指名:どっと@小児科医 先生

フルミストについて

10歳未満女性

かかりつけの小児科で今年から経鼻接種によるインフルエンザワクチンのフルミストを使うようです。
効果や副反応はどうなんでしょうか?選べるのであれば、やはり従来通り注射の方が良いのでしょうか?
注射嫌いの娘なので、経鼻接種一回で済むならそのほうが良いですが、効果や副反応、またちゃんと吸えるかどうかが心配です。

回答済み

小児科

こんばんは。ご指名でのご相談をいただき、誠にありがとうございます。

フルミストの効果あ副反応に関するご相談ですね。


実は以前から輸入ワクチンで使用していたクリニックもありますが、承認されて接種ができるようになったのは今シーズンからですので、実際どうなのか気になっているという方は少なくありません。


フルミストは2歳〜19歳の方に使用できる経鼻(鼻に投与する)弱毒生ワクチンです。2003年にはじめて米国で承認されましたが、有効性が安定しないことなどから国内ではなかなか承認されずにいましたが、報告も安定してきたため今シーズンから使えるようになりました。


以下にいくつかポイントを提示させていただきます。

① 経鼻ワクチンのため、注射の必要がありません。全く不快感もないというわけではありませんが、痛みが苦手な方や注射ということが難点で接種できていなかったお子さんにとってはとてもありがたい選択肢だと思います。また、1回で済むというのも大きなメリットです。

② 有効性は注射のワクチンと比べて、同じくらいというのが現段階の情報です。今後国内での接種が増えることで良くも悪くも多少の違いが出てくる可能性はあります。

③ 弱毒生ワクチンといって、弱くはなっていますが、生きたウイルスを使用しています。そのため、本人もしくは同居されているご家族などに免疫が弱い方や妊婦さんがいる場合は接種は推奨されません。重度の喘息がある方にも刺激になりうるため要注意となっていますが、軽い喘息であれば接種可能です。

④ 副反応は鼻水・鼻詰まり・咽頭痛などの報告が多いです。ただ、鼻に液体をいれているため、ある程度仕方がない問題でもあります。その他生ワクチンのため、インフルエンザに近い発熱などの副反応が起こる方もいますが、こちらは注射タイプでも起こり得るため極端に頻度が高いものではありません。

⑤ 金額はクリニックによっても異なりますが、基本的には注射よりも少し高くなることが多いです。また、自治体からの補助がある場合にも、注射型でしか補助がでないというところもありますので、注意が必要です。

⑥ その他注意点として、風邪やアレルギー性鼻炎によって鼻水が出ている場合は効果が落ちてしまう可能性は否定できません。アレルギー性鼻炎であれば十分に治療をしておくことが大切です。うまくできるかという手技的な問題も確かに否定はできませんが、低年齢児は誰でも逃げてしまったり、泣いてしまって鼻水が出てしまうこともよくあるものと思いますので、ある程度は許容内ではないかと考えています。

⑦ コロナワクチンを初めとして他のワクチンとの接種間隔については、添付文書上は特別な制限はないものとされています。ただ、クリニックによっては個別で期間を作っているところや接種時のトラブル防止のため同時接種はしていないところもありますので、接種を希望されるクリニックでご確認いただければと思います。


主なポイントは上記です。

実際に自分の子どもが極端に注射が苦手で身近に免疫の弱い方や妊婦さんがいなければ、十分によい選択肢として扱うかなと思います。ただ、国内ではまだ新しいものではありますので、今年は様子をみて来年度また考えるという方もたくさんおられる印象です。

インフルエンザで困ることが多いのはやはり乳幼児から小学生の間など小児期が多いため、いずれかのワクチンは接種していただきたいなとは考えておりますので、またかかりつけの先生とも相談してご判断いただければと思います。


日本小児科学会から医療従事者向けではありますが、よくまとまった情報が提示されておりましたので、添付させていただきます。

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf


ご参考になりましたら幸いです。

また悩ましいことなどありましたら、適宜ご相談いただければと存じます。

いつもありがとうございます。丁寧な回答に感謝いたします。メリットデメリットよく考えた上で判断したいと思います。回答ありがとうございました。
これからも応援しています。

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2024年09月13日 23時57分


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小児科専門医です。専門はアレルギーですが、小児に関することは幅広く診療しています。何かしらお力になれれば幸いです。

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