指名:Tatsu Ogawa*生殖医 先生

腹腔鏡検査の有効性について

30代女性

いつも丁寧で心のこもったご回答ありがとうございます。先生のおかげで不安や迷いが軽減されて、感謝しています。
・31歳、機能性不妊、採卵5回、移植9回、いずれも陰性で次の移植が保険適用最後です。
・採卵後のお休み期間に自然妊娠しましたが、心拍確認前に稽留流産、手動吸引法にて手術しました。
・もし、この移植が陰性だったら、自費で体外授精を続けるか、1度自然妊娠しているのでステップダウンしてタイミング法を行うか迷っています。
・なお、最近受けた卵管造影で片側の卵管が閉塞しているとのことでした。(5年前は両方通っていました)

【質問内容】
・ステップダウンして、タイミング法を行う前に腹腔鏡検査を行うのはどうでしょうか。
・クラミジア既往歴がないと意味がないでしょうか。
・また、もし体外を続けるのであれば、腹腔鏡検査は意味がないでしょうか。某先生のブログで原因不明の体外受精反復不成功でも腹腔鏡は有効とみたのですが、体外受精で腹腔鏡の有効性がわからなくて…。
お忙しい中すみません。
通っているクリニックはシステマティックな治療でゆっくり相談できないので、ご意見をいただけると幸いです。

回答済み

産婦人科

ご質問、ご指名、ありがとうございます。

自然妊娠が成立した以上、ステップダウンは確かにアリですね。そして、腹腔鏡検査が有効なのは、クラミジア感染よりも子宮内膜症だと私は考えます。子宮内膜症というといわゆるチョコレート嚢胞を想像するかもしれませんが、胚盤胞ができるのであれば妊娠成立を妨げる子宮内膜症はチョコレート嚢胞よりも骨盤内の癒着です。

片側ですが卵管通過障害もあり、卵管、卵巣、あるいは子宮が周囲と癒着している可能性もあります。もちろんそれでも体外受精で妊娠できてしまえば良いですが、なかなか妊娠成立しない場合には腹腔鏡手術で癒着剥離をすることで着床しない現状を打開できる可能性があります。また、ステップダウンするにしても癒着剥離ができた場合には妊娠率が上がる可能性はあります。そもそも癒着があれば、ですが、腹腔鏡で見てみないとわからないこともあります。

術後3-6ヶ月は妊娠成立するための勝負をかける時期だと思います。その時期に胚移植をするかタイミングでいくかは、よく検討してください。良好胚盤胞が得られるのであれば胚移植をしたくなりますが、再度採卵が必要なのであれば身体的・経済的に負担がかかりますね。

そしてもちろん、腹腔鏡手術は全身麻酔で行われ、お腹に小さな穴が3-4箇所開きますので、身体的な負担やリスクはあります。

以上のような腹腔鏡検査(手術)のメリットとデメリットをよく勘案して、また担当医に相談してみてください。

少しでもお役に立てれば幸いです。

毎回丁寧なご回答ありがとうございます。今回の回答を踏まえて、主治医に相談してみます。先生のおかげで今後をどうするか道筋が見えました。ありがとうございました

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2023年05月21日 00時03分


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産婦人科、専門は生殖医療です。日常の診療では主に、一般不妊治療、生殖補助医療、不育症、がん生殖医療、PGTを含めた遺伝カウンセリングを取り扱っています。1人でも多くの方のサポートができれば幸いです。

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