フォンタン循環の熱中症対策

10歳未満男性

先天性心疾患(無脾症候群、単心房単心室、共通房室弁など)の4歳男児です。
2歳のときにフォンタン手術を終えました。
主治医からは、フォンタン循環の子は脱水になるとすごく具合が悪くなるので熱中症に注意と言われています。
こまめに水分を取るようにしています。
ただ、アクアライトなどの甘い飲み物は癖になるから普段は飲まない方がいいと言われているので、普段の水分補給は水か麦茶です。

もうじき保育園の運動会があり、屋外での練習が始まるのでとても心配しています。
(ちなみに昨年のこの時期も運動会練習がありましたが、当地の去年の気温を調べたところと27〜31℃くらいでした。今年は今現在38℃くらいですし、来週以降も33〜35℃予報です)

保育園では加配の先生がついており、本人の様子をこまめに気にかけてもらえると思います。
運動会練習に当たり、先生にはどんなことに気をつけていただいたらいいでしょうか?
練習を休ませたほうがいいサインはありますか?
水分補給の仕方など、具体的に先生にお願いしやすい注意点などありますか?(例えば何分に一度、とか)
水よりアクアライトの方がいいでしょうか?

よろしくお願いします。

回答済み

小児科

こんにちは。ご相談いただき、ありがとうございます。

「フォンタン手術後の4歳の男の子だが、去年と比べてかなり暑い中で運動会の練習が始まることが心配である。普段から脱水について注意するように指導されているが、どう対応するべきなのか。」というご相談ですね。


今年の夏は本当に暑く、熱中症のニュースが数多く流れている状況ですので、ご心配になられるのは当然だと思います。成人でもリスクのある環境ですので、私としてもこの時期に運動会の練習を始めるというのはとても不安に感じます。


まず、申し訳ありませんがフォンタン循環での水分摂取量、運動量については専門的な領域であり、なおかつお子さんの状態によっても変わりますので、基本的には主治医に改めてご確認いただくことが大切です。


今回は一般的なこととしてお答えさせていただければと思います。


極めて暑い状況での運動(室外にいるだけでもリスクはあります)で問題になるのは、脱水症はもちろんですが、熱中症のリスクがとても高いです。熱中症は、水分や塩分を頑張って取っていても発症します。

33〜35度の気温が予想されている段階では、基本的には室外での運動は控えることを園もしくは園医とご相談いただくことが望ましいのではないかと思います。


日本スポーツ協会が作成しているスポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(https://www.japan-sports.or.jp/publish/tabid776.html#guide01)では、WBGTが28度以上で運動は厳重注意、31度以上で原則中止としています。

WBGTはいわゆる気温とは別の、熱中症温度指数というものです。通常の気温とは異なるため現場で測定することは難しいのですが、環境省の熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/sp/)などから確認ができます。


リスクのない方であっても、WBGTが28度を超えている場合は激しい運動は避け、10〜20分ごとの休憩・水分、塩分の摂取が必要とされています。25度以上では30分ごとが一つの目安とされています。


低年齢というだけでもリスクがありますが、フォンタン循環のお子さんは、運動量と水分の管理がこれほど過酷な環境では正直なところ難しい可能性があり、リスクは低くないと感じます。


これは私の個人的な考えではありますが、現状の暑熱環境でも概ね通常通りの運動会、運動会の練習が開催される場合は、参加は控えておくというのも一つの手段だと思います(延期されて、昨年と同等くらいの涼しさになるようであれば、昨年と同じような対応で良いかなと思います)。


参加のご希望が本人、ご家族ともにある程度あるようでしたら

・少なくとも10-20分おきに涼しい環境で休息をとり、水分・塩分も摂取するように心がけること

・お子さんの顔色や呼吸の様子、息切れ、ふらつきについて注意深く観察すること

・緊急時の対応について医師と相談しておくこと

・少しでも体調が悪ければ、涼しい場所で観察者を置いて休むこと

など、なるべく十分すぎる準備をしていただければと思います。


熱中症は、暑熱環境で活動しないだけで防ぐことができるとても危険な病態です。大変かもしれませんが、園と行う時期や練習の仕方など十分にご相談いただければと思います。


回答としては上記となります。

ご参考になりましたら幸いです。

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2023年08月23日 17時56分


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