指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

低音障害難聴について

50代女性

よろしくお願いします。
昨年11月中旬に左耳の閉塞感があり耳鼻科を受診しました。突発性難聴との診断で一週間ステロイド薬を服用し回復したのですが、それから数日でまた左耳に閉塞感を感じ再度受診。治りきりなかったとの事でイソバイド、メコバラミンを処方されましたが2ヶ月たっても良くならず、今年1月、違う耳鼻科に行きました。最初はメニエール病では?と言われましたが、検査をして低音障害難聴と診断されました。現在までずっとイソバイド(30mlを4回/日)、アデホス、メコバラミン、五苓散を服用していますが、症状はよくありません。一日の間でも波があり、一喜一憂の毎日です。担当医はこれ以上イソバイドを増やしたくないが、増やすしかないかもしれないと言っています。私自身、イソバイドの飲みずらさはストレスですし、増薬はツラいです。精神的にもツラく、どうしたらいいのか分からなくなっています。先生、この病気は、こんなに治らないものなのでしょうか。

回答済み

耳鼻咽喉科

ご質問いただきありがとうございます。去年11月いちど左突発性難聴を発症し、一旦完治したもののその後すぐに難聴を再発、低音障害型難聴の診断で通院するものの症状が続いている、ということですね。

検査の結果を見ないとコメントが難しい部分もあるのですが、選択肢としては1.ステロイドを再度試す、2.イソバイドなどで投薬量を調節する、3.投薬以外の運動・飲水療法を試す、4.生活リズムやストレスへの対応を見直す、の4つを挙げます。


まず、【1】ですが、突発性難聴と診断された後すぐ難聴が再燃している部分は、ステロイド依存性難聴というタイプの難聴かもしれないと感じました。ステロイド依存性難聴というのは、感音難聴を繰り返す疾患で、ステロイドは効くのだが、やめるとまた再発してしまうというものです。この場合はステロイドを超長期に内服する必要があるかもしれません。

次に、【2】ですが、ステロイド依存性難聴ではない低音障害型難聴という診断であるとしてできることは、ステロイド以外の調整ということになります。低音障害型難聴の急性期については、ステロイドと利尿剤(イソバイドのことです)は同等に効果的であると知られています。イソバイドの調整・増量は有効である可能性はあるようにも思います。ただ、おっしゃるとおり飲みにくいお薬なので躊躇する気持ちはよくわかります。

また、【3】ですが、低音障害型難聴に対する慢性期の治療としては明確に有効な薬物治療は現状存在していません。その代わり、運動療法と飲水療法は効果があるかもしれないとされていません。運動療法は、仕事や日常動作以外で「週に3日以上、1回30分以上のウォーキング程度の負荷」を長期に行う方法です。運動療法を行うことで、低音障害型難聴に対して良い効果があるとされています。また、飲水療法は食事以外に1日2Lの水分を摂取するという方法です。こちらはちょっと現実的ではないのですが、なるべく気をつけて水分を接種してもらうと良いかと思います。

最後に【4】ですが、低音障害型難聴を発症する方は、その背景に日常・仕事などでストレスを抱えていたり、睡眠不足であったりすることが多いです。こういった背景から症状が出現している場合、そちらへの対応を行うことで最も効果的に症状を改善できる可能性があります。まず基本は睡眠です。睡眠はしっかり取れていますでしょうか?もし睡眠がうまく取れていない場合は、睡眠導入剤などが有効かもしれません。


以上回答させていただきます。もし現状の治療のみの提示で行き詰まっているのであれば、例えば大学病院や総合病院の難聴外来へ紹介してもらうのも方法かもしれません。

この回答がお役に立てば光栄です。またわからない事があればいつでもご相談下さい。

1

2023年04月26日 07時48分


参考になりましたか?
ハートを贈りおとらりんたろう, MD, PhD先生を
サポートしよう!

耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

相談一覧