食物アレルギーについて

10歳未満女性

1歳9ヶ月の子どもがいます。1歳半のころに卵黄の消化管アレルギーを発症し、卵黄除去しています。

①1歳半発症は珍しいのでしょうか。(過去に固茹で卵半分くらいまでは食べていました。)発症が遅いと治りづらいなどのケースはありますか。また、アナフィラキシーショックのように一分一秒を争うような状態なのでしょうか。

②卵アレルギー発症予防のため、固茹で卵白1gを週1.2回与え続けていますが効果はありますか。

③アレルギーが怖くなってしまい、まだナッツ、えび、かにを与えたことがありません。(しらすは毎日与えていますが、えびの重度のアレルギーはないと考えて良いのでしょうか。)
言葉が話せる3歳頃から試すのは遅いでしょうか。

どうぞよろしくお願いします。

回答済み

小児科

こんばんは。ご相談いただき、ありがとうございます。

「1歳半の頃に卵黄の消化管アレルギーを発症し、卵黄を除去しているが、発症が遅い場合には治りにくいなどあるか。また卵白の少量摂取による予防意義はあるか。それ以来食物アレルギーについて不安が強くなってしまったが、アレルギーの起こりやすい食べ物を始めるのは3歳以降では遅いのか。」というご相談ですね。


一度食物アレルギーと診断されると、その後他のアレルギーも起こっていないかなど心配になりますよね。悩まれるお気持ちはよくわかります。


こういった場でご相談いただけることはありがたいのですが、今回のご相談は個別性が高い印象もあり、基本的には卵黄の消化管アレルギーと診断してくれた担当の医師としっかり相談していっていただくことをおすすめします。


以下一般的なこととして回答させていただきます。


① 卵黄の消化管アレルギーで1歳半に発症するのは遅いのか。

消化管アレルギーについては、実際にはまだまだ病態や原因、発症要因などわかっていないことが多いです。国内の報告では発症の中央値は8-10ヶ月くらいという報告がありますが、それより遅く発症することもあり、1歳半での発症が遅いかどうかは断言することは難しいです。

特にご相談者のお子さんの場合は、前回に卵黄を食べてからどのくらいの期間があいていたのか、どのくらいの量を食べたのか、診断はどのようにしてなされたか(繰り返すエピソードか食物負荷試験かなど)がわかりかねるため、コメントすることが難しいです。一つのパターンとして、もっと前の段階で発症していたものの、たまたま食べる機会がなく、まだ1歳半の時点で治っていなかったという可能性は十分あるようには思います。


なお、アナフィラキシーショックなどはとても心配なことかと思いますが、卵黄の消化管アレルギーとアナフィラキシーショックを起こすアレルギーは病態が異なるため、消化管アレルギーによってアナフィラキシーショックを起こすということはありません(消化管アレルギーが安全、軽症という意味ではありません)。


病態や注意するべきことなどについては、ぜひ担当の医師にあらためて相談していただくことをおすすめします。


② 卵アレルギー予防のため、卵白 1gを定期的に与えているが効果はあるか。

卵白による即時型アレルギー(消化管アレルギーとは別のタイプのアレルギーですね)の発症を予防するために、少しずつ食べておくということは予防という意味では効果は期待できるものではあります。

ただ、どこまで予防するべきなのか、どのくらいのタイミングで量を増やして食べていくべきかなどは、お子さんの今までのアレルギー体質の程度であったり、食べてきた経歴などで非常に幅があります。

こちらも担当の医師と今後の進め方をしっかりご相談いただくことをおすすめします。一般的には、ある程度の量の卵を食べている年齢ではありますので、そろそろ増やしていけそうなのか、負荷試験をしていったほうが良いのかなどぜひ相談してみてください。


③ アレルギーが怖くなってしまって、ナッツ類やエビ・カニなどを与えられていないが、言葉数が増えてくる3歳以降でもよいか。

こちらもやはりお子さんのアレルギーを起こすリスクの程度がわからないため、コメントが難しいです。

一般的なこととして、アレルギーという意味合いでは〇〇歳から始めましょうと理由なく食べ始めを遅くすることのメリットはありません。ただ、なまものであったり、ナッツ類など4-5歳くらいまでは喉につまってしまうリスクなどがあるものは、アレルギーとは別の要因で食べ始めに適した時期があることもあります。


私個人としては、ピーナッツを含めたナッツ類はご両親など家族がよく食べられる場合(お子さんの生活する環境にナッツ類が多い場合)は、予防的にピーナッツバター、アーモンド飲料など乳幼児でも食べられる型式で食べ始めることをおすすめしています。ただ、ご家族やよく行くお家で食べることがあまりない場合には、リスクは高くないため様子をみていただいても良いかなという印象です。

こちらはケースバイケースではありますが、家族は食べるけどお子さんに食べさせるのは不安だという場合は、「お子さんに食べさせることができる」というお気持ちになるまでは、家族が食べるのを少し避けていただくようにお話することもあります。


また、エビ・カニについてもご心配されている方は少なくありませんが、エビ・カニのアレルギーは乳児期に発症することはあまりなく、多くはもう少し年齢が上がってから発症します。こちらも食べやすさなどの問題はありますが、個人的にはあえて避けずに他の食べ物同様に、少ない量からしっかり食べていくことをおすすめしています。


ナッツ類やエビ・カニに限らない話ではありますが、ある程度の年齢までご家族の不安で避けすぎてしまうと、お子さんも警戒するようになってしまうことが少なくなく、気がついたら小学校に上がってもまだ食べたことがないというお子さんに出会うことは正直なところ少なくありません。

その場合は、食物負荷試験で問題なく食べられても、怖いという気持ちが強く、除去は必要なくても全く食べられないという状況も多いです。


やはり担当の医師と心配な食べ物はどう進めていったらよいか、心配なときはどう対処するべきかなど改めてご相談いただくことをおすすめします。


回答としては上記となります。

とても悩ましい状況の中、担当医との相談をと強調してしまい、申し訳ないという気持ちもありますが、お子さんのためにもご家族のためにもしっかり納得して安心できるように進められると良いですね。

ご参考になりましたら幸いです。

1

2024年04月30日 01時05分


参考になりましたか?
ハートを贈りどっと@小児科医先生を
サポートしよう!

小児科専門医です。専門はアレルギーですが、小児に関することは幅広く診療しています。何かしらお力になれれば幸いです。

相談一覧