指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生

部分胞状奇胎について

30代女性

カメラ

※添付画像は投稿者ご本人と医師のみ参照可能です

1月に妊娠が発覚し、エコーで胎芽が確認できず稽留流産と診断されました。

もともと静脈麻酔が効きづらい体質ということもあり、総合病院を紹介されました。

総合病院で経過を見ることになりそれでも胎芽の確認ができず手術を希望。
手術前に測定していたHCGが約70000程度ありそこで初めて胞状奇胎を疑われ
病理検査の結果は部分胞状奇胎でした。

2月中頃に手術をし、定期検診でHCGのフォローがありましたが昨日で測定不能。
次回、8月の検診で問題なければ終了です。

どうして双子にならなかったのかという疑問と今後は胞状奇胎を防ぐために自然妊娠ではなくいきなり体外受精に進んだ方が良いのか迷っています。

回答済み

産婦人科

ご質問ありがとうございます。

部分胞状奇胎と診断され、その原因と、今後予防するために体外受精は必要か、というご相談ですね。


正常な妊娠は精子と卵子が1つずつ出会って受精することにより成立し、胎児となり発育しますが、胞状奇胎はこの受精機構がうまくいかないことが原因となって発生します。


ここで双子の発生についてご説明します。

二卵性と呼ばれる双子は2つの卵にそれぞれ別の精子が受精して生まれたものです。 

一方、一卵性は、1つの卵に1つの精子が受精した後、その受精卵が2つに分かれて生まれたものです。

1つの卵に2つの精子が受精して一卵性の双子になると誤解されている人が多いのですが、違うのです。

これは後述する胞状奇胎の発生です。


胞状奇胎は妊娠成立時の精子と卵子の受精の異常によっておこります。母親の卵子由来の核(DNA)が消失し父親の精子由来の核のみから発生する全胞状奇胎と、父親からの精子2つと母親からの卵子1つが受精した3倍体から発生する部分胞状奇胎とに分類されます。いずれも正常な胎児(2倍体)に発育することはありませんが、非常に稀に、2卵性の双子の妊娠で一方は胞状奇胎、もう片方が正常胎児という胎児共存奇胎というものもあります。


このような受精の異常がなぜ起きるのかとか、そして胞状奇胎の発生原因は明らかではありません。

そして、一度胞状奇胎を経験した患者様が、もう一度胞状奇胎になる確立は約2%程度です。


どうして双子にならなかったのか、という事ですが、先にお示ししたように、双子の発生と胞状奇胎の発生が異なりますので、双子と胞状奇胎の分かれ道があったわけではないのです。


そして、胞状奇胎を予防するために体外受精をした方がいいのか、という事に関しては、繰り返す確率は極めて少ないため、それだけを理由にして体外受精を検討する必要はないと思います。


今回は残念な結果になってしまいましたが、次にご妊娠された際には、順調に経過され、元気なお子様にお会いできることを心よりお祈りしております。


また何かご不安な事がありましたらいつでもご相談してくださいね。

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2023年05月18日 11時04分


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YouTuber、産婦人科専門医、指導医、がん治療認定医、性教育認定講師です。生理、更年期、癌、セックス、婦人科形成手術、なんでもご相談ください。
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