指名:相川晴(HAL) 先生

0歳児のビフィズス菌摂取について

10歳未満女性

いつもツイート拝見しております。
気が早いですが、補完食の本も購入いたしました。

現在、娘は生後1ヶ月です。
おおよそ8割母乳と2割ミルクで育てています。
ビフィズス菌摂取の必要性についてお伺いしたいです。

赤ちゃん向けにミルクや離乳食に混ぜるビフィズス菌が販売されています。
私が出産した産院では、毎日それを新生児に与えているといっていました。
また、人間の腸内環境は赤ちゃんのうちに決まるという記事を読んだこともあり、
市販のビフィズス菌を取り入れるか悩んでおります。
安い買い物ではないため、ご意見を伺えたらと思い、質問させていただきました。

回答済み

一般内科

ご質問ありがとございます。ツイートを見てくださったり、本も買ってくださってありがとうございます(今はまだ大変な時期と思うので、余裕ができた時にどうぞ!)


生後1ヶ月の娘さんがいらっしゃって、赤ちゃん向けの市販のビフィズス菌を取り入れるか悩んでいる……というご相談ですね。


飲んだりすることで健康上の利益があると考えられている微生物のことをプロバイオティクスといいます。ビフィズス菌もその一つですね。他にも山ほど種類があります。

で、腸内細菌については確かにいろいろ研究されていて、プロバイオティクスについても盛んに研究されています。小児でも特定の条件下で急性下痢症や壊死性腸炎のリスクを減らす可能性がある等、一定のエビデンスはあります。

一方で、プロバイオティクスは無数に種類があり、ある研究でAという菌が効いたとしても、じゃあBという菌が効くとは限りません。ビフィズス菌も山ほど種類があるので、これが効いたからあれも効くかは……? といったところになります。さらにどのくらいの量をどのくらいの期間飲めばいいか、という問題も出てきます。


また、研究も山ほどされているんですが、実際に強固なエビデンスには不足しています。この会社でやった研究ではこんなに効いた! と書いていても、実際に研究内容を見たら中身はスカスカ……ということも、残念ながら大変よくあります。

プロバイオティクスは基本的に副作用がない(もしくはないに等しい)ものであるはずなんですが、本当に赤ちゃんの時から長期間飲み続けて安全なのか? なにも悪いことはないのか? というのもこれまた研究が必要なところになります。(もちろん、治療上必要で処方されているものはしっかり飲み続けてほしいです)


厚労省が作っているこちらのサイトがわかりやすいのでよかったら読んでみてください。


プロバイオティクスについて知っておくべき5つのこと

https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/07.html


質問者さまのおっしゃる市販のビフィズス菌は、おそらく副作用はないか少ないですし、飲んでてデメリットがないなら飲んでも……とは思うのですが、おっしゃる通り「高い」という大きなデメリットがあります。ビフィズス菌でも種類があるので、本当にそれが効くの? なにに効くの? なにに対して飲む必要があるの? なぜ効くと言えるの? という疑問がわいてきます。

おそらく母乳育児ではビフィズス菌が優位となる、というところから開発された商品なのだろうと思うのですが、ミルク育児の時にビフィズス菌を外部から加える必要性があるのか、また、その商品のその菌の種類が適切なのか、については私にはわかりませんでした。申し訳ありません。

途中に書きましたが、なにか病気などの目的があって、必要があって処方されたプロバイオティクスはしっかり飲んでほしいですし、続けてほしいのですが(ちなみにうちの娘は処方されて長く飲んでいます)、それ以外については、「わかりません」というのが正直なところです。


というわけで、長く書きましたが、

・メリットはあるかもしれないしないかもしれない

・デメリットは少ないかもしれない

・だが高い(市販のものは高いものが多い)

・目的がありその菌種が効くエビデンスが大なり小なりあって、それに種々のコストを払うだけのメリットを感じるのであれば飲んでも良い

といったところです。

ちなみに腸内環境自体はおっしゃる通り大切で、無駄な抗菌剤を使わないことも重要(腸内の菌が乱れるので、そのデメリットを上回る本当に必要な時しか使わない)ですので、よかったらちょこっと知っていてくれると嬉しいです。


長くなりましたが、少しでも参考になれば幸いです。


参考

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/33/5/33_1111/_pdf

https://www.cochrane.org/ja/CD005496/NEONATAL_chao-zao-chan-er-yaji-di-chu-sheng-ti-chong-er-nohuai-si-xing-chang-yan-wofang

https://www.cochrane.org/ja/CD006135/SKIN_shi-zhen-zhi-liao-womu-de-tositapurobaioteikusu

https://www.cochrane.org/ja/CD003048/INFECTN_ji-xing-gan-ran-xing-xia-li-zheng-zhi-liao-notamenopurobaioteikusu

https://www.cochrane.org/ja/CD005496/NEONATAL_chao-zao-chan-er-yaji-di-chu-sheng-ti-chong-er-nohuai-si-xing-chang-yan-wofang

https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/09.html


202304130730追記しました

7

2023年04月13日 00時27分
編集済み


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