指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

滲出性中耳炎の通院頻度と薬の効果について

10歳未満女性

初めまして。いつも為になる情報ありがとうございます!

1歳1ヶ月の娘が2ヶ月ほど前から咳、鼻が続いており、その頃に滲出性中耳炎と耳鼻科で診断されました。

小児科の先生は4月から保育園に行っているため、ずっと何かしら風邪にかかっている状態なので元気であれば、続く咳、鼻は問題ないとのことでした。

2ヶ月近く毎週耳鼻科に通い、薬も同じのを飲み続けています。耳の水抜けの状態と鼻を吸うの処置をしてもらっているのですが、一旦だいぶ水が抜けてきていたのですが、また水が溜まってきてるとの診断を受け、また来週行くことになっています。

長いと半年かかったりするとの話も聞きました。

薬も特に効いている感じもなく、
娘は病院についた地点でギャン泣きしすぎて毎回吐いてしまいます。

経過観察ならせめて2週間に一度の診察にしてほしいと伝えたところ、できればきてもらった方が。との主治医の回答でした。

滲出性中耳炎の経過観察は毎週行く必要があるのでしょうか?またレポセチリン塩酸塩とムコダインシロップは効かない体質等ありますでしょうか?

ご回答頂けたら幸いです。宜しくお願い致します。

回答済み

耳鼻咽喉科

指名質問ありがとうございます。滲出性中耳炎と診断を受け、週1回通院の指示を受けているということですね。直接診察をしているわけではないのでコメントが難しいところもあるのですが、もう少し通院間隔をあけることはできる可能性があります。


まず、滲出性中耳炎についてですが、急性中耳炎などのあとに炎症が残存し、中耳に滲出液が溜まっている状態です。痛みは無いのですが難聴によって言語発達遅延の原因になったり、長期的には成人後に難治性中耳炎の原因となる可能性があると考えられています。そのため、きちんとした検査と、継続的な経過観察が必要です。

治療法は症状に合わせて計画していくことになります。可能な年齢であれば聴力検査の上で、3ヶ月経過観察と、保存的治療(お薬・通院による治療)を行います。例えば膿性鼻汁を伴う副鼻腔炎があれば弱い抗生剤、アレルギー性鼻炎があれば点鼻ステロイド薬、去痰薬(ムコダイン)もよく選択されます。3ヶ月間の経過観察の後、必要に応じて鼓膜チューブ留置術など手術治療を選択する場合があります。


相談者様の場合ですが、まず中耳炎による難聴の程度はわかりません。1歳で行うことのできる聴力検査もありますがなかなか難しい場合も多く、とりあえず外来通院で様子をみていくという選択肢もアリだと思います。問題は通院期間と投薬内容ですね。


通院期間に関する明確な指定はなく、滲出性中耳炎と合併した症状にあわせて決定していきます。例えば膿のような鼻水がどんどん出てくる場合は、たしかに週1程度で通院して鼻吸引をすることもありえます。ただ、症状が経鼻であるなら通院期間は月1〜もっと長期にのばすこともあります。このあたりは鼻汁の正常や量によりますので実際に診察をしなければわからないことではあります。また、水抜けの処置というのは耳管通気処置のことだと思いますが、実は外来で通気を行うことの有効性については、近年ではあまり意味がないかもしれないと議論されています。やるならば自己耳管通気といって鼻で風船をふくらませる道具(オトヴェントで検索してください)を、1日3回以上行うことが推奨されています。ただし1歳では難しいと思われます。何れにせよ、鼻水の性状によりますが週1通院は負担が大きく大変そうだな、と感じます。


次に投薬内容ですが、ムコダインは去痰薬、レボセチリジンは抗ヒスタミン薬ですね。ムコダインは副作用が少ない薬で、内服を続けることで滲出性中耳炎に良い効果があると知られています。ムコダインはそこまで強い薬ではないので、徐々に効いてくる感じです。内服を継続していただいても良いかと思います。問題はレボセチリジンです。アレルギーによる鼻汁を軽減するためのお薬ですが、滲出性中耳炎に対しては良い効果があるとは知られていません。鼻汁の状態にもよりますがこちらの薬剤は再考の余地があるかもしれません。


上記の内容は2022年発刊の小児滲出性中耳炎ガイドラインに準拠したものであります。


今後についての提案ですが、1.主治医と相談して通院期間を伸ばしてもらう、2.通院する医院を変える、3.大病院へ紹介してもらう、の3通りの方法があります。主治医と相談するのは正攻法になりますので、まずはもう一度、「どうしても仕事の都合がつかず、月1回位の通院になりませんか?」と相談してみてはいかがでしょう。2.通院先を変えることに関しては、周りのご友人などと相談し、口コミで探してもらうのが一番良いかと思います。アクセスの問題はあるかもしれませんので、無理のない範囲でお願いします。3.大病院への紹介ですが、聴力検査ができる、今後もし鼓膜チューブ留置術が必要になった場合にアクセスしやすくなるといったメリットがあります。ただ、待ち時間が長い可能性があるかもしれません。


長くなったのでまとめます。滲出性中耳炎の経過についてですが、どうしてもお子様では中耳炎を繰り返しやすく、治療までの期間も長引いてしまうことがあります。きちんと治っていることを見る必要がありますので、通院自体は頑張ってほしいと思います。通院期間や投薬内容については一考の余地があるかもしれません。


以上、回答させていただきます。もしわからないことがあればいつでも質問いただけますと幸いです。

ご回答ありがとうございました。正直私が毎週通うのが負担になっていたところもあり、再度主治医と相談し、他の病院も探してみようと思います。滲出性中耳炎についても知らないこともあり大変勉強になりました!

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2023年06月23日 09時24分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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