指名:相川晴(HAL) 先生

現在のコロナ感染対策について

30代女性

3歳0歳30代夫婦の家族です。現在私は育休中、上の子は保育園、下の子は来年度より保育園に入園させる予定です。

我が家は0歳を除き全員ワクチン規定回数接種済みでコロナが5類になってからも特に感染対策を緩めることなく過ごしていましたが、とうとう今月頭に感染してしまいました。お出かけ好きの子に合わせて休日は頻繁に都内の電車に乗っていたのでそこで感染したかと思っています。
マスクを上手に着けられない子供は親が守ってあげなきゃいけないのに辛い思いをさせてしまい反省しています。

現在大流行していますが、国全体の空気感としてそれが全く感じられないのが不気味でありとても怖いです。マスクも私の肌感覚だと電車や街中では2割程度しかつけていませんし、配送ドライバーや飲食店の方でも外してる人が多く信じられない気持ちです。
再感染が怖く子どもの出掛けたい要求にも中々前向きになれずにいます。子供たちにはこんな情勢の中で生まれてきてくれたことに申し訳なさを感じます。またマスクへの考え方で友人関係に影響が出るのも虚しいし、来年度の保育園選択でもかなり繊細になってしまい、ただでさえ激戦なのに入園できるか(=復職できるか)もあやしいです。

先生が他の方への回答で「感染対策で一生を終えてほしくない」という風なことを仰っていたのがとても印象に残っています。
本当にその通りだと思いますが今のこの国全体の雰囲気だと5類化前よりもっとしっかり自衛するしかなく、結局波が去るまでは自粛するしかないのでしょうか。正直、あと何年、何度これを繰り返すのかと思うととても鬱々としてしまいます。

回答済み

一般内科

ご質問ありがとうございます。

現在の国全体の雰囲気が、感染が流行していることを感じさせず、マスクをしている人も少なくなっており、この状態だと前より自衛するしかなく、結局波が去るまで自粛するしかないのか、あと何年、何度これを繰り返すのか……といったご相談ですね。

回答が大変遅くなり申し訳ありません。また、改めて質問してくださってありがとうございます。

これに対してどう答えたらいいのか……と、ずっと考えていたのですが、なかなか「これ」という答えを出すことができませんでした。ここから長々と書いていますが、結論はないと思って読んでいただけると幸いです。


モデルナの患者数の推定値を見ても高い値で推移していますし、ピークアウトしているのかなという波形ではあるのですが、まだちょっとこれがどのくらいで下がるのか、どこまで下がるのか、高止まりしていまうのか、等々先がよめないところです(あとは、体感的には減っている感じがしないのですが、地域差の問題かもしれません)。

https://moderna-epi-report.jp/

ただ、5類になって患者数がリアルタイムで反映されることがなくなり、週報である程度の値が出ますがあまり報道されることもなくなり、報道されるのは「数年振りにイベントが復活し」「子どもたちの笑顔が」のような前向きな内容ばかり……というのは正直感じるところです。

私個人としては、感染者が増えている時はマスクを含めて感染対策を強化して、少しでも波が小さく短く済むようにし、そして減った時にはマスクも必要に応じて減らして……というように、メリハリつけた感染対策をしてほしいと思うんですけどね。


ただ、世の中は、日本は、と言いますか、おそらく世界は、この新型コロナウイルスを受け入れたのだな、と感じます。受け入れた理由は、ある程度の人間がワクチンを接種/もしくは感染した状況で、このウイルスが流行し続けることは、人類にとって脅威ではないと判断したのではないかと思っています。脅威ではないというのは微妙なところなのですが、少なくともワクチン含む免疫の働き・それからウイルス自体の変異により、当初のような致死率ではなくなり、ある程度の治療方法もできた、後遺症はあるかもしれないが(そしてそれによりいろいろ弊害はあるが)致死的ではない、このあたりではないかと思います。

それが正しい選択なのかはわかりません。ただ、感染症対策のために「我慢」を強いられることが限界の人があまりに多かったのだと思います。それは、「もう嫌だ」というような軽いものではなく、集団として、精神的に、経済的に、物理的に耐えることができない状況になっていて、感染症対策によるダメージと、感染症によるダメージ、そのバランスを取ろうとした結果の選択なのではないかと考えています。

