食物アレルギーについて

10歳未満女性

こんにちは。

1歳4ヶ月の子どものことでご相談があります。

質問:アレルギー28品目以外の食材は、アレルギー症状が出ないと言い切れるのでしょうか。

保育園から、
「アレルギー28品目の食材以外の食材は、家庭で食べさせたことがないものでも園で食べさせます」と言われました。
入園前面談では、その説明がありませんでした。
昨日、家で食べたことのないスイカを園で食べさせようとしたことが判明し、なぜそうしたのか聞くと、上記の説明をされました。
家では、アレルギー28品目以外の食材でも、アレルギー症状が出る可能性があると考えて、どの食材でも慎重に進めています。

回答済み

小児科

こんにちは。ご相談いただき、ありがとうございます。

「アレルギー28品目以外の食材は、家庭で食べたことがなくても園で食べさせますと言われたが、本当にアレルギー28品目以外の食材ではアレルギー症状が出ることはないのか」というご相談ですね。


食物アレルギーをご心配されるお気持ちはよくわかります。

今までに食べたことがないものを園で食べさせて大丈夫なのか、というのはご家族はもちろん、実際には園の職員さんからもよくご質問をいただきます。

ご相談者様のように、しっかり一つずつ家で確認していただけるご家庭もおられますが、家では決まったものしか食べないので新しいものを食べることは全くしないというご家庭もおられます。


可能性という上でリスクをゼロにするということはいずれにおいても難しいことではありますので、ご質問に対しての私の考えとして回答させていただきます。


*以下長くなりますので、まず端的に私の考える結論ですが…

→ 初めてのものは自宅で食べていただくということを基本にしていただきたいのですが、実際には食べ物の種類はかなり多いため、ある程度の頻度があるものだけチェックし、その他のものはリスクの観点からは、ある程度許容していただいて良いのではないかと考えています。



アレルギー28品目とは、これまでの実態調査をもとに「一定の頻度で」アレルギーを起こす原因として明らかに特定された特定原材料を指します。

現在指摘されているものが、えび、かに、くるみ、 小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)、アーモンド、あわび、いか、いくら、 オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、 バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの28種類です。

これらは、時代とともに変わっていくことが考えられるため、新たな知見をもとに適宜見直しを行うものとされています。

*参考:消費者庁 Q&A別添 アレルゲンを含む食品に関する表示

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_230309_02.pdf


そして、「この他にもアレルギーを起こす可能性のある食べ物はあるか」と聞かれれば、「あります」というのが回答になります。

例えば、ヘーゼルナッツやマカダミアナッツなどの記載されていないきのみ類や、タイ・ヒラメなどの記載されていない魚類、他にも特殊例をあげるとたくさん原因になりうるものはあります。


給食やおやつに出る食べ物で、ある程度は品目を減らすことはできるかもしれませんが、全てを乳幼児期から自宅で食べてみるかというと現実的にはできないご家庭がほとんどだと思います。

少量だけ食べたことがあっても、量が多いと何らかの症状が出てしまうという可能性も否定はできません。


また、食物アレルギーの原因になりやすい食べ物は、年齢によっても変わります。

*参考:アレルギーポータル https://allergyportal.jp/knowledge/food/


例えば乳幼児期には、鶏卵・牛乳・小麦・ピーナッツ・きのみ類・魚卵などが多いですが、甲殻類などはあまり多くはありません。肉類は小児期全体として稀なアレルゲンです。

果物は頻度としては決して珍しくはありませんが、いわゆるアナフィラキシーを起こすようなタイプの果物アレルギーはそれほど乳幼児では多くはありません。


「食物アレルギーの頻度」はとても大切なもので、やはり珍しいものに反応する方は、あまりおられません。


家であまり与えるタイミングがなく、保育園で初めて食べることになるものとしては、今回のご相談者様のようなスイカなど、一部の果物類や魚類などが頻度としては多いかなとは思います。

これらは可能であれば、先に食べてみていただくことをおすすめしますが、実際にはなかなか食べる機会が得られないことはよくあります。一人ひとりで多くを制限しすぎてしまうと、給食の管理はかなり難しくなります。

現実的には、他の果物や魚に反応したことがあるお子さんや、アレルギー体質の強いお子さん(アトピー性皮膚炎や他の食物アレルギーを合併している方など)では注意をしますが、多くの方にとっては許容していただきたい程度のリスクのように考えます。


必ず自宅で試してほしいと考える食べ物は、鶏卵・牛乳・小麦などの旧3大アレルゲンが筆頭ですが、年齢に応じてピーナッツ、クルミ、カシューナッツなどについてはいつも注意喚起をしています。

その他も大豆などはもちろん未摂取であればお声掛けしますが、実際に保育園などで初めて症状が出てしまったという話は、ナッツ類がかなり多い印象です。最近ではナッツ類は給食やおやつに出さなくなってきていますが、園によって異なるのも事実ですので、このあたりはよろしければご確認いただくことも必要かもしれません。


上記のため、私の考えとしましては、家で食べてみていただくことは大切ではありますが、園で食べるのが初めてになってしまう食べ物がときに出てしまうことはある程度仕方がないものと考えています。

ただ、リスクの高い食べ物はしっかり自宅で確認していただくことは間違いなく必要なことです。


お答えとしては上記となります。ご参考になりましたら幸いです。

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2023年08月23日 14時54分


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小児科専門医です。専門はアレルギーですが、小児に関することは幅広く診療しています。何かしらお力になれれば幸いです。

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