも更に低い


つまり4価を接種しているのであれば、きちんと検診を受けているのであれば、癌に罹患する前に対処できる(しかも対処が必要な状態と診断されるリスクも未接種に比べて抑えられる)、9価の場合は癌に罹患する前に対処が必要という状況になる事が4価接種した人より更に減る

という感じです。わかりづらくてすみません。


なるべく検診を受けたくない、内診をしたくないんだ!という人は9価接種の方がいいでしょうし、4価と9価同じ値段で選べるのであれば9価をおすすめします。


ただしすでに4価を接種済みなのであれば子宮頸がんの検診をきちんと受けて頂ければ十分だと思います。


内診が苦手でこれから先の検診の負担を減らしたいとか(それでも検診が全く必要なくなるわけではありませんが)安心材料のために接種したいとか、お金の事情は全く考えなくてOKとかであれば、接種してもいいとは思います。


追加接種はできるのですが、追加接種に関するデータが出ていないので、具体的にどの程度効果があるかとかはわかっていません。

回数に関しても追加接種に関して決まったものがあるわけではありませんので、一回である程度効果があることは分かっていますが、お財布と相談して決めていただくのがいいと思います。

ちなみに私個人の話をすると、24歳の時に2価ワクチンを接種したあとは、特に追加接種はせずに定期的に子宮頸癌の検診を行っています。私の場合、検診が全く苦ではないのとわざわざ高いお金を払いたくないからです。


以上、ご参考になれば幸いです。

とにかく、早い段階で4価ワクチン接種した事を誇りに思って頂きたいと思います。

また何かご不安なことがあればいつでもご相談くださいね。

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2023年04月11日 13時23分


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