ピルについて

30代女性

弁置換の手術を経て、ワーファリン服用中です。
そんな人間でも月経を止めることを目的としてピルを服用できるものなのでしょうか?
より血栓リスクの低いピルが存在するのなら教えて頂きたいです。
ただ、生理周期の後半になると、むくみが増えて体重が増えるので、ピルを服用してむくみが増えてしまうことも懸念しています。

よろしくお願い致します。

回答済み

産婦人科

ご質問ありがとうございます。


弁置換の手術後、ワーファリン服用中で、ピルの服用ができるか、ほかに血栓リスクのないものはあるかというご相談ですね。

OC・LEPガイドラインでは


○慎重投与

心臓弁膜症、心疾患


○禁忌

肺高血圧症または心房細動を伴う心臓弁膜症

亜急性細菌性心内膜炎の既往のある心臓弁膜症


となっています。

今までの経過がわからないので禁忌には当てはまらないかもしれませんが、やはり血栓リスクを心配しなくていいものをおすすめします。

もしむくみが気になるのであれば、ピルの中ではヤーズ、ヤーズフレックス、ドロエチなどのドロスピレノンと呼ばれる製剤が比較的いいと思いますが、次に血栓リスクのないものについてご紹介いたします。


月経困難症の治療薬であるジエノゲスト0.5mgはプロゲスチン製剤であり、血栓リスクが上がりません(血栓ができないというわけではなく、ピルで上がる血栓リスクが上がらない、ということです)。そのため、血栓リスクのためにピルが服用できない方でも服用できます。

ずっと服用し続ける事で子宮内膜が薄くなり、生理を止める事ができます。

排卵も抑制するので、ホルモン変動が少なくなり、生理前のむくみなども改善が期待できます。ただし飲み初めはむくみを感じる人がいたり、特に不正出血はある事が多いです。

人によっては、長期的に服用していても不正出血が起きてしまう方もいらっしゃいます。

少量のことが多いですが、ワーファリン服用中ですと、一度不正出血したらだらだら続いてしまうかもしれません。

ちなみにジエノゲスト以外のプロゲスチン製剤であるノアルテンなども同じような効果を期待できます。


また、内服ではないものとして、ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)があります。

子宮内への挿入で5年間、過多月経や月経困難症に効果があります。5人に1人は月経がとまりますが、それ以外の人も経血量は少なくなります。

ただし、内服薬との違いは排卵があることです。

PMSなどは排卵があると起こることが多いので、もし月経困難症以外に、PMS、ご質問者様の場合はむくみも改善したいのであればミレーナではなく内服薬をおすすめします。もしくはミレーナを挿入しながら漢方薬などの選択肢になります。


ちなみに、生理を止めたい、という事だけでピルやプロゲスチン製剤の処方を受けることができます。

何かしら生理痛やそのほか生理に伴う煩わしさがあり、生理を止めたい、という事なので、そのような生理で困っている事があるのであれば月経困難症です。


以上ご参考になれば幸いです。

また何かご不安なことがありましたらいつでもご相談くださいね。

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2023年04月15日 16時01分


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