相談詳細
指名:こどアレ@小児科医|アレルギー専門医 先生
くるみアレルギーの経口負荷試験について
10歳未満男性
回答済み
ご指名でのご質問ありがとうございます。 3歳のお子さん、くるみアレルギーで除去中、原材料に表示が無く「製造ラインが同じ」などと記載されているものまで除去すべきか?また、食べられる量を知るために経口負荷試験をするべきか?」というご質問でした。 まず、アレルギー表示についてですが、表示が「義務」づけられているアレルギー物質は「卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばの7品目」(特定原材料)のみとなっております。「くるみ」やいくら、キウイなど「特定原材料に準ずるもの」とされている21品目は表示することが「推奨」されていますが、表示の義務はありません。 ただし、消費者庁から出されている「令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_220601_01.pdf)にも書かれている通り、「くるみアレルギー」は近年増加しており、「木の実類」が「小麦」を抜いて「3位」(卵、牛乳の次)となっております。「木の実類」の中で1番多い「くるみ」は既に単独で「ピーナッツより多く」なっており、小麦よりわずかに少ない程度までとなっております。それを受けて、「2025年の4月」からくるみも表示が義務づけられることになっております。 また、注意喚起についてですが、こちらも「義務」ではありません。書いてないからといってコンタミネーションが無いとは言えないところが注意点となります。そもそも、注意喚起表示があったとしても、原材料表示の中に「くるみ」の表示が無く、お子さんが「重症な」くるみアレルギーでなければ食べても問題ありませんが、どれくらいの量が食べられたら「重症」ではなくて、コンタミネーションをあまり気にしなくて良いかは、どれくらい症状が出るリスクを減らすか、余裕を持たすかの考え方の差もありますので、主治医の先生のご判断になろうかと思います。 また、「くるみ」の食物経口負荷試験についてですが、主治医の先生が仰る通り、日常的に食べる食物ではありませんが、様々な製品に混入していることもあり、リスクの高い食物ではあります。誘発される症状が強くなりがちなこと、卵や牛乳などと比べ治る確率が低くなること、などもあり、食物経口負荷試験に躊躇される先生もいらっしゃいます。ちなみに、くるみは血液検査にて、症状の誘発との関連が高いタンパク質=コンポーネント、「Jug r 1」というものが検査出来るため、非常に参考になります。「Jug r 1」が高いとさすがにアレルギー症状が出る確率が高いので、検査してみて高値なら食物経口負荷試験を見送ることもあります。ただ、質問者さんが仰るように、どれくらい食べられるか、極微量だけ食べられるか、という食物経口負荷試験については、お子さんとご家族の両方が希望され、主治医の先生がリスクや施行する意義と天秤にかけ、施行して頂けるというのであれば可能かと思います。個人的には、お子さんはまだ3歳、くるみが微量で症状が出ているようですので、食物経口負荷試験についてはあまり無理をしない方が良いかとお話することが多いかなと思います。もう少し大きくなって、「Jug r 1」が下がってきたら治ったかどうかの確認で食物経口負荷試験をする、あるいは本人が了承してくれれば極少量だけ食べて強い症状が出ないかどうかの確認、要はエピペンを処方するかどうかの判断で施行することがありますが、やはり施行を希望される方はあまり多くはありません。主治医の先生とよくご相談ください。
2023年01月28日 11時27分