相談詳細
指名:おとらりんたろう, MD, PhD 先生
慢性鼻炎に対するレーザー治療について
30代女性
回答済み
質問いただきありがとうございます。 慢性鼻炎・花粉症でかなり長期間悩んでおり、きちんと手術も受けていらっしゃる上で、まだ症状が続くということなのですね。レーザー手術の有効性についてですが、正直受けてみないとわからないという印象です。手術を受けるとしても、ムズムズ感への対応として、他の簡単手段を試してみても良いかもしれません。 レーザー手術(レーザー下鼻甲介焼灼術)について簡単にお話します。アレルギー症状の中心部位である下鼻甲介の粘膜表面を焼灼することで、アレルギーによる鼻汁分泌をへらすことと、粘膜表面が収縮するため鼻閉にも効果が期待できます。従来、1年程度で効果が切れると考えられていましたが、少なくとも7年程度効果が持続したという研究結果もありますので、効果は長続きすることもあるようです。繰り返しの施術は必ずしも推奨されていません。 注意すべき点として、手術を受ける時期があります。花粉飛散期になってしまうと、下鼻甲介粘膜が常にむくんでしまい、効果が不十分になってしまう可能性があります。手術を来月に受けるとすると、本格花粉飛散期に突入してしまっており、レーザー焼灼に最適な時期とは言えないかもしれません。 また、レーザーで焼灼できるのはあくまで下鼻甲介の部分だけです。ムズムズ感は下鼻甲介だけではなく、鼻腔入口部の皮膚・粘膜からも生じます。期待したほどはムズムズ感は取れないかもしれません。 ムズムズ感への対応として、第一選択はやはり抗ヒスタミン薬の内服になります。ザイザル・アレロックはこれに相当しますので、継続をおすすめします。 また、点鼻ステロイド薬も有効な可能性がありますので、ご検討ください。 その他、今シーズン今すぐできる対応として、鼻の入り口に軟膏を塗るという方法があります。最初はワセリン、症状がひどいときはステロイドの軟膏が良いです。皮膚・粘膜へのアレルゲン付着を防ぎ、ムズムズ感には特に有効ですのでお試しください。 また、症状がひどいようですので、長期的には舌下免疫療法も検討されると良いでしょう。舌下免疫療法は、舌の下側にアレルゲンを毎日留置することで体質を変える治療法です。1年以上継続する必要はありますが、うまく行けば花粉症の症状を全体的に緩和し、人によっては薬が要らなくなることもあります。1日の薬剤負担は3割の方で60〜70円程度です。花粉飛散期には治療開始できませんので、6月以降を目安に治療開始することをおすすめいたします。 以上回答させていただきます。レーザー焼灼について少し否定的な論調になってしまいましたが、アレルギー性鼻炎に対する最も負担が少ない手術ではありますので、施術へのハードルが低いのは事実です。主治医の先生とよく相談し、決定してください。 この回答がお役に立てば光栄です。またわからない事があればいつでもご相談下さい。
2023年02月15日 19時57分
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