相談詳細
指名:麻酔科🏳️🌈まるか 先生
多汗症の手術「ETS手術」について
20代男性
回答済み
ご質問ありがとうございます。 掌蹠多汗症(特に手掌)で困っておられて、ペインクリニック受診や手術を検討されている、ということですね。 手掌多汗症は外用療法(塗り薬)や内服療法をまず行うため、皮膚科でも治療をします。手掌多汗症の原因は交感神経の異常な反応ですので、神経を抑えるためにペインクリニックでも治療をします。どうぞペインクリニックの受診もご検討ください。 ペインクリニックでは、交感神経節ブロックの注射やボツリヌス毒素の皮下注射(いわゆるボトックス®︎。交感神経の末端を抑制する)などを行います。 特に胸部交感神経遮断術(ETS手術)は最も効果が高く、有効率は90%以上です。しかし、ETS手術の後には、別の部位で発汗をしてしまう“代償性発汗”が少なからず起こります。代償性発汗の頻度は9-100%と、文献によってばらつきがあります。ざっくり言うと、気にならない程度の軽症の代償性発汗が半数程度、術後の満足度が低下してしまう中等症以上の代償性発汗が数%程度でしょうか。 ETS手術を行うかどうかは、主治医とよく相談をして、リスクとベネフィットを把握した上で決めるのがよいかと思います。 まとめ ・手掌多汗症の原因は交感神経の異常な反応なので、神経を抑えるためにペインクリニックでも治療する。 ・胸部交感神経遮断術が最も効果がある(有効率 90%以上)が、術後に代償性発汗が少なからず起こる。 ・代償性発汗の頻度は、軽症が半数程度、中等症以上が数%くらいか。 参考文献 原発性局所多汗症診療ガイドライン 2015 年改訂版 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/genpatuseikyokusyotaknsyouguideline2015.pdf
まるか先生、お忙しい中回答くださりありがとうございました。とても参考になりました。ガイドラインもとても助かりました。息子もすぐ回答を読み、とても参考になったようです。今後どうするかまだ分かりませんが、本人が一度ペインクリニックに受診してよく相談してくるつもりのようです。
2023年02月14日 21時44分