フルミストについて

10歳未満女性

今期よりインフルエンザワクチンが、生ワクチン(フルミスト)が選択できるということで、2歳の娘に検討中です。

生ワクチンを扱っている病院では、従来型より効果が長い、免疫がつくのが早い、他の病気にも効果あり等、従来型よりメリットが多く感じる記事が掲載されています。
デメリットとして、生ワクチンは効く人には効くという印象。という記事も見かけました。

また一方では、効果はあまり変わらないからという記事も見かけます。
メリットとしては1回で済む、痛くないを好まれる方はこちらの方がよいのではと。

任意接種なので救済制度がなく自己責任になるというのも不安です。この辺りは気にしなくても良いのでしょうか?

卵アレルギー(現在加熱したMサイズものは食べれます)も大丈夫でしょうか?

また、軽い風邪でも鼻水が出てる場合は避けた方がいいようなのですが、例えば、生ワクチンを接種後に、ギャン泣きがしばらく落ちつかない場合等も考慮すると、2歳ですと生ワクチンは向いていないのでしょうか?

かかりつけ医では取り扱いがなく相談できずに投稿させて頂きました。都心のクリニックでは予約がどれるかもしれない状況です。

効果、安全性の面も含めて正しい情報が知りたいです。(まだわからないということなのでしょうか?)

宜しくお願い致します。

回答済み

小児科

こんにちは。ご相談いただき、ありがとうございます。少し回答が遅くなってしまい申し訳ありません。

フルミストに関するご相談ですね。実は以前から輸入ワクチンで使用していたクリニックもありますが、承認されて接種ができるようになったのは今シーズンからですので、情報も少なく、悩ましいお気持ちよくわかります。


先日同じようなご相談をいただいておりますので、その回答と被ってしまうところもありますが、一般的なフルミストについての情報を提示させていただき、個々回答させていただきますね。


フルミストは2歳〜19歳の方に使用できる経鼻(鼻に投与する)弱毒生ワクチンです。2003年にはじめて米国で承認されましたが、有効性が安定しないことなどから国内ではなかなか承認されずにいましたが、報告も安定してきたため今シーズンから使えるようになりました。


ポイントとしては

① 経鼻ワクチンのため、注射の必要がありません。全く不快感もないわけではありませんが、痛みが苦手な方や注射が難点で接種しなかったお子さんにとってありがたい選択肢だと思います。また、1回で済むというのも大きなメリットです。

② 有効性は注射のワクチンと比べて、同じくらいというのが現段階の情報です。今後国内での接種が増えることで良くも悪くも多少の違いが出てくる可能性はあります。

③ 弱毒生ワクチンといって、弱くはなっていますが、生きたウイルスを使用しています。そのため、本人もしくは同居されているご家族に免疫が弱い方や妊婦さんがいる場合は推奨されません。重度の喘息がある方も刺激になりうるため要注意となっていますが、軽い喘息であれば接種可能です。

④ 副反応は鼻水・鼻詰まり・咽頭痛などの報告が多いです。ただ、鼻に液体をいれるため、ある程度仕方がない問題でもあります。その他生ワクチンのため、インフルエンザに近い発熱などの副反応が起こる方もいますが、こちらは注射タイプでも起こり得るため極端に頻度が高いものではありません。

⑤ 金額はクリニックによっても異なりますが、基本的には注射よりも少し高くなることが多いです。また、自治体からの補助がある場合も、注射型にしか補助がでないところもありますので、注意が必要です。

⑥ その他注意点として、風邪やアレルギー性鼻炎によって鼻水が出ている場合は効果が落ちてしまう可能性は否定できません。アレルギー性鼻炎は十分に治療をしておくことが大切です。うまくできるかという問題も確かにありますが、低年齢児は誰でも逃げてしまったり、泣いて鼻水が出てしまうこともよくありますので、有効性という意味ではある程度は泣いてしまっても許容内ではないかと考えています。

⑦ コロナワクチンを初めとして他のワクチンとの接種間隔については、添付文書上は特別な制限はないものとされています。ただ、クリニックによっては個別で期間を作っているところや接種時のトラブル防止のため同時接種はしていないところもありますので、接種を希望されるクリニックでご確認いただければと思います。


以下ご質問への回答です

・救済制度について

→ 今回承認された2〜19歳に使用できるフルミストであれば、適応範囲内の年齢であれば公的な保証の対象となります。ただ、ご指摘の通り任意接種のため、「医薬品医療機器総合機構法に基づく補償」といって定期接種のワクチンにおける保証とは少し異なりますが、従来の注射型のワクチンと同じ条件です。

ただ、一部クリニックの採用している輸入ワクチンの場合は、もう少し高年齢まで投与可能ですが、こちらは承認されていないため、公的な保証の対象外です。


・鶏卵アレルギーについて

→ 添付文書では鶏卵アレルギーがある人は接種に関して注意が必要とされていますが、海外では重症度に関わらず特別な注意は必要ないとされています。注射型のワクチン同様に鶏卵のタンパク質の残存は極めて微量のため、通常の鶏卵アレルギーであれば接種は可能なものと考えています。特に、ご相談者様のお子さんは十分な量が接種できる状況であり、特別注意は必要ないように思います。

ただ、実際には接種する医師・医療機関の判断となりますので、接種にあたっては接種を検討するところで改めてご確認いただければと思います。


私個人の印象としては、注射自体はそれほど問題なくできる場合は、注射でも構わないと思います。ただ、注射が嫌で接種ができない様子であれば、このワクチンは重要な選択肢の一つになると思います。できればいずれかのワクチンは接種しておいてほしいなというのが小児科医としての意見です。

もちろん実際の接種にあたっては、接種できる医療機関でやはりご相談いただければと思います。


日本小児科学会から医療従事者向けではありますが、よくまとまった情報が提示されておりましたので、添付させていただきます。

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf


回答としては上記となります。

ご参考になりましたら幸いです。

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2024年09月15日 18時18分


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小児科専門医です。専門はアレルギーですが、小児に関することは幅広く診療しています。何かしらお力になれれば幸いです。

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