PMSの治療法について

40代女性

2人目の産後の生理が安定してから、PMSに悩まされています。
具体的には、特に生理開始前の数日間のイライラがひどいです。普段は怒らないような些細な事でもイライラし、一日中何かに気が立っているような気がします。イライラがピークになった頃生理が来て、次の日とかその次の日には、つきものが落ちたかのように穏やかな気持ちに戻ります。あまりにもイライラがひどいので、最近は生理が来るのがちょっと憂鬱なくらいです。

なので、薬を服用して良くなるのなら服用したいと思い、少し調べてみたら、PMSには①ジエノゲスト0.5mg②低用量ピル③漢方薬 などがあることを知りました。しかし色々と調べるほどどれが良いのかわからなくなりました。

年齢的に(40歳です)②の低用量ピルは選択肢から除外なのかなと思いましたが、①は副作用で不正出血が続いたり更年期のような症状が出たり気分が落ち込む、などとあってちょっと怖くなりました。③は即効性が期待できないのかな?と思い、どのような選択をすべきか悩みます。

一般的に、私の年齢の場合、第一選択はどのような薬になるでしょうか?また、それぞれの薬について、私のような症状に対して、飲んで効果が出る人の割合はどの程度なのかも知りたいです。
なお、基礎疾患・既往症は特になく、痩せ型で喫煙もしたことがありません。

よろしくお願いします。

回答済み

産婦人科

ご質問ありがとうございます。

40歳、喫煙なし、そのほか血栓リスクがない場合のPMSの治療についてのご相談ですね。


よくお調べになって頂いていて、①ジエノゲスト0.5mg(月経困難症の適応ですが、排卵抑制があるのでPMSへの改善が期待できます)や、そのほかの黄体ホルモン製剤②低用量ピル③漢方

が主な選択肢になります。


①ジエノゲスト0.5mgに関して、更年期のような症状や落ち込みがある可能性があるのが心配という事ですが、実際臨床的には起きない方の方が多いです。

ジエノゲストは0.5mg以外に、子宮内膜症や子宮腺筋症の治療薬である1mg製剤があり、そちらにはエストロゲン抑制作用があります。0.5mgにはありません。そのエストロゲン抑制作用により、1mgの服用をした場合に、一部に更年期症状が起きる方がいらっしゃいます。それでもそんなに多くない印象ですが個人差があります。(黄体ホルモンの作用で起きる場合もあります。)

また、仮にあったとしても漢方薬などで改善が期待できます。

ジエノゲストは血栓リスクがあがらない製剤ですので40歳でピルが慎重投与であることを考えると、選択肢として十分考えられます。

不正出血も個人差が大きく、始めから全くない方もいますが、だらだらと続いてしまう方もいます。その場合は止血剤や漢方を使ったり、一時的に別のホルモン剤を使用したりして出血を止めることを期待します。

そのほかの黄体ホルモン製剤もジエノゲストと同様に服用することができます。黄体ホルモンの種類がジエノゲストと異なるので、ジエノゲストが合わなかった時とか、値段が安いのでコストに関して気になる方に使う場合もあります。


②低用量ピルに関しても選択肢の一つです。40歳は確かにガイドライン上は慎重投与ですので、血圧や体重やそのほかの症状に気をつけながら服用することができます。

ピル1日1回の内服で済みますし避妊としても使用できるので使いやすいです。

ただ、ピルの種類によりますが、服用はじめに不正出血が起こることがあり、不正出血がジエノゲストにしか起こらないものではないのです。禁忌ではないですが、血栓症が心配であればジエノゲストなどの黄体ホルモンの選択肢になります。


③漢方薬もいいでしょう。

漢方薬は補助的な目的で、ジエノゲストやピルと併用して使用することも多いです。単独でも十分効果を発揮する方もいますが、排卵を抑制した方がより症状の根本的な解決になるため、ホルモン治療に抵抗のない方であればホルモン治療、もしくはホルモン治療との併用、ホルモン治療に抵抗のある方は漢方単剤で試すことがあります。

即効性がないように思われる方もいますが、漢方の種類によって頓服で使えるようなすぐに効果を発揮するものもあります。


そのほか、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが不足していたり、喫煙やカフェインによりPMSが悪化するということもあります。食生活なども注意するのもいいでしょう。ヨガやピラティスなどの運動やリラックスできる程度のストレッチなども効果的です。


選択肢は色々あって、実際その方が何を解決したいのか、どんな副作用があると困るのか、などを実際にお話して細かく問診して薬剤を選択していきます。

また、一度薬剤を選択しても合わなければ他の薬剤への変更を行いますので、服用する前にあれこれ考えずに、まずは服用を始めてみて、そこから選んでいくという考え方もあります。


全てが選択肢になり得ますので、是非産婦人科で相談してみてください。


以上ご参考になれば幸いです。

また何かご不安なことがありましたらいつでもご相談くださいね。

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2023年06月21日 04時43分


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