インフルエンザワクチンのフルミストについて
10歳未満男性
いつもためになる発信をありがとうございます。
そろそろ5歳息子のインフルエンザワクチンの予約が始まり、かかりつけでは今年からフルミストも導入されるようで従来の注射2回にするか悩んでいます。
1回で済むこと、針を刺さなくてよいことはメリットと思うのですが、説明を読んでの懸念点として以下があります。
・フルミスト後しばらくは鼻を噛まないほうがよいとあるが、息子は鼻炎があるため当日症状がひどいと直後にくしゃみが出てしまうかも
・生ワクチンなので副反応が出やすいかもしれないとあり、10月は保育園の行事も多く日程調整が難しいかも
・新型コロナのワクチンの接種も機会があれば受けたいと思っており、生ワクチンだと前後に間隔を空ける必要があり機会を逃してしまうかも
本人が注射をそこまで嫌いではなく、2回接種も特に困難でない場合は従来どおりの注射でよいのでしょうか?注射の場合、私も一緒に受けられるというメリットもあります。
先生のご意見をお聞かせいただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。
回答済み
こんばんは。ご相談いただき、ありがとうございます。
5歳のお子さんのインフルエンザワクチンとして従来の注射を行うか、フルミストにするか悩んでいるというご相談ですね。
フルミストは以前から一部医療機関では使用されておりましたが、今シーズンから国内でも承認され、幅広い医療機関でも選択可能な状況となりそうですね。まだまだよくわからないことも多いと思いますので、悩まれるお気持ちはよくわかります。
まず、一般的なことではありますが、フルミストは両方の鼻に点鼻するタイプのインフルエンザウイルスに対する生ワクチンです。現状は従来の注射製剤と有効性について明らかな差は認められていません。
そのため、どちらを選択しても全く問題はなく、いずれかご希望のものを接種していただくことをおすすめしています。
大きなメリットとしては、注射が不要で痛みがなく、1回で済むということがあります。金額などは医療機関によって異なりますが、注射2回と比較すると大きな差はないことが多いと思います。
注意点としては、生ワクチンなので感染に近い状態を起こしてしまう可能性があります。特に本人が免疫不全のある方、ご家族に免疫不全症の方や妊婦さんがいる場合などは安全性という意味から接種は勧められません。また、喘息がある場合もどちらかというと注射での接種を推奨しています。
副反応としても、風邪症状に近い鼻水・鼻詰まり・咳・喉の痛みは10%以上と比較的高い頻度で報告されています。発熱や倦怠感も当然ありますが、こちらは注射製剤と極端に差はないように思います。
上記が一般的な情報です、ここから質問内容に対して私の考えで回答させていただきます。
・鼻炎があり、当日の症状が強いとくしゃみなどしてしまう可能性がある。
→ 鼻炎は接種してはいけないという理由にはなりませんが、一般的にやや効果が落ちる可能性があることには注意が必要です。フルミストで接種したいけど、鼻水が心配な場合には、なるべく接種前に抗アレルギー薬で鼻炎のコントロールをしておくことをおすすめします。
・副反応が出た場合に、保育園の行事のことを考えると日程調整が心配
→ 副反応は注射製剤でも起こることはありますので、必ずしもどちらかなら行事に関して心配がいらないとはいいきれません。ただ、風邪様の症状はやはり生ワクチンに多いため、注射製剤で多い接種部位の腫れや熱感などと比べると生活への制限がかかりやすいことは確かかと思います。
・新型コロナワクチンとの接種間隔が心配
→ 厚生労働省としては、現在は新型コロナワクチンと他のワクチンに接種間隔に制限はありません。そのため、同時接種を含めてどのタイミングで接種していただいても問題はありませんが、インフルエンザワクチンシーズンはクリニックは非常に慌ただしいため、安全性を考慮して同時接種は不可としているところも多いです。
コロナワクチンの接種可能な日程などもクリニックによって異なるため、接種予定のクリニックで改めてご相談いただければと思います。
回答としては上記となります。
医療従事者向けではありますが、タイムリーに日本小児科学会からフルミストの考え方について提示されておりました。よろしければご参考いただければと思います。
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=607
また悩ましいことがありましたら適宜ご相談いただければ幸いです。
2024年09月10日 22時27分