指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生

3歳の子供の滲出性中耳炎の治療について

10歳未満男性

3歳の子供の滲出性中耳炎についての相談です。

1ヶ月半前から風邪(発熱、咳、鼻水)を引いたり治ったりを繰り返しており、1ヶ月前にかかりつけの耳鼻科で片側の耳が滲出性中耳炎と診断されました。現在まで耳を痛がったり気にしたりする様子は見られません。

現在はその耳鼻科を週に1回受診し、点耳薬の処置と鼻の吸引、カルボシステインの処方(1回目と今回3回目はそれぞれ違う抗生物質も処方)をしていただいていますが、なかなか水が抜けきらないようです。

本日耳鼻科を受診した際、なかなか治らないから連携しているA小児科で早めに抗生物質の点滴をしてもらったほうがよいと言われました。

一方で、発熱がある際に受診しているかかりつけのB小児科では、水は見られるもののにごりもなくきれいなので、このままカルボシステインの処方を受けながら様子見でよいとも言われています。

検索したところ、小児の滲出性中耳炎は発症してから数ヶ月は経過観察と保存治療が一般的であり、点滴は急性中耳炎の際に行うと見たのですが、長引くと難聴の原因になるかもと思うと、点滴に行ったり、一度大きい病院で詳しく診てもらった方がいいのかな?などと不安に感じております。

このような状況で今後の滲出性中耳炎の治療方針について、アドバイスをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

回答済み

耳鼻咽喉科

指名質問いただきありがとうございます。3歳のお子様が滲出性中耳炎と診断され、治療方針についてどうしたら良いか迷っていらっしゃるということですね。結論から申し上げますと、相談者様の判断された方法が最も賢明かつ適切であると考え、一度大きい病院への受診が望ましいように考えます。少し説明していきます。


滲出性中耳炎は急性中耳炎のあとに炎症が遷延し、滲出液が中耳に貯留した状態です。症状はほとんどないのですが、中耳貯留液によって難聴を生じ、両側だと言語発達遅延の原因になることがあります。また、遷延した場合は中耳の周りで骨の発育が不良となることもあるため、鼓膜チューブ留置術といった手術が必要になる場合もあります。


滲出性中耳炎の最も基本的な治療方針は、「注意深く経過観察すること」です。それ以外の投薬治療や処置はすべてオプション(行っても良い)という形になります。小児滲出性中耳炎の診療ガイドラインによると、カルボシステイン投与は推奨されていますので、継続でも良いでしょう。逆に抗生剤による治療は耐性菌を生じる可能性が指摘されているため、推奨されていません。点耳薬は鼓膜穿孔がなければ効果が期待できませんので、必要ない可能性が高いでしょう。鼻処置も必ずしも推奨はされていませんが、副鼻腔炎を併発している場合は行われることもあります。もし行っていない治療法で何かやり方があるとすると、オトヴェントという商品を用いた自己耳管通気法があります。鼻で風船をふくらませることで、耳管から空気を耳に送る治療法です。興味がお有りでしたらAmazon等で購入できますので調べてみてください。


ただ、このガイドラインに沿うと耳鼻科医のドクターの行動があまりにも合致していないのが逆に気になります。もしかしたら抗生剤を使用したほうがよいというなにかの所見があったのかもしれません。こればかりは診察をしてみなければコメントが難しいですので、大きな病院へ紹介してもらい、判断を仰ぐのは一つの方法になるかもしれません。聴力検査を行うためにも有効な方法です。


相談者様は適切に医療情報を収集されており、大変素晴らしいと思います。お子様は滲出性中耳炎は繰り返しやすく悩ましいですよね。お早い回復をお祈りしております。

以上、回答させていただきます。この回答がお役に立てば嬉しいです。

早速のご回答ありがとうございます!
親である自分の判断が悪かったため悪化してしまったのではと不安に感じていたので、先生のお言葉をとても嬉しく思いました。
中耳炎の治療についても詳しくご教示いただき、大変勉強になりました。
この度はお忙しいなかありがとうございました。

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2023年07月18日 17時39分


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耳鼻咽喉科専門医•指導医の音良林太郎@耳鼻咽喉科です。みみ、はな、のどの病気や、首の腫瘍など、気になることはなんでもご相談下さい。専門は耳科、聴覚ですが、めまい、鼻、頭頸部腫瘍、甲状腺なども扱います。
なるべく丁寧に、かつ医学的な根拠とともに解説することをモットーとしています。どうぞお気軽にご相談ください!

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