これがよい選択だったのかどうかは、年単位経過して振り返ってわかることになると思います。(たとえば2020年〜の日本はこれでいいんかいと思ってましたが、振り返ってみると死者をあれだけ抑えていた。本当、みんなよく我慢して頑張ったと思います。)


ただ、これは集団としての選択であり、たとえ集団としては正解であったとしても、個人として正解かはわかりません。集団として感染症を蔓延させない力が減っている以上、ある程度の自衛は必要なんだろうと思います。

しかし、その「感染症対策によるダメージ」を「感染症によるダメージ」を上回るのは、やはり個人の選択としてもよくないと思うんですよね。それこそ、今の一瞬の出来事であるなら、引きこもってもなにしても全然OKと思うのですが、質問者さまもおっしゃる通り、「あと何年、何度これを繰り返すのか」というタイプの感染症ですので、長い目で見て、どこまで感染症対策をするか、ということになると思います。

そして、自分自身だけじゃなく、「家族」ができることじゃないといけないと思います。

自分にとっては

「感染症対策によるダメージ」<「感染症によるダメージ」

と思って継続できている対策が、実は家族にとっては

「感染症対策によるダメージ」>「感染症によるダメージ」

ということもあります。自分と他人はストレスの感じ方が違うのだ、ということは常に意識していた方がよいと思います。

マスクもそうなのですが、つけるのがそこまで苦じゃない人もいれば、もうつけるくらいなら感染した方がマシと思う人もいる。本当に幅があります。

なので、時々家族で意見を出しながら、やりすぎの対策になっていないか、もしくは逆に対策がおざなりになっていないか、は考えていく必要があるのかな、と思っています。


ですので、今回感染はされたことは本当に大変だったと思いますが(元気に回復されましたでしょうか)、お出かけ好きのお子さんにとっては、電車に乗ってたくさんお出かけできたこと、これはもうこれ以上ない楽しさで、経験で、喜びだったと思うんですよね。そして、それを知っていたからこそ、文面を見る限り、感染症対策バッチリの質問者さまも、頑張ってお出かけされたんだと思うんですよ。それは、バランスの取れた感染症対策だったんじゃないかなと私は感じました。

ご友人との関係もそうですね。ご友人にはご友人の考える感染症対策のバランスがありますので、お互いに尊重できるといいかなと思います。例えば、相手がマスクをしていないけど、自分はマスクをする。感染症対策として万全ではなくても、リスクを減らすというのでは意味があると思います。


地域差はあるのですが、現在流行していますので、今は少し頑張って感染症対策してほしい時期ではあります、と個人的に思っています。でもバランスはとりましょう、そのせいで心と体の健康を害してしまっては意味がありません。やれることをやる、ですね。

あとは、小さいお子さんは感染症対策が難しいので、感染確率を下げる&感染した時のダメージを減らすためにワクチン接種しておくのが、現在個人でできる対策としてはベストもしくはベターと思いますので、下のお子さんも保育園入園までに余裕がありましたら接種を検討されるとよいかと思います(秋接種分の臨床データが出てくるともっと勧めやすいんですけど、おそらく効果も副反応もこれまでと似たような傾向だと思います)。


長くなりましたが以上になります。

まだ大変な時期が続きますが、どうぞお身体に気をつけて。

そしてぼちぼち秋の風も気持ち良くなってきましたので、少し外で深呼吸して空を見上げてみてほしいなと思います(と言いつつ、まだ入道雲が見えたので、まだ夏なのかな……などと思っていますが)

少しでもなにかの参考になれば幸いです。


お忙しい中いつも的確、かつ質問者さんの気持ちに寄り添った回答をされていて、尊敬しかありません。この質問に関しては私自身も同じ様に悩んでいたので、質問者さんと同じく泣きながら回答を読ませていただきました。先生ご自身育児とお仕事の両立、どうかご無理されませんように。

お忙しい中ご回答ありがとうございます。
子供たちのことも考えてくださり泣きながら読んでしまいました…。
先生のご説明で色々と納得、腑に落ちることもありとても参考になりました。
ツイート内容も含めいつも寄り添っていただき救われます。先生御一家もどうかご安全にお過ごしください。

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2023年09月09日 22時24分


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