指名:高橋怜奈/産婦人科医YouTuber 先生

妊娠初期の飛行機

20代女性

先生は妊娠初期の飛行機についてどうお考えですか?

気付かずに旅行に行ってしまう人も多いと思いますが、初産でのリスクはどれくらいあるのでしょうか?

また性行為をして、妊娠初期症状が出る2週間のうちに飛行機に乗った場合のリスクも知りたいです。

インターネットだといろんな意見があるので、産婦人科の先生に直接お聞きしたいと思い投稿しました。宜しくお願い致します。

回答済み

産婦人科

ご質問ありがとうございます。

妊娠の可能性がある時期、そして妊娠初期に飛行機に乗ることのリスクについて知りたい、というご相談ですね。


妊娠2週(受精の時期)から妊娠3週の終わりは「全か無か」の時期(all or none period)と呼ばれています。この時期に受精卵に影響を及ぼす薬などを使用した場合、影響が大きければ妊娠が成立しなくなってしまい、また影響が小さければ完全に修復されて奇形などの形で影響が残ることはありません。

飛行機の搭乗も同様です。


ただし、飛行機には医療資源がほぼないため、母体に何かあった時に命に関わる場合があります。


まず流産です。妊娠に気づいてから妊娠初期の間は最も流産の確率が高い時期ではあります。

例えば長時間のフライトで流産が起きてしまったら、お腹の痛みや出血があっても医療的な処置を受けることができません。

医療資源が確保されていれば、流産で命の危機に面することは滅多にないですが、大量出血することもあり、緊急の処置が必要になることもあります。

次に、異所性妊娠(子宮外妊娠)です。まだ子宮内の妊娠が確認できていない時期で、もし異所性妊娠だった場合、妊娠部位が破裂してしまったりすると急激にショック状態になり命に関わることもあります。


このような理由で、すぐに医療資源が確保されない場所に長時間滞在するという状況は、妊娠期間中は避けることが望ましいです。

ただし、妊娠しているかもしれない、という状態は妊娠を希望する方が妊娠成立するまでの間はずっと続くわけで、安全を気にするとどこにも行けない状態になってしまいます。


そのため、計画的にご妊娠を希望されているならば、排卵から次の月経予定日あたりまでは通常通り生活し、月経予定から遅れるようであれば妊娠検査薬をして気をつける、のが理想的なのではないかと思います。


飛行機で移動する時間や目的地にもよりますが、妊娠がわかってからの長距離、長時間移動はおすすめはできません。

妊娠経過が問題なければ飛行機に乗ること自体のお腹の赤ちゃんへのリスクは無いに等しいですが、妊娠はいつ何が起きるか分かりませんし、何かあった時に『飛行機にのらなければよかった』と思う可能性があるならやめておいた方が心配するストレスも減るのではないでしょうか。


総合的に判断して、もし妊婦健診にかかられているようであれば医師にご相談いただけたらと思います。


以上ご参考になれば幸いです。

また何かご不安な事がありましたらいつでもご相談くださいね。


4

2023年06月26日 21時34分


参考になりましたか?
ハートを贈り高橋怜奈/産婦人科医YouTuber先生を
サポートしよう!

YouTuber、産婦人科専門医、指導医、がん治療認定医、性教育認定講師です。生理、更年期、癌、セックス、婦人科形成手術、なんでもご相談ください。
【質問時】婦人科検診歴(子宮頸癌検診、エコー、性感染症などの時期と結果)、現在の使用薬の種類、量をご記載下さい。

YouTube: https://www.youtube.com/channel/UCVR9XnYBIQ4OlGmFPUNGGVQ

相談一覧