感染症、ウイルス暴露量と症状の重さは関係ある?

30代女性

1歳半の娘が4月から保育園に通い出し、頻繁に風邪をひくようになりました。
両親もその度に感染しています…ここまでは、周りから聞かされていた話のとおりなのですが、その中でひとつ気になることがあります。
私も夫も、娘が頻繁に風邪をひくようになるまで、ほとんど風邪をひかずに生活してきました。
それが、娘のかぜはあっというまにうつり、しかも長引きます。

これまでも生活の中でいろいろなウイルスに出会わなかったわけはないはずですが、娘の風邪はいとも簡単にうつり、重くなってしまう…
娘が風邪をひくと、どうしても看病のため接触が多くなります。具合が悪ければスキンシップも増えます。
ウイルスにたくさん暴露されると、発症しやすく、症状は重くなるのでしょうか。
それとも、単にこれまで出会ったことのないウイルスだからでしょうか。

娘の診察ではなかなかこういった話をする時間がなく、急ぎではありませんが、教えていただければ幸いです。

こんにちは。ご相談いただき、ありがとうございます。

「1歳半の子が4月から保育園に通い出し、頻繁に風邪を引くようになってしまった。両親もその度に風邪をもらってしまい、そこまでは予想通りではあるが、思っていた以上に子どもの風邪はあっという間にうつり、しかも症状が長引いてしまう。どうしても看病のために接触が多くなっていることは事実だが、ウイルスにたくさん曝露されると発症しやすく、症状は重くなるのか。それとも単に出会ったことのないウイルスだからなのか。」というご相談ですね。


保育園に行き始めた頃は本当に頻繁に風邪をひいてしまい、なかなか生活が不安定になってしまいますよね。ちょうど1歳半検診くらいのタイミングでそのような状況のお子さんは多く、よく検診の場でも免疫が弱いのではないかなど相談を受けることはよくあります。予想はしていても、なかなかお辛い状況かと思います。


また、親御さんが想像以上に風邪をひいてしまい、なかなかよくならないというのもやはりよくある悩み事の一つです。

小児科医としてよくみるパターンとして、RSウイルスなどの感染症で入院されたお子さんの付き添いのご家族が熱を出してしまったり、喘息発作を起こしてしまったりするようなこともあります。付き添いの過酷さも背景にあることは否定できませんが、付き添って看病をしているとやはり風邪はうつりやすいですし、症状もしっかり出てしまうようなことは経験上もよくあるなと思います。

他に、手足口病など大人ではあまり感染しなさそうな病気であっても、大人に感染してしまったり、やや頻度は下がりますが、水いぼでも一緒に生活していると大人がもらってしまうことも実際にあります。大人の生活では「日常で曝露されることがないようなウイルス」というのも、感染しやすくなる原因の一つだと考えます。


今回改めてウイルスの曝露量と発症・重症化などについて調べさせていただきましたが、① 曝露量が多い方が感染は成立しやすい可能性がある、② ウイルスの量は症状が強いほど多い(症状が強い人はウイルス量が多い)可能性がある、ということはある程度文献的な報告があります。

ただ、さらに深く考察する場合にその関係性はとても複雑であるというのも事実だと感じました。ウイルス量が多いのが曝露されたウイルスが多かったのか、感染した人の免疫の違いによるものなのか、睡眠時間や栄養状態など他の要因が大きいのかなど変数が多いため、なかなか表現は難しいというのは正直なところです。


一般的なお話として、小さなお子さんの看病をしているとウイルスを浴びる量は多く、さらに短時間ではなく長時間曝露することになります。そのため、感染する可能性は高くなります。

なおかつ、お子さんが体調を崩していると、お子さんはもちろん親御さんも夜はなかなか寝られず、日中は家事・育児・仕事などに追われて自分を十分にケアすることも難しいのが正直なところだと思います。やはりこういった状況が症状を強くさせたり、長引かせてしまったりしている可能性は高いものと思われます。


お子さんもご家族も時間経過と共に徐々に感染しにくくなってきますが、度々感染してしまうのはやはり大変だということも間違いありません。

家であっても、お子さんの調子が悪い時には手洗いをしっかり行い、マスクをつける、適切な予防接種を行うなど感染対策をしっかり行なっていただくことは重要です。また、ご両親の間でも負担の調整をしっかり行なって、疲労感・ストレスが溜まりすぎないように調整していただくことをお勧めします。

地域による差も少なくありませんが、病児保育を行なっている場所も周辺にあるかもしれませんので、ご利用いただくことも曝露量を減らす一つの手段だと思います。


悩ましい状況かと思いますが、みなさんお大事になさってください。

少しでも早く落ち着いてくると良いですね。

たいへん勉強になりました。親の状況にもご配慮いただき、暖かな回答誠にありがとうございました。周囲とも協力して、なんとかこの時期を乗り切りたいと思います。

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2024年05月28日 10時46分


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