指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

赤ちゃんの耳掃除について

10歳未満女性

生後9ヶ月の赤ちゃんの耳掃除を耳鼻科でしてもらったんですがその時の方法について質問です。

Twitterなどで聞いていた話では、顕微鏡で見てピンセットで取るというやり方でやってもらった方が多かったのですが、今回行っていただいた方法は、液体を耳に注入して、綿棒で拭うというやり方でやってもらいました。

私的には、ピンセットで取るやり方のほうが、痛みもないし、(子供は水を注入されたことでとても泣いていました)どれくらい取れたのか確認できるのでそちらでやってもらいたかったなという気持ちがあります。

質問
・今回のやり方(液体を耳に注入して綿棒で拭う)でも耳の汚れは取れているのでしょうか?
・通常どちらの方法で行うことが多いのでしょうか?

お答えしていただけると有難いです。

回答済み

耳鼻咽喉科

指名質問いただきありがとうございます。9ヶ月齢のお子様の耳掃除の方法について、どのようにしたら良いかというご質問ですね。結論から申し上げますと、今回の綿棒で拭うという方法でも特に問題なく、多少汚れが残っても外耳道皮膚の健康さを優先していただきたいと感じました。


新生児や乳児の耳垢を取る場合はいくつかの特殊性があります。外耳道は出生時にはすでに存在していますが、その長さや大きさは頭蓋骨の成長に伴って大きく・長くなる途中の段階です。とくに1歳未満の児では耳の穴がかなり狭く、奥を見るのが難しいことも多いです。さらに、新陳代謝が盛んなため、湿ったような耳垢として見える場合が多く、耳垢鉗子(ピンセットに近い道具ですね)で取れるような耳垢にならないことも多々あります。ですので、この年齢では細い吸引管や綿棒で拭うような方法になることがほとんどです。2〜3歳くらいまで大きくなると耳垢鉗子を使うようになってきます。


次に耳に垂らした液体ですが、内容がわからないのでコメントが難しいのですが、生理食塩水か、耳垢を柔らかくするお薬かのいずれかであると思います。耳垢を柔らかくして吸引したり拭き取ったほうが、無理に剥がしたりするより痛みませんので、患者さんの安全と痛みに配慮した優しいやり方であると感じます。こちらは全く問題ないでしょう。


そして、ちゃんと拭き取れているかどうかについてです。まず、我々耳鼻咽喉科医の共通認識として、「耳垢は無理に取らないほうが良い」「鼓膜を観察できればOK」という2つの点があります。私自身もTwitterでよくお話しますが、外耳道には、掃除を行わなくても耳垢が自然と出てくる能力が備わっています。逆に耳掃除をしすぎたり耳垢を取りすぎることで、自然排泄能力が低下すると考えられていますので、無理に取らないほうが良いのです。鼓膜を観察できる程度に耳垢を除去し、無理に取りすぎない、これが耳鼻科で行う耳垢除去なのです。耳垢が多少残っているくらいが健康な皮膚の状態と考えていただきたいです。もちろん耳が詰まってしまうと問題なので、気になるようであればまた受診を検討していただければと思います。


ちなみに大人が耳掃除を行う回数は月1回までとお話していますので、参考にしていただけるとありがたいです。


まとめますと、今回の耳垢除去法は一般的な方法であって、特に問題は感じません。多少汚れが残っていても外耳道の皮膚を健康に保つ方が重要ですので、そのまま様子を見ていただいても良いかと思います。


以上、回答させていただきます。もしわからないことがあればまたいつでも質問ください!

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2023年06月23日 09時59分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